熊本の未来をつくる経営者
「お客様のお困りごとにNOを言わない」創業の精神を貫き、出来ることの幅を拡げる株式会社マスナガの森社長
森弘国(もりひろくに):株式会社マスナガ・代表取締役。熊本市出身。北海道東海大学芸術工学部(旭川校舎)卒業後、家具メーカーを経て、2007年に同社入社。08年に営業主任、11年に取締役専務を経て、12年に社長就任。
機械工具問屋であり課題解決屋
ココクマ編集部(以下、編集部)「ネジと言えばマスナガ」という評判をよく耳にします。
森弘国社長(以下、森社長) 1949年に増永金次郎商店としてバリカンの卸売から創業して約70年を迎えます。ネジ類の店頭在庫数は約15,000点、全てを1本単位で販売している販売方式は九州でも稀で、取引先のニーズに細かく対応しています。こちらが売りたいものを売るのではなく、お客様が求めているものを揃え提供するよう心掛けています。また、新規商材の取り扱いにも積極的です。現在は、熊本市内を中心に半導体工場や金属加工工場、自動車部品製造工場など約300社に対して、ネジ・ボルト類、切削工具、電動工具、作業工具をはじめ、装置部品(空圧機器)やメンテナンス用部品などを販売しています。
編集部 貴社の強みや特色を教えてください。
森社長 「お客様のお困りごとにNOを言わない」という創業の精神を大切にしています。お客様のお困りごとに全力で向き合うスタンスは、「マスナガに相談したら何とかしてくれる」というお客様からの期待に変化してきていると感じます。先日も世界的な大手メーカーから相談・紹介を頂いたり、大手鉄道会社さんの会議にも参加させて頂きました。
「お客様のお困りごとにNOを言わない」精神から、様々な出会いが生まれ、仕事の幅も拡がっています。「この仕事うち以外には絶対頼まないよね。」というような、一筋縄ではいかない案件をご相談頂いた社員はすごく褒めますね(笑)。最近は、機械工具問屋というよりも「課題解決屋」の方がしっくり来ています。
「どこよりも頼れる存在。どこよりも一緒に仕事がしたくなる存在。どこよりもシゴトをおもしろくする集団。」をビジョンに掲げ、私たちと仕事をしたら、何かこれまでできなかったことができるかもしれないと期待して頂けるような動きを、これからも強めていきたいと考えています。
「ルール無用」、社員に任せる社風
編集部 社員への権限移譲が進んでいらっしゃるのですね。
森社長 当社にはあまりルールがありません。案件も多様化してきていますので、スピーディーな対応のためにも、基本的な判断は社員に任せています。もちろん、自分で判断できない場合は上司や先輩に相談することも可能です。そのために相談しやすい環境や雰囲気づくりにも常に気を配っています。
今期の売上は136%UPと絶好調、要因は社員の自主性だと確信しています。一般的に経営者が作成することが多い中期経営計画も、社員自らが目標数字を立てるようにしています。大切なのは「自分で何かを作り上げている」という圧倒的な当事者意識ではないでしょうか。
そんな社員たちの頑張りに応えるため、給与制度も変更しました。粗利の31%は社員に還元、社員の平均年収を500万円にしたいと考えています。給与でも仕事でも、自分でやったことが成果に繋がるということを実感して欲しいのです。ちゃんと自分の人生を自分で歩いているという感覚を、大事にして欲しいと思っています。
編集部 社内の情報共有化にも力を入れていらっしゃるとお伺いしました。
森社長 情報の一元化管理のために、クラウドサービスを導入しました。現場で記入した報告書や写真を即座にアップできるようになったことで、帰社後の書類作成時間が大幅に短縮されました。また、情報共有ができるようになったことで有給休暇の取得が可能になるなど、働き方改革にも繋がっています。
大切なのは「共感力」
編集部 どのような人材を求めていますか?
森社長 当社のミッションやビジョン、「NOを言わない」という創業の精神に共感してくれる人ですね。弊社の営業職に求められるのは、お客様の真意をしっかり把握するための理解力・ヒアリング力。加えて良好な人間関係を構築するための人間性です。お客様の課題や気持ちに共感して、一緒に考えられる心を持っている人がいいですね。
面接のときに、当社の「こういうところが好きです」とか「こういうところに惹かれた」というのを具体的に言ってくれる人も良いですね。当社のことをよく見てくれているなと感じます。当社に来て感じ取った雰囲気を好きだと言ってくれて、当社の社員たちと一緒に働きたいと思ってくれたら、なるべく受け入れたいと思っています。
編集部 趣味について教えてください。
森社長 仕事が趣味のようなものなので聞かれるといつも困るんですが、最近は貸しガレージを作りたいなと思っています。自分だけの書斎のように内装をお洒落にして、そこでコーヒーを飲みながら自分の車やバイクをいじったりする場所です。そういう場所があったら、私みたいに「仕事が趣味」という人も趣味が持てるのではないかなと思います。