熊本の未来をつくる経営者
主体性を伸ばす人材育成で技術力の向上と事業拡大を目指す 株式会社九州ソフタスの瀧澤社長
瀧澤盛夫(たきざわもりお):株式会社九州ソフタス・代表取締役。神奈川県横浜市出身。1993年に㈱ソフタスに入社。官公庁や大手通信会社研究所での勤務を経て、2001年に㈱九州ソフタスに出向。官公庁でのシステム運用管理担当を経て、03年に㈱ソフタス取締役、㈱九州ソフタス代表取締役に就任。
各事業部のノウハウを融合した製品開発が強み
ココクマ編集部(以下、編集部):事業内容を教えて下さい。
瀧澤盛夫社長(以下、瀧澤社長):当社はシステム運用部が行うシステム運用・保守サービス事業、ソリューションサービス部が行うアプリケーション開発や企業へITを提案するソリューションサービス事業 の2 つの事業を行っています。東京・群馬・大阪・富山で展開する㈱ソフタスのグループ会社として、2001年の設立以降、熊本・福岡を拠点に九州における事業展開を担っています。また、ソフタスグループ全体としては各グループ会社の特徴を生かした事業において、地域にこだわらず全国展開を図っています。
売上の約8割を占めるシステム運用・保守サービス事業では、熊本県内の官公庁・大手通信会社・地場企業などを中心に、コンピュータシステムやネットワークの保守、コンサルティングサービスを提供しています。ソリューションサービス 事業では、在宅介護のIT化と情報共有をサポートする在宅医療介護連携システム「aHMS(アームス)」や、総合霊園管理システム「CeSM(セスム)」などオリジナルアプリケーションを提供しています。自社 システム開発だけでなく、企業からの受託開発も行っており 、販売・在庫管理や財務会計処理など ご要望に合わせて機能を追加するなどブラッシュアップさせています。またWeb開発力を生かし、 ホームページ制作などを手掛けています。
編集部:どのようなシステムの需要が伸びていますか?
瀧澤社長:新型コロナウイルスの影響でテレワークの需要が増し、中小企業でも安心して取り入れられる強固なセキュリティのテレワークサービス「TELET」の問い合わせが増えましたね。オリンピックに向けて国がテレワークを推進しており、当社としても3年ほど前から開発とサービス提供の準備を進めていたためスピーディに対応できています。ウイルス感染を防ぐためにも、企業としてテレワークの推進が当たり前になってきていますので、「TELET」は県内だけでなく、全国を視野に入れて販路を拡大していきたいと考えています。
「TELET」はアプリ開発を行うソリューションサービス部ではなく、元々ネットワークに強いシステム運用部からの発案なのです。ネットワーク分野とソフト・アプリ開発のそれぞれのノウハウを融合して新製品の企画・開発ができるのは当社の強みと言えますね。
管理職の育成と若手社員のフォローを両立し 組織の規模拡大を実現
編集部:社員数が増えていますよね。
瀧澤社長:当社は2016年に熊本県により「リーディング育成企業」に認定されたのですが、この「リーディング育成企業」を目指すにあたり本格的な事業拡大を見据え、100名を超える体制づくりを目指してきました。2014年には約70名だった社員数は今年の4月で100名を超え、目指していた組織体制を実現できました。
まず力を入れて取り組んだのは管理職の育成です。その一環として、中期経営計画と単年度の経営計画を課長以上の社員が作成しています。毎年合宿を実施し、システム運用部とソリューションサービス部、営業総務部がそれぞれの経営企画を作成・発表し、相互にチェックし合う体制で完成させていきます。会社全体の経営を自分のこととして考える機会を通して、幹部社員の数字に対する意識が変化し、目標達成に向けて意欲的になったと感じます。また定期的に部下と面談の機会を作っているので、部下の育成に対する責任感も強くなっていると感じますね。
私が創業当時から社員に対してメッセージしているのは、「社員1人1人が営業」ということ。高い品質のサービスを提供し続けて、お客様の信頼を安定的に得ることで自分自身の仕事に誇りを持ち、契約のリピート更新・継続に繋げていこうという発想です。社員数は増えていますが、「社員1人1人が営業」という意識が社内に浸透してきていると思いますね。社員にとってはお客様に「ソフタスにお願いしたい」と言っていただくことが喜びになりますし、社員の頑張りがお客様の満足度とリピートという評価に繋がり、若手社員であっても誇りを持って仕事ができているからこそ、組織の規模を大きくできていると思います。
編集部:社内制度も新しく取り入れたのだとか…。
瀧澤社長:社員が主体的に成長できる環境を仕組化するため、2019年の4月からiコンピテンシ ディクショナリ(以下、iCD)を導入し、人事評価の中の能力評価に組み込んでいます。iCDは独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が提供するITスキル標準です。このiCDを活用し、経営層・管理職・業務リーダー・メンバーといった各レイヤーでの役割と仕事(タスク)を共通認識のもと可視化しています。「どのような姿を目指すべきか」「何をすべきか」といったことが明確になることで、社員が主体的に成長するための良い道標になっていると思いますね。また知識でなく実践ベースでiCDの評価と仕事の能力が一致する仕組みになっているため、人事評価の公平性にも繋がっています。当社では、iCDの活用企業としてGold★(シングルスター)の認証を受けていますが、この 認証を受けている企業は全国で1171社(約1200社)の内、Gold全体では33社しかありません。この認証はiCDの活用により社員の能力が向上している企業として認められている証となりますので、今後もしっかり活用し、人材育成に役立てていきたいですね。
会社が規定する資格に合格した社員に対しては、一時金を支給する制度も用意しています。早い段階で取得していただきたいので、同じ資格でも取得した年齢で金額が変わるように設定しています。社内外で研修の機会もありますし、成長意欲のある方にとっては良い環境だと思いますよ。
編集部:社員同士はどのようにコミュニケーションを取っていますか?
瀧澤社長:常駐先への直行直帰が中心となる勤務形態のため、各グループで毎月1回のミーティングを実施し、情報を共有しています。また年2回の全社員集会では、経営状況や今後の方針を共有し、同じ組織の一員として、全社員で認識を合わせています。今年は新型コロナウイルス感染予防のため、福岡・熊本の会場それぞれに分かれ、自宅からのオンラインでの参加など感染拡大防止の対策を取りながら実施しました。1部の会社報告の後、2部では講師に職業性ストレスチェック実施センターの方を招き、2月に当社で実施したストレスチェック診断を元に講演を行って頂きました。講演の後は職場の環境改善 対策に関してグループディスカッションを行い、発表する場を設けました。こういった取り組みを通して、組織の一員であることを意識してもらいたいですね。
独自の取り組みとして取り入れているのは「MVPシステム」。サンクスカードのように 感謝の気持ちを手紙に書いて渡すのではなく、せっかくならとスマホで感謝を伝えられる システムを自社開発しました 。直接気持ちを伝えることができない場面でも、ネットワーク上で感謝を示すことができるようにしています。新年会でその年最も多くの感謝ポイントを集めたMVPが発表され、選ばれた社員には金一封が贈られます。新年会には社員の家族も参加可能ですので、MVPは家族も含め全社員に見守られながら表彰されることになります。社員にとってモチベーションの一つになりますし、離れていても社員同士がコミュニケーションを取れる仕組みは信頼関係に良い影響を与えていると思いますね。
自社製品の開発に積極的に取り組む
編集部:ビジョンを教えて下さい。
瀧澤社長:根幹であるシステム運用・保守を維持しながら、自社製品の開発に積極的に取り組んでいきたいですね。システム運用で培った基盤開発の技術に加え 開発・設計部門の持つコア技術をベースとして応用させることで、様々な分野のサービスが提供できると考えています。「aHMS(アームス)」や、総合霊園管理システム「CeSM(セスム)」に続く自社サービスを開発し、将来的にはシステム運用保守の売上を超えるように成長させていきたいですね。現在は地道に作ってはトライして…と試行錯誤しながら開発を進めています。
2017年には社団法人安全医療システム研究所を立ち上げて、熊本大学大学院生命科学研究部の教授と一緒に薬局向けのオリジナルソフト「compRete」の販売 を進めています。「compRete」は腎排泄型薬剤処方に対する注意喚起や腎機能に応じた推奨投与量判定 機能を搭載し、薬剤師のチェックを支援するシステムです。腎機能の低下しているCKD患者さんが増加している背景があり、腎排泄型薬剤を処方する際は患者さんの腎機能を調査して正常値か判定した上で薬を処方しましょうという発想で開発したソフトです。現在は代理店を通じて販売しており 、ほぼ日本全国で代理店契約が進んでいます。九州は富田薬品株式会社と代理店契約を結んでいます。この社団法人はいずれ株式会社 化する可能性も視野に入れています。
編集部:求める人物像を教えて下さい。
瀧澤社長:技術者と言えば黙々と仕事をするイメージがあるかもしれませんが、当社では営業的な意識を持って仕事をしていただきたいので、お客様に寄り添い、コミュニケーションが取れる方が望ましいですね。また時代の変化を先読みし、変化に対して「こうしたい」と夢や目標を持ち、主体的に行動できる方と一緒に働きたいと思います。当社は「社員1人1人が営業」というメッセージの通り、主体性を大事にしています。お客様先での対応も自ら考え、責任を持って行動してほしいと思っています。
当社では女性はもちろん男性の育休取得や時短勤務にも柔軟に対応していますし、副業も可能です。中には週末だけ釣り船の船長をしている者もいます。 自分自身の夢や目標を持っている方を応援しますので、 当社で実現してほしいと思います。
関連記事
熊本へ転職希望の方の求人はこちら- あわせて読みたい記事
-
- 関連記事はありませんでした