熊本の未来をつくる経営者
「デジタル×ECに強いマーケティング力」を武器に、株式上場、売上100億を目指すRITAグループホールディングス株式会社の倉崎社長
倉崎好太郎(くらさきこうたろう):RITAグループホールディングス株式会社 代表取締役社長。熊本学園大学卒業後、大手警備会社を経て、2007年に個人事業としてEC事業を開始。2010年株式会社利他の蔵(現:RITAマーケティングパートナーズ)を設立し代表取締役に就任。2012年には株式会社利他フーズ、2015年に株式会社RITA-STYLEを設立。2020年に持株会社であるRITAグループホールディングス株式会社を設立、代表取締役社長兼グループ代表を務める。
熊本発!馬刺し通販日本一、ペットフード事業にも進出。
ココクマ編集部(以下、編集部):現在の事業体制についてお聞かせください。
倉崎好太郎社長(以下、倉崎社長):RITAグループは、持ち株会社であるRITAグループホールディングス(株)、D2C型WEBデベロップメント事業やヘルスケア事業を展開する(株)利他フーズ、法人や自治体向けにECコンサルとふるさと納税支援を行う(株)RITAマーケティングパートナーズの3社で構成され、すべての事業が順調に成長しています。市場の成長率に対して少し上を行くような着実な成長を目指し、そこで出た利益を新規事業への再投資としていくスタンスです。
編集部: それぞれの会社の特色を教えてください。
倉崎社長: (株)利他フーズでは、食品通販や小売り、ペットフードの企画・販売などを手掛けています。同社が運営する「熊本馬刺しドットコム」は、馬刺し売上日本一の通販サイト(東京商工リサーチ調べ)に成長しています。また、2024年にはグループ会社(株)RITA-STYLEを合併、パーソナルトレーニング事業を加え、大きく4つのカテゴリーの事業を行っています。中でも今力を入れているのがペットフード事業です。馬肉を活用した高級ペットフード「健康いぬ生活」を展開し、プレミアムペットフード市場に参入しました。また、駅やサービスエリア、高速道路のセブン‐イレブンなどに専用ラックを設置して直接販売も行っています。これは「ワンちゃんへのお土産」という新しい文化を広めたいという想いからスタートしました。旅行中にお客様が手に取って気に入ってくだされば、通販でリピート購入につながりますし…。
編集部:RITAマーケティングパートナーズの事業についても教えてください。
倉崎社長: こちらはAmazonに特化したECコンサルや運営代行が中心です。もともとは知人である酒造メーカーの社長から「やってくれないか」と頼まれたのがきっかけでした。最初は断っていたのですが、「才能を私物化するな」という稲盛和夫氏の言葉に背中を押され、事業化に踏み切りました。口コミで拡がり、現在は約20社と契約しています。また、ふるさと納税支援事業も展開しており、自治体に対して地元企業の商品を魅力的に発信するお手伝いをしています。いずれも、商品パッケージの改善、物流コストの削減、商品の箱の見直しなど、私たちが日常的にやっていることを自治体や地場企業にご提案している形です。

第二創業期、「地方に、新しい“あたりまえ”を。」を新たなビジョンに
編集部: 今後の事業展開について教えてください。
倉崎社長: グループ全体で売上100億円という目標を掲げています。そのためには既存事業を堅実に育てつつ、新規事業やM&Aへの取り組みも必要だと考えています。まずは既存資産や顧客基盤とシナジーが出る領域から取り組んでいきます。例えばペット事業では、ワンちゃん用のベビーカーを海外メーカーと提携して展開する構想があります。ペットフードを食べなくなったとしても、飼い主さんとの関係は続いています。そこで「ご縁を切らさず、より豊かな生活を提案できる商品を届けたい」という想いで検討しています。
編集部: 経営理念やビジョンも見直していると伺いました。
倉崎社長:理念自体は変えていません。「全従業員の物心両面の幸せを追求する」「最高のサービス・商品を提供する」「地域社会に貢献する」という三本柱で、これは不変です。ただ、創業から約20年がたち、当社はまさに第二創業期です。世の中の流れや事業規模も変化し、私や経営陣の価値観や考え方も大きく変わってきましたので、ビジョンや行動指針を見直そうという話になりました。
新しいビジョンは「地方に、新しい“あたりまえ”を。」です。「地方だから」という理由をつけて、妥協することをやめようという考え方です。働き方や給与水準、仕事の質まで日本基準・世界基準を目指すことが、地方企業が成長するためには不可欠だと思うのです。地方だからこそ、実現できることはたくさんあります。次の世代も「この会社で働きたい」と、心から思える未来を築いていきたいと考えています。
また、「利他の心を判断基準にする」「自責で考える、素直で誠実な人である」「渦の中心になれ」「熊本を代表する企業になる」など、12のバリュー(行動指針)も策定しましたので、これから実行していきたいと考えています。
編集部:ビジョンやバリューは社員主導で作成したとか・・・。
倉崎社長:「理念・ビジョンプロジェクト」を立上げ経営企画チームが主導して作成しました。ほかにも「熊本No.1のAI活用企業へ」プロジェクトを立ち上げ、1年後に20%、3年後に50%の業務をAI化することを目指しています。プロジェクトメンバーの中でAI好きな人たちには「使いたいAIがあれば全部使っていい」と伝えています。例えばCanvaの有料プランやGenSparkなど、「これを契約したいです」と言ってくるものについては、だいたい契約しています(笑)。とにかく、AI好きに触ってもらうのが社内展開への近道なので、どんどん環境を与えています。すでに資料作成や画像生成、定型的なメールの返信などでAIを使い始めています。AIはあくまでもツールで、AIにより創り出された時間をどう活かすかが大事だと考えています。お客様への感動体験や新商品開発など、決算書に載らない資産価値を磨いていきたいと考えています。

編集部: 上場の準備も進められているそうですね。
倉崎社長: はい。今期がN-3期なので、計画通りなら3年半後くらいを目指せるスケジュールです。上場を目指す理由は単純で、「いい会社にしたいから」です。上場すれば透明性が高まり、社会からの信頼も増す。社員にとっても「自分が働いている会社を誇れる」という気持ちが生まれます。もちろん資金調達の選択肢が広がることも大きいですが、それ以上に「働いているだけですごいと言われる会社にしたい」という社員の声に応えたいという思いが強いです。上場もゴールではなく、そのための手段の一つだと考えています。
オープンな情報共有と挑戦の文化。RITAグループが求める人物像
編集部:社員ファーストともおっしゃっていますが・・・。
倉崎社長:従業員のウェルビーイングの向上とコミュニケーションの活性化を促すことを目的に本社オフィスの増床リニューアルを行いました。社員一人ひとりが心身ともに健康で、パフォーマンスを最大限発揮できる環境こそが企業の成長を支える基盤であると考えているからです。また経営理念として第一に掲げているのが、「全従業員の物心両面の幸せを追求する」です。これも社員ファーストです。そもそもなぜ会社を経営するのかを考えると、関わる人たちを幸せにしたいからなのです。ただ、全従業員を「会社が」幸せにするという意味ではありません。全従業員が全従業員の幸せを追求する、ということ。その場を提供するのが私の仕事であるため職場環境は大事だと考えています。
編集部:地域貢献にも熱心に取り組まれていますね。
倉崎社長:CSR(社会貢献活動)の観点で言うと、熊本県で活動する二つのNPOに継続寄付を行なっています。どちらも子ども・若者支援の団体で、ひとつは親を頼れない10〜20代を支援する「認定NPO法人トナリビト」、もう一つは工学・情報分野の就学支援を行っている「公益財団法人ほしのわ」です。その他にも、能登半島地震などの被災地支援を行ったりもしています。加えて、雇用を生み出すこと自体が地域においては重要な貢献だと考えています。自分たちの成長を地域への責任と考えて、多くの雇用、そして域外収入に繋げていきたいと考えています。
編集部: どんな人と一緒に働きたいと考えていらっしゃいますか。
倉崎社長: 一言でいうと「磨ける人」です。人や仕組み、顧客リストといった決算書に載らない資産を、どうやって磨き上げていくか。そのために力を発揮できる人に来てもらいたいと思っています。営業で成果を出せる人も大事ですが、営業企画や商品企画、業務設計など、後方支援の役割を担える人も求めています。最近ではオープンポジション採用も始めていて、入社後に全社を見てもらい、その人が一番力を発揮できる場所を一緒に決めています。

編集部: 組織づくりについても工夫されていますよね。
倉崎社長: そうですね。以前は情報が一部に偏ってしまうことがありましたが、今はできる限りオープンにしています。チャットのやり取りもクローズドは禁止にして、いいことも悪いことも全て共有する文化をつくりました。毎月の月次報告会では私自身が全社員に直接発信し、外部パートナーとの打合せもチーム全員で参加するようにしています。オフィスも増床して壁をなくし、会話が自然に生まれる環境にしました。正直、以前はパート社員の名前すら覚えきれていなかったのですが、今では趣味や人となりまで知れるようになり、コミュニケーションが格段に増えました。
編集部: 社内イベントも開催されたと伺いました。
倉崎社長: はい。「RITA Action Day」という全社イベントを社員主導で初めて開催しました。県外にいる社員も参加してくれて、全員で方針発表や計画共有、懇親会、表彰などを行いました。懇親会も全員参加できるように業務時間内に開催し、社員同士のつながりも深まりました。地方だからと諦めるのではなく、東京基準の給与や働き方を目指しつつ、挑戦できる環境。失敗もオープンにして学びにつなげる文化。このような場で、自分の仕事を自分でつくり出し、積極的に挑戦できる人にぜひ来ていただきたいですね。
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