株式会社果実堂

次世代リーダーが語る「熊本未来論」

井出剛(いでつよし):株式会社果実堂・代表取締役社長。福岡県福岡市出身。同志社大学法学部卒。1992年、㈱パナファーム・ラボラトリーズに嘱託職員として入社。97年、㈱トランスジェニックを設立。2003年12月に代表取締役社長を退任後、05年に同社を設立。

プロフィール

「農業はものづくりの原点であり、サイエンスが絶対に必要」と考え、栽培から品質管理、販売まですべてをデータ管理する「サイエンス農業」を実践。徹底的な原価低減に取り組む新進気鋭の農業ベンチャー企業だ。栄養価に富むベビーリーフ(発芽後10~30日以内の幼葉)の可能性にいち早く着目した。農業を語る際、「農」と「業」を分けて考える必要がある、どちらをやるのかと問われた時に、迷わず「業」と答えたという井出氏。その想いとは・・・

事業の特色

ベビーリーフの生産・販売を行う同社。農地面積65ヘクタール、ハウス570棟超を有し、年間生産量は日本最大規模の600トンを誇る。ベビーリーフは100種類以上あり、それぞれが異なる栄養価を含む。それらを工夫して組み合わせることで栄養価の特性を活かした「サラダの漢方」として期待されている。栽培期間は平均25日(夏15日~冬45日)と短く、年間10毛作で周年栽培が可能。天候不順や病害虫災害に対するリスク軽減にもつながっている。野菜の成長や収穫量の確認、データ入力などはすべてスタッフの手で行われ、毎日の地道な取り組みがサイエンス農業の土台となっている。社内では「2次産業の5Sに学ぶ会」を組織し、パッキング工場や物流過程では徹底的な原価低減、リードタイムの短縮に取り組んでいる。取引先は百貨店や大手スーパーマーケットなど小売業を中心に150社を超え、1500店舗に納品。納品先は関東50%を筆頭に3大都市圏が約75%を占め、全国的に幅広く顧客を獲得。市場・卸売をほぼ通さず、小売店に直接販売する営業スタイルを採用し、農業ベンチャーとして新しい販売方法に挑戦している。ベビーリーフは便利性と栄養価を兼ね備えたカット野菜として市場に浸透しつつあり、売上高も順調に伸びている。14年2月には工場を兼ねた発芽促進研究所を新設し、健康増進に役立つ機能性成分を引き出した野菜の開発・販売を開始。今後は取り扱い数を増やしていく方針だ。

厳しい競争環境の中、出資企業との連携を通したイノベーションを続けている同社。出資企業には三井物産(海外展開に関する情報共有)、カゴメ(営業面での連携)、矢崎総業(原価低減での連携)、富士通九州システムズ(農業とITを組み合わせた共同研究)など大手企業が名を連ねている。2014年12月にはトヨタ自動車との資本・業務提携を発表。製造現場で無駄を省く「カイゼン」など自動車生産により培われたノウハウを農業分野に応用している。「サイエンス、データベース、技術を総動員し、無理だと言われる365日安定供給体制を築いていきたい」と井出氏。高品質のベビーリーフを大量に安く生産し収益化を図り、地域の課題解決に邁進していく。

  • 事業の特色写真
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ビジョン

16年をめどに生産量1000トン(売上高25億)、東証マザーズへの株式上場を目指している同社。社内では13年10月に上場に向けた準備室を設置し、ベビーリーフ品種増を目指す「NEXT8プロジェクト」を立ち上げるなど取り組みを進めている。「日本の農業が勝つためには若く優秀な人材をどれだけ雇うかにかかっている」と井出氏。そのためには同族経営ではなく、「パブリックカンパニー」として農業を志す若者の雇用の受け皿を広げていく考えだ。ベンチャー企業として求める人材像や働く魅力を語る。

メッセージ

02年に東証マザーズに上場を果たした遺伝子解析業「㈱トランスジェニック」(熊本市)の創業者でもある井出氏。「地方にあるベンチャー企業の役割は、その地方にある最も重たい課題に格闘していくこと」と考えている。熊本県の農業出荷額は約4000億だった10年前から減少を続け3000億を割る状況。生産者の高齢化や耕作放棄地の増加による農村の荒廃が進む中で、「若くて優秀な人材とともに汗をかいて熊本の課題に挑戦していきたい」と決意を語る。

 

ベビーリーフ生産量日本一を誇る熊本の<㈱果実堂>

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