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「質」にこだわり九州では1社、全国では16社のSグレード認定! 時代の変化に合わせ改革を進める株式会社永井製作所の永井社長

「質」にこだわり九州では1社、全国では16社のSグレード認定! 時代の変化に合わせ改革を進める株式会社永井製作所の永井社長

永井毅(ながいたけし):株式会社永井製作所・代表取締役社長。熊本市出身。熊本大学工学部生産機械工学科卒業後、1984年に同社入社。営業、工場管理を経て、89年工務部長、91年常務取締役、93年代表取締役社長就任。

「真面目に鉄骨」をスローガンに最高品質の製品を提供

ココクマ編集部(以下、編集部):事業内容について教えて頂けますか。

永井毅社長(以下、永井社長):当社は1957(昭和32)年に熊本市世安町で建築向け鉄骨加工を生業として創業しました。現在では建築用鉄骨の設計・製作・施工を手掛け、本社工場と八代工場で年間約30,000tを生産しています。

ここ数年は、九州内の大型物件の建設も増え、熊本駅ビル(アミュプラザくまもと)、福岡空港、熊本市民病院、京セラ鹿児島国分工場、資生堂福岡久留米工場等に関わらせて頂いています。また、今後は東京などの都心部で再開発や超高層ビルの建築、建て替えも予定されています。超高層ビル用の鉄骨を供給できる会社は全国的に少ないこともあり、熊本から製品を随時提供している状況です。

熊本の宇城市で日本一の高さとなる超高層ビルの鉄骨を製作しており、そういった仕事に携われることに誇りを感じています。
これも、2017年2月に本社工場が建築鉄骨製作工場の国土交通大臣認定制度における業界最高位「Sグレード」を九州で初めて取得し、高い品質が認められているからだと考えています。

編集部:「Sグレード」とは?

永井社長:鉄骨工場には製作能力や工場設備、技能者や技術者の人数などに応じてランクがつけられています。上から順に「S・H・M・R・J」と計5つのグレードがあり、グレードによって手掛けることのできる建築物の規模、使用できる鋼材が変わります。その中でも最高位の「Sグレード」は、あらゆる案件に対応できると認められています。そのため審査も厳しく、全国でもわずか16社しか認定されていません。

永井製作所

また、自社で研究開発を積み重ね、設計事務所やゼネコンから指示を受けるだけではなく、一緒に考えて、さらに質の高いものを作ることができるという点も当社の大きな強みです。研究開発課という部署を立ち上げ、大学や企業と産学連携をおこなっています。
2022年には日建設計社と日本製鉄社の3社で共同開発をおこない、「反転スカラップ工法」で特許を取得しました。この工法は加工費用の削減や現場の工数低減、溶接時の二酸化炭素使用量の低減が可能な上、耐震性にも優れています。高い品質や安全性を保ちながら、SDGsの観点や現場作業にも配慮した工法を今後も考えていきます。

編集部:社内ではDX化など新しい取り組みを進めているとお伺いしました。

永井社長:ありがたいことに、次世代のメンバーがDX化を含め様々な取り組みを積極的に進めてくれています。実は私、2022年6月に一般社団法人全国鐵構工業協会の会長を拝命し、会社にいる時間が非常に少なくなったため、若手に権限移譲を進めていかなければならないタイミングでもありました。

これまでは教育体制が整っておらず、業務の分担・明確化などもできていなかったため、人の異動があると各部署で仕事が上手く回らないという課題がありました。それを今は次期社長を中心としてプロジェクトメンバーを集め、システムやアプリを活用した業務効率化・明確化、組織の再編、社内ネットワークに社外からアクセスできるような環境の整備、役職者向けのマネジメント研修の実施など積極的に進めています。

社内にいると気になって口出しすることもありましたが、今は会社にいる時間がない少ないので任せるしかない。遅かれ早かれ、社長としての役割を引き継ぐことは念頭にあったため、いいタイミングでもあったと思っています。若い世代とはジェネレーションギャップがあると世の中でよく言われますが、言葉や発信の仕方が違うだけで、根本的な考え方はそんなにかけ離れていないと感じています。会社を引き継いでいくにあたり、「その時代にあったやり方で、次の世代が挑戦していったらいい。」と私自身の考え方や決断の仕方も徐々に変わってきました。

永井製作所

また、会社として変わらず大事にしていることはコーポレートスローガンにもある「真面目に鉄骨」という言葉です。鉄骨製作のプロフェッショナル集団として、「他社にはできないもの」を造りたい。「量」よりも「質」にこだわりたいと考えています。そのために研究開発に力を入れ、より高品質なものを難なく造れるような体制を整え、他社との差別化を図りたいと思っています。社員一人一人が品質と仕事に対してきちんと向き合い、どうしたら本当に良いものができるのか突き詰めていって欲しいですね。
今後はさらに設備投資も積極的に行い、生産能力も増強してきたいと考えています。高度な建物に対してお客様のニーズに応え続けられるような体制をさらに整えていきます。

業界に先駆け、働き方改革や女性の活躍推進に取り組む

編集部:働き方も進めていらっしゃると伺いました。

永井社長:数年前には土日休みの完全週休2日制にしています。また年次有給休暇も法定通り年間5日(計画年休を3日、各人の希望に応じて2日)は必ず取得できるようにしています。半日有給休暇制度も整備しているため、子供や地域の行事、家族の通院など非常に助かると社員から声が上がっています。また、子育て支援の一環として子供手当も導入しました。産休・育休取得も過去7件実績があり、女性社員は現在約30名在籍しています。事務職だけでなく技術職としても活躍しており、うち4名は役職者です。

編集部:業界的にはかなり先進的な取組みですね。

永井社:休日休暇など働き方に関しては、建設業においても2024年4月から時間外労働の上限規制が適用されます。そのため数年前から、時間外労働の削減や休日休暇の取得ができる体制づくりに取り組んできました。土曜日も稼働している建築現場で、ゼネコンさんに対して「うちは土日休みます」という訳ですから大変です。社内からもお客様にご迷惑をおかけすると反対の声も上がりましたが、お客様のご理解と社員の意識改革にも取り組んだ結果、ようやく実現できたのです。
子育て支援や女性の活躍に関しては、恥ずかしながら最近になってようやく変わってきたことでもあります。以前は女子トイレや更衣室さえありませんでした。今では、女性も働きやすい環境が整えられ、自然と周りの社員もフォローし合う文化ができてきたため、出産後も復職してくれる社員が年々増えています。この様な取り組みが業界においても良い影響を与えられたらという想いもあります。

求めているのは、仕事も遊びも本気で取り組める人

編集部:新入社員の教育体制や資格の取得に関しても新たな取り組みを始められたとか。

永井社長:2023年4月からですが、新入社員に関しては1か月間研修期間を設けて、基礎から学ぶ時間を取るようにしました。溶接やクレーン作業で必要な技能資格、安全管理者資格などを研修期間中に取得して頂くようにしています。資格の取得に関しては、全社員を対象として支援制度も整備しています。女性でも鉄骨製作管理技術者や建築鉄骨検査技術者の資格を取得する方が増えてきました。社員が主体的に楽しんで資格の取得に励んでいる印象です。

また、コロナ禍の20年1月には企業理念・経営方針をつくりました。企業理念は「私たちは、鉄構の未来を創造し続ける企業を目指します」です。私が社長を引き継いだ時には、年間売上は50億円程度、社員も200名前後だったところが、現在では売上は100億円程度まで伸び、社員数も300名を超えました。規模も大きくなり、社員が増えてきた中で、企業理念を軸に仕事をしよう!判断に迷ったときは企業理念に立ち返って考えよう!という目的から新たに策定しました。

編集部:どのような人材を求めていらっしゃいますか?

永井社長:一生懸命、仕事にも遊びにも本気で取り組める人ですね。コーポレートスローガンの副題として「仕事も遊びも、いつでも本気」と掲げています。この言葉は私が学生時代に仲間と言い合っていた言葉です。プライベートを充実させるためには、仕事も一生懸命に取り組まないといけない。旅行や遊びも適当にやってたら面白くないですよね。色々調べて、相談して計画を立てて…時折、苦労することもありますが、その分楽しさもあります。私は会社の慰安旅行や社員との飲み会が大好きです。率先して計画を立てて、本気で参加しています(笑)

知識やスキルはなくても大丈夫です。ただ、私たちの世界は先輩の背中を見て学ぶ職人気質の世界です。努力を惜しまず、自らを極めていく姿勢が大切です。私たちはこれからもより「質」の高い、私たちにしかできないものを追求し、さらには「鉄を加工する技術者・技能集団」として「建築」の枠に捉われない様々な分野への進出を考えています。いつでも本気で楽しみながら、一緒に新しいことにチャレンジできる人がいいですね。

編集部 仕事にやりがいや楽しさをもって、取り組んで欲しいという事ですね。

永井社長:そうですね。以前、熊本城天守閣の復旧事業に携わりました。こんな機会は数百年に一度しかありません。このような物件に関わって、「自分が造った!」と自慢ができる。これほど誇らしいことはありませんよね。その他にも、福岡空港やJR博多駅・熊本駅、鹿児島・熊本アミュプラザ、肥後銀行本店・・・。さらには東京のど真ん中にある超高層ビルも、「これを造ったんだよ!」と子供に自慢できるんです。自分で手掛けたものがそこに存在する、その達成感や誇りが社員の原動力になっていると思います。
私が社員の結婚式に呼ばれた時も、「こいつはこういう建物をつくりました。」「絶対に壊れませんから。」という話をしたりしますよ(笑)。

 

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