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【特集/熊本創生企業家ネットワーク】2人の熊本出身の上場企業経営者に聞く「IPOビフォー・アフター」〜上場をして良かったこと&悪かったこと〜

【特集/熊本創生企業家ネットワーク】2人の熊本出身の上場企業経営者に聞く「IPOビフォー・アフター」〜上場をして良かったこと&悪かったこと〜

熊本出身の現役東証一部上場企業創業者や、全国で活躍する企業家・専門家を毎月招き熊本の企業のレベルアップを図る「一般社団法人熊本創生企業家ネットワーク」。この第3回例会が11月21日(水)に開催されました。ココクマ編集部としても大変興味がありましたので、当日の模様を取材させていただきました。

経営者から高校生まで・・・幅広い参加者

例会当日、県内の経営者のほか自治体職員、起業に興味のある大学生や高校生と、幅広い職種・年齢層の方々約35名が参加されました。すでにIPOの準備を進めている方や、これからIPOに向けて動こうとしている方など様々。

ぴりっとした緊張感の中例会がスタートすると、まず最初に参加者同士で自己紹介をする時間が設けられました。近隣に座っている参加者と名刺交換をし、出身地やお互いの仕事、またどのような経緯でこのネットワークに参加しているのかなどをお話しされていました。短い時間でしたが大変盛り上がっていました。

自己紹介がひと段落したところで、今回のメインである本郷氏と瀬口氏の特別座談会へ。司会者からの質問形式で対談が進められました。後半は参加者から質問を募り、経営やIPOに関することからお二人のメンタルの保ち方まで、濃い内容の座談会となりました。本記事ではその一部をご紹介していきたいと思います。

「IPOビフォー・アフター」〜上場をして良かったこと&悪かったこと〜

-簡単な自己紹介をお願いします。

本郷社長 スターティアホールディングスの本郷と申します。長洲町の出身、18歳で上京し29歳で会社を立ち上げました。熊本地震が起こって自分も何か熊本のためにできないだろうかと考えた時に、これまで培った経営のノウハウや経験をシェアし、熊本の企業を支援することを思いつきました。復興の一助となればと思い、この団体を作りました。

瀬口社長 リブワークの瀬口と申します。本社は山鹿市です。私自身も山鹿市で生まれて以来、ずっと熊本で暮らしています。2015年に長年の夢だった上場を果たすことができました。先ほどの本郷社長の理念に共感して、少しでもお役に立てたらという思いで今日の会に参加させて頂きました。どうぞよろしくお願いいたします。

-会社・事業ついてお聞かせ願えますか?

本郷社長 電子ブック作成ソフトをはじめとするIT製品、ネットワーク構築、クラウド関連サービスからオフィスの設計・ファシリティ等を行うスターティア株式会社と、Webアプリケーションの企画・開発・販売・保守を行うスターティアラボ株式会社を展開し、今年の4月1日にホールディングス化しました。

ラボではAR技術の開発も行っており、最近発表された「日経AR」にも弊社のAR技術を採用頂いています。海外は台湾、西安、上海、シンガポールに中間持ち株会社と投資会社、事業会社があります。シンガポールではアジアのITベンチャーに投資を行ったりもしています。

瀬口社長 主に注文住宅や不動産販売を展開しています。今年4月に「エスケーホーム」から「Lib Work」という社名に変更しました。今後は住宅だけでなく、暮らしに関わることに広く事業展開していきたいという想いを込めています。ネットでの集客を強みとしており、「ネットで住宅を売る」ということをキーワードに、WEBやVRを活用した新しいビジネスモデルを構築しています。

実は私、大学時代は法学部に在籍しており、将来的には弁護士になろうと一生懸命勉強していました。しかし、父親が急逝により人生は変わりました。誰が跡を継ぐのかという話になり、親父の想いは俺しか継げないだろうと・・・。その当時、建築に興味があったわけでも無かったのですが、ただ、父の想いを継ぐのは僕しかいないという気持ちで跡を継いだのがスタートでした。いまもこの親父の想いを叶えようと、頑張っているところです。

-IPOを目指そうと思ったきっかけを教えてください。

本郷社長 元々、会社をつくった時は上場について全く考えていませんでした。営業利益が1億円出た頃、顧問の税理士の先生と今後の展望についてお話していた時に上場を勧められたのです。その時は全く興味を持たなかったのですが、その後周りの幹部にその話をすると、「上場できるんだったらやりましょうよ!」と言われまして。「そうだよな!じゃあ、一発やってみるか!」と、一念発起したのです。

以前私が勤めていた会社は乱脈経営により黒字倒産してしまったため、私は会社を立ち上げることになるのですが、前社での経験から「やっぱり経営というのは正しく、真面目に一生懸命やってるやつが馬鹿を見ない会社にしないといけない」と強く思っていました。清く正しい経営を心掛けていましたので、当時の監査法人トーマツの担当者からは「久しぶりにこんなに何もないクリーンな会社を見た」と言われました(笑)。最短での上場だったと聞いています。

うちが上場したのは2005年12月20日。このすぐ後、2006年1月17日・・・みなさん、何があったか覚えていますか?ライブドア事件がありました。IT業界にとっては大変な出来事で、東証マザーズに上場しているIT企業はみんなインチキだと言われていました。上場した時は当社の時価総額が180億円くらいあったんですけど、ライブドア事件のあと、5か月後くらいに時価総額が5億円くらいまで下がってしまったんですよ。天国から地獄ですよね。上場にはそんな思い出もあります(笑)。

瀬口社長 僕は会社を継いだときから、「上場したい」という気持ちがありました。弁護士になりたいというところから急に会社を継ぐことになり、なんらかのモチベーションが必要だったのです。「弁護士に対抗できるものってなんだろう?」と考えた時に、「上場企業の社長しかないな」と。当時は社長ブログの中で、「いつかは上場したい」と書いていました。

その淡い思いから具体的な目標に変わったきっかけは、とある一本の電話でした。JAIC(日本アジア投資株式会社)というベンチャーキャピタルからのお電話で、「ぜひ投資をしたい」と。僕のビジョンやビジネスモデルを話してみたら「面白い!ぜひ1億円投資させてください」と言われたんです。結果的にこのお話はお断りしたのですが、せっかくお声がけを頂いて申し訳なかったので、ストックオプションを提供しました。これがお互いにとってwin-winになるのではと思ったんです。そこから少しずつ上場の具現化に向けた動きが生まれました。

あとひとつ、うちで家を建てたお客様から、「社長、株買いたいんだけどどこに売ってあるの?」と言われたんです。「こんなに将来成長しそうな会社は無い」「是非買いたいからどうにかして欲しい」と。お客さんから言われてこれ以上に嬉しいことはないですよね。そこで「じゃあ、5年待ってください」と、そこから急いで準備をしまして、ようやく2015年に福岡証券取引所のQ-Boardに上場を果たしました。

-上場承認が下りるまでの気持ちはいかがでしたか?

本郷社長 上場審査を受けているということはそんなに多くの人には言えなくて、知っている本当に数人の幹部としか話せませんでした。承認が下りるまでは奥さんにも言えなかった。そのときは本当にそわそわしていました・・・とにかく長かったです。

瀬口社長 承認から上場までの気持ちは本当に本郷社長と同じですね。でも承認を迎えたときは、これまで生きてきた中で一番嬉しかったです。上場審査というのは3か月位かかるんですけど、まぁ長くて、人生で一番苦しい時期でしたね。承認が下りましたと直接僕の携帯にかかってきたときは、本当にほっとしたような、何物にも代えがたい喜びがありました。

-IPO社長になったことによって変化したことや、良い面・悪い面について教えてください。

本郷社長 良い点は、大概の人に会えるということ。これはすごく大きいですよ。自分の会社が認められてるということですから。M&Aの案件がたくさん来ますし、何より社員のモチベーションが上がりますよね。上場企業の社員だということで、社員にも誇りが生まれ、やりがいにも繋がります。社員の家のローンが通るか通らないか、借り入れの金利とかも一部上場かどうかで違うんですよ。そういう点では社員にとっても大きなメリットがある。それだけでも上場する価値はあると思います。

瀬口社長 一番大きいのは、やはり本郷社長も仰っていますが、これまでには入ってこなかった情報を得られることや、大手企業との提携話なども非常に多く頂くようになったことですね。また、これまでならお会いできなかった方とも普通にお会いすることができます。例えば、この前は蔦屋書店の社長さんともお会いしましたし、そういった方とスムーズにアポが取れるのは上場したメリットだなと非常に思います。

自分自身の変化としては、公人としての意識がものすごく高まりました。どこの場での発言にしても、振る舞いにしても、これは上場企業の社長としてやってはいけないだろうということはやりません。また、経費に対する意識も高まり、写真を撮られることにも敏感になりましたね。とにかく週刊誌には載らないように気をつけています・・・(笑)。

たまに「社長、なんで上場したの?」と言われることもあります。上場にはデメリットもありますからね・・・。特に熊本ではそう言われることが多くあります。

上場しても社長自身にメリットはほとんど無いです。給料も減りましたし、出費も増えますし、行動にも細心の注意を払う必要があるし・・・良いことは少ないかもしれませんが、社員や会社のことを考えたら、上場した方が良いことも多いですよね。これからも末永く社員や会社を守っていくために、私は最良の選択をしたと思っています。また自分の中の誇りとして、上場できたということは非常に経営者としての自分の自信に繋がっています。苦難の時でも、「上場のときはもっと大変だったよね、いやいやまだ頑張れる」と思えますよ。

まとめ

いかがでしたか。今回はIPOについての内容を抜粋しましたが、ほかにも「資金調達の中で金融機関との関係性の築き方」「経営理念を社内全体に浸透させるには」といった経営についての質問もありました。経営者の方はもちろん、高校生や大学生からも積極的に質問が出るなど、年齢問わず熊本の未来を盛り上げようとしている人がこんなにいらっしゃるのだと、取材しながら今後がとても楽しみになりました。

今後も熊本出身の一部上場企業創業者などを招いて、毎月例会が開催される予定です。また会員になることで、「IPO部会」「ベンチャー企業部会」「女性起業家部会」での勉強会や相談会に参加することができ、熊本県内外の第一線で活躍している経営者からのメンター制度も受けることができます。

興味をお持ちの方はぜひ、参加されてみてはいかがでしょうか。

■12月11日(火)に第4回例会開催!初めての方は無料で参加が可能です。
詳しくは下記Facebookページをご覧ください。
https://www.facebook.com/events/1413201265481679/

■熊本創生企業家ネットワークHP
https://kumamoto-cen.or.jp/

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