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廃棄物を「資源」に変える。熊本から循環型社会の未来を切り拓く、 株式会社永野商店(エヌエナジー株式会社)の永野社長

廃棄物を「資源」に変える。熊本から循環型社会の未来を切り拓く、 株式会社永野商店(エヌエナジー株式会社)の永野社長

永野 順也(ながの じゅんや):株式会社永野商店 代表取締役社長。熊本市生まれ。九州学院高校卒業後、1991年に株式会社永野商店に入社。1997年に専務取締役に就任し、現場と経営の両面でキャリアを積む。2016年代表取締役社長に就任(3代目)。21年エヌエナジー株式会社を設立、代表取締役社長に就任。

 「もっとリサイクル!」「資源の100%再利用」への挑戦

 ココクマ編集部(以下 編集部):事業内容とこれまでの歩みについて教えてください。

永野順也社長(以下 永野社長):永野商店は1963年に創業した総合リサイクル企業です。収集運搬、中間処理、古紙・金属の資源回収、機密文書リサイクル、RPF製造など、廃棄物処理に関わる幅広い事業を手がけています。私は3代目の社長として熊本地震があった2016年に就任しました。熊本市を拠点に本社のほか北部事業所・西部事業所・北部工業団地事業所の4拠点を構え、現在の従業員数は約180名、2025年度は売上30億円を達成することができました。

編集部:新しいことにもチャレンジされていますね。

永野社長RPF(固形燃料)の製造は2024年7月から生産を開始していまして、月間300トン~400トン程度の生産を維持しています。廃プラスチックや木くずなどを加工して円柱状の燃料を作り、製紙会社のボイラー燃料として活用していただいています。廃棄物を燃やして終わりではなく、エネルギーとして再生させる。そういう取り組みが、我々の強みになってきていると感じています。

熊本県の「優良産業廃棄物処理業者名簿」にも掲載いただいており、地域の環境インフラとして少しずつ認めていただけている実感があります。今後は、廃プラスチック類を製鋼所向けに副資材に加工する技術をつかい「エコマイト」の製造も計画しており、リサイクルの幅をさらに広げていきたいと考えています。廃棄物処理という業界は社会になくてはならない存在でありながら、まだまだ付加価値を高める余地があると思っています。我々が先頭に立って、新しいリサイクルの形を熊本から発信していきたいと考えています。

編集部:次々に挑戦する原動力は何ですか?

永野社長「資源の100%再利用」をスローガンに、お客様から預かった廃棄物の中間処理後の残渣をゼロにしたい、という思いが経営の根幹にあるからです。廃棄物を「処理する」だけでなく、資源として「再生する」という意識で日々取り組んでいます。社長に就任してから数年は、このままじゃいけないという思いが常にありました。同業他社と同じことをやっていても価格競争になるだけで、勝ち残っていくためには一つでも二つでも特色を作らないといけない。そういう危機感が、今の事業展開の原動力になっています。

編集部:2019年に事業譲渡を受けられたことが、大きな転換点になったと伺いました。

永野社長熊本市内の同業社だった熊本清掃社さんからの事業譲渡を急遽引き受けることになりました。ただ、これが単なる業容拡大ではなく、私たちにとって大きな転機になったのです。

事業を引き継いだことで、食品系廃棄物の収集量や取引先が一気に増えました。ただ、当時は食品廃棄物をすべて焼却に回さざるを得ない状況だったのです。「資源の100%再利用」を目指す私たちとしては、私たちの責任として、いずれ何らかの形で食品リサイクルに携わらないといけない、という強い思いがありました。その使命感が、バイオガス発電事業への挑戦につながっていったんです。だから、エヌエナジー(株)の設立は単なる新規事業への参入ではなく、お客様への約束を果たすための必然の選択だったと思っています。当時から「いずれ食品リサイクルを実現させます」とお客様に向けて発信していましたし、言った以上はやらないといけないと自らを奮い立たせていました。言葉にすることで、退路を断っていたとも言えますね。

熊本市初のバイオガス発電事業で脱炭素・循環型社会の実現を目指す

 編集部:バイオガス発電事業について、詳しく教えてください。

永野社長「食品リサイクルを実現させる」という約束を果たすため、「熊本市近郊に少ない食品廃棄物の処理インフラを自分たちでつくる」という地域課題への使命感、「やるからには熊本で一番にならないと意味がない」という信念で取り組みました。バイオガス発電は全国的にも事例は増えていましたが、許認可関係が非常に複雑で、廃棄物処理法の中でもかなり厳しい取り締まりがある分野です。また、大規模な資金調達や地域住民への丁寧な説明プロセスが必要でした。構想から完成まで6年かかりましたが、あっという間でしたね。

編集部:資金調達も大変だったのでは?

永野社長:総事業費は39億円超となり、特別目的会社(SPC)を設立して出資を募るスキームを取りました。西松建設さん、グリーンファイナンス推進機構さん、地元の鶴屋百貨店さんやヒライさんなど、私たちのビジョンに共感していただいた企業や機関に出資していただき、実現することができました。2025年7月から本格稼働を開始。バイオガス発電とは、食品廃棄物や廃液を原料にメタン菌が発酵してガスを発生させ、そのガスで発電する仕組みです。1日の処理能力は最大120トン、発電出力は644kWで、現在すでに500kW~600kW前後をコンスタントに発電できるようになっています。熊本市内では初の施設ということで、非常に感慨深いですし、想定以上の発電効率に正直嬉しい驚きがありましたね。

編集部:今後の事業展開として、どのようなビジョンをお持ちですか。

永野社長:まずは5-6年かけて売上50億円、そして将来的には100億円を目指していきたいと考えています。その柱になるのが、エヌエナジーを中心とした循環型のビジネスモデルの確立です。バイオガス発電で生じる発酵残渣を堆肥として内製化し、その堆肥を使って自社で農業もやっていきたいと考えています。農業をすることで雇用も生まれますし、農業で収穫したものをスーパーや小売業者にお届けし、そこからまた食品廃棄物を回収させてもらう。この食品リサイクルのループを完成させることが、大きな夢です。

さらに将来的には、発電時に出る予熱を利用した温浴施設を地域に開放するような構想もあります。地域の皆さんに我々の事業を通じて何かを還元したい、という思いが根っこにあるからです。既存事業の不採算部分は整理しながら、九州各県への拠点拡大やM&Aも視野に入れながら、着実に成長を続けていきたいと思っています。同業他社で後継者不在の案件なども出てきていますし、そういったところとの連携も含めてアンテナを張り続けています。

焦らず、でも確実に。それが我々のスタンスです。また、エヌエナジーの収益が安定してきたら、発電機の増強やエコマイト製造ラインの拡充など、さらなる設備投資も視野に入れています。お客様から預かった廃棄物を100パーセントリサイクルする、という理想の実現に向けて、第一弾、第二弾、第三弾と新規事業を重ねながら、熊本から循環型社会のモデルを発信し続けていきたいと思っています。

「この会社で働いて良かった」と思ってもらえることが企業成長の土台

 編集部:100億円を目指す上での課題はどのあたりにあるとお考えですか。

永野社長やはり人の問題が一番大きいですね。我々の業界は労働集約型なので、どうしてもマンパワーが必要です。AIや自動化で代替できる作業は非常に限られていて、特にドライバーはマンパワーが基本になります。今は約180名ですが、まず200名体制を目前に見据えており、100億円を目指す上ではグループ全体で300名規模が必要になってくると思っています。ただ、人を増やすだけでは意味がない。一人ひとりが高い意識を持って取り組める組織にしていきたいんです。廃棄物を「処理する」だけではなく、「再生している」という自覚と誇りを社員全員が持てるような社内体制を整えたい。コスト意識や生産性を一人ひとりが意識して働けるような、自律的に動ける組織を目指しています。そのためには教育や人材育成が欠かせません。スキルアップの機会をどんどん提供して、廃棄物処理法の知識だけでなく、経営的な視点も叩き込んでいきたいと思っています。

 編集部:働く環境づくりについては、具体的にどのような取り組みをされていますか。

永野社長休日は、一昨年から年間106日だったものを120日に増やしました。同業他社と比べてもかなり多い水準だと思います。さらに社員食堂の設置や、ジムなどの運動施設を備えた社屋の建て替えなども検討しています。福利厚生をしっかり充実させながら、まず魅力ある企業にならないといい人材は集まってこないという強い危機感があります。「この会社で働いて良かった」と社員に思ってもらえることが、企業成長の土台だと信じています。

編集部:どのような人材を求めていますか。

永野社長求める人材としては、何より「やる気がある人」です。成長意欲があって、自分自身をもっと伸ばしていきたいという意志を持っている人に来てほしい。永野商店ではドライバーの採用を積極的に進めており、エヌエナジーでは農業系の知識を持つ方や理数系の人材、プラントの設備保全ができるエンジニアなどの採用も計画しています。地域と共に生きる企業として、廃棄物処理という仕事に誇りを持ち、熊本の循環型社会の実現に向けて一緒に歩んでいける仲間を、心からお待ちしています。廃棄物処理という仕事は、決して地味な仕事ではありません。地域の環境を守り、資源を循環させ、次の世代につなげていく、社会にとって不可欠な仕事です。そのやりがいを一緒に感じてほしいと思っています。

廃棄物を「資源」に変える。熊本から循環型社会の未来を切り拓く、 株式会社永野商店(エヌエナジー株式会社)の永野社長

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