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半導体受託生産最大手の「TSMC」とは?-熊本県菊陽町に工場建設
最近、熊本で何かと話題の半導体受託生産最大手の『台湾積体電路製造(TSMC)』
菊陽町に2022年工場建設を着工し、2024年末までの生産開始を目指すと発表がありました。TSMCが日本に工場建設するのは初で、米国、中国に続き日本が3か国目となります。
今回は「TSMC」に関してまとめてみました。
台湾積体電路製造(TSMC)とは?
TSMCは世界最大の半導体ファウンドリ(半導体デバイスを生産する工場)です。TSMCは開発や設計をおこなっているメーカーから製造を受託することに特化しており、主要顧客のApple社のiPhoneやiPadに搭載されているチップは同社が一手に引き受けて生産されている状況です。
半導体製造の研究開発へ大規模な研究・設備投資が必要となるため、ほとんどのメーカー企業では開発・設計に特化して、製造は他社へ委託しています。そのため、高性能な機器に搭載する半導体はファウンドリと言われるメーカーでもあるTSMCに依存するような形になっています。
また、現存する最高の半導体であると評価されている5nmの半導体を安定的に製造できるのは世界でもTSMCのみとなっています。今年の7月には、2nmプロセスによる半導体製造工場を台湾に新設することも発表されています。2024~25年頃には2nmの半導体へと移行することが期待されている状況です。
※nm…半導体回路の線幅の単位。線幅が細くなるほど、チップサイズは小さくなり、消費電力は減少し、処理速度は速くなり性能が高い半導体となります。
以下は、世界のファウンドリ企業の売上高ランキングとマーケットシェアになります。
TSMCは半数以上のシェアを1社で占めています。
★2021年第2四半期のファウンドリ企業売上高ランキング★ ※TrendForceより
TSMCは、台湾で創業された半導体製造企業になりますが、その時価総額は日本円にして60兆円を超えており、時価総額ではトヨタのほぼ倍と高値を更新しています。半導体企業としてはインテルやサムスンといった大手を上回り世界最大で、全業種の時価総額でも世界のトップ10の地位を固めつつある企業です。
熊本県菊陽町への工場建設について
そんな世界レベルの企業が熊本への工場建設を決めたポイントは2点だと言われています。
①世界トップクラスの製造装置メーカーである東京エレクトロン九州やソニーグループなど関連企業の集積
②半導体生産に欠かせない水資源が豊富なことや交通アクセスの良さ
阿蘇地方に降った水が地下水として豊富で、菊陽町は高速道路のインターチェンジや空港にも近いためアクセスも便利です。熊本空港は現在大規模改修もされています。2017年には「熊本県・熊本市・高雄市友好交流協定」も締結されており、熊本と台湾の友好関係も要因の一つにあったとも聞いています。
また、今回の工場の建設にはソニーグループも約570億円を出資。国からの支援としては投資額の半分4,000億円程度を出資するという発表もあっています。また、周辺の地域に工場建設したいと企業からの要望も相次いでおり、熊本県としても新たな工業団地の整備やインフラ整備を進めていきたいという話がありました。
菊陽町は「街の住みここちランキング2021<熊本県版>(大東建託)」2年連続1位となっています。
自然が豊かで子育ての環境にも適しており、大型のショッピングモールなども近隣に増えており、今後さらに人気が高まりそうです。
★「街の住みここちランキング」をまとめたブログはこちらから
熊本県内に考えられる影響は?
TSMCの建設により考えられるメリットは、雇用機会の増加、熊本県内の人口増加などがあげられます。先日、1500名規模での新規雇用を見込むと発表されました。それだけ熊本に人が増えると住宅需要も高まり、消費も増えることが期待されます。
一方で地元企業からは人手不足や雇用確保を心配する声も上がっています。地元企業への雇用安定の懸念はありますが、熊本へのUIターンを希望されるエンジニアが増え、熊本から九州全域の地域活性につながることを願いたいですね。
また先日、熊本大学も「半導体教育・研究センター」を2022年4月に大学院先端科学研究部に設置することを発表しました。専門人材育成の拠点として半導体分野の研究を加速させる狙いがあるようです。
熊本県の有効求人倍率もこのところ製造業は世界的な需要が続く半導体を中心に高水準が続いています。
TSMC社の求人情報は現時点ではまだ出ておりませんが、熊本では半導体企業を中心として積極的に採用活動が進められています。TSMC社同様に県内誘致企業の求人も多数ございます。ぜひチェックしてみてください。
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