熊本から世界へ。独自の生産哲学で自然環境を守り続ける。 株式会社杉養蜂園の米田社長 | COCO COLOR KUMAMOTO(ココクマ) | 熊本で働こう!暮らそう!熊本の熱量を届ける
これからのキャリアマガジン

熊本の未来をつくる経営者

熊本から世界へ。独自の生産哲学で自然環境を守り続ける。 株式会社杉養蜂園の米田社長

熊本から世界へ。独自の生産哲学で自然環境を守り続ける。 株式会社杉養蜂園の米田社長

米田弘一(よねだこういち):株式会社杉養蜂園・代表取締役社長。阿蘇郡西原村出身。東海大学卒業後、明治生命保険相互会社(現・明治安田生命保険相互会社)に総合職として5年間勤務。1991年、同社に入社。営業部長、専務取締役を経て、2014年に社長就任。現在に至る。

養蜂家企業としてイノベーションを起こし、お客様の期待に応える

ココクマ編集部(以下、編集部):事業内容を教えて下さい。

米田弘一社長(以下、米田社長)創業75年の養蜂家企業として、蜜蜂の飼育から採蜜、販売を行っています。蜂蜜をはじめ、ローヤルゼリーやプロポリスなどの健康食品、女性の肌悩みにお応えする自然派化粧品まで豊富な商品ラインナップを展開。中でも「ミツバチコスメ」は、全ての商品にローヤルゼリーや高品質の蜂蜜を配合した自社オリジナル化粧品で、健康· 美容分野への当社の意気込みを表す商品です。また、国内に73店舗、シンガポールに1店舗の直営店を運営し、国内外の多くのお客様からご支持をいただいております。蜂蜜という商品は、素材の良さを知っていただくところから始まる特殊な商品です。そのため、商品特性をしっかりと訴求するために実店舗は直営店としているのです。

編集部:商品のバリエーションが豊富ですね

米田社長商品開発力には積極的に取り組んでいます。蜂蜜そのものの素材の良さはもちろんですが、そこに付加価値をつけることが重要です。例えば、ゆずやアセロラの果汁などを組み合わせた「果汁入りはちみつ」は海外のお客様に大人気で、リピーターも多い商品です。香港では、蜂蜜は食べるだけでなく、飲むものとしても捉えられているため、水や湯で割って飲める「果汁入りはちみつ」や「漬け蜜」が特に人気です。天然の甘味と品質が「安心·安全」を求めるお客様のニーズに合致した結果ではないかと考えています。私たちの商品開発は、お客様の声を大切にしています。直営店舗での接客やテレマーケティングといった独自のダイレクトマーケティングを行っていますので、直接お客様の声を聞ける仕組みがあり、要望に合致する商品開発ができていると思います。

また、地域農業への貢献にも力を入れています。熊本県内のスイカ、メロン、イチゴなどの生産者へ、年間1,200箱以上の巣箱を貸し出し、ミツバチによる花粉交配を推進しています。また米作農家へのレンゲの種子配布を通じた土壌改良のお手伝いなど、自然農法による環境保護にも積極的に進めています。今後は、花粉交配用の蜂を販売するなど、全国へ向けた事業展開を目指しています。

編集部:海外展開もされていますね。

米田社長海外のお客様への販売はもちろん、世界の養蜂家と連携しながら、世界規模の養蜂活動にも取り組んでいます。これまでに、カナダ、フランス、オーストラリア、ブラジルなど、養蜂大国とされる地へ赴きました。現地の養蜂環境を実際に見て、そして現地スタッフたちの養蜂に対する考え方が当社と一致するかどうかをきちんと確認したうえで連携しています。お互いの優れた部分に刺激を受け、より良い養蜂につなげる。これこそが「養蜂のイノベーション」だと考えています。また、2019年には、ニュージーランド政府の協力を得て、現地法人を設立することができました。ニュージーランドの品質の高いマヌカハニーを使用し、商品ラインナップの充実を図っています。

時代の移り変わりの中で、『健やか農蜂業』を徹底して貫く

編集部:コロナ禍で何か変化はありましたか?

米田社長直営店舗の売上は、インバウンド(海外からの訪日客)のお客様が来られなくなったこと、休業や時短営業を余儀なくされたことで減少しました。しかし一方で、以前来店したことのある国内外のお客様からのネット注文が急増しています。特に、インバウンドとして過去に来店され、当社の商品を好きになってくださったお客様が自国から注文してくださっていて、以前と変わらぬ売り上げを維持できています。お客様に喜んでいただける事業を目指しながら、国内外問わずさまざまな取り組みを行ってきたことが、この時期のリピート購入につながり、なんとか乗り切ることができているのではないでしょうか。

新型コロナが落ち着くまで、販売は電話やネットを使った通販中心の状態でしょうね。国内外のネット通販のお客様が、どうリピートしてくださるかを考えていく必要があります。また、営業職の社員もまったく出張に行けなくなったことで、大変な時期ではあります。しかし、この時期だからこそできることもあって。電話の受付を手伝ったり、金柑の収穫に行ったり・・・商品をどういう思いで作り、どういった作業をして、どんな形で製造したものなのかを体感できて良い勉強になっていると思います。アフターコロナになり、店舗やイベントで直接販売する時には、その販売トークにも深みが出てくると思いますよ。

編集部:逆に変化しなかったところもありますか?

米田社長根本的な理念や思いは変わりません。創業以来培ってきたのが、独自の生産哲学『健やか農蜂業』。これは、「大自然の中では、養蜂業も農業もひとつだ」という思いです。蜜蜂と人間が健やかに生きることのできる地球環境を守ることも重大な使命ととらえ、国内外問わずさまざまな活動に取り組んでいます。また、「自分たちにできることはすべて自分たちでやる」という考えのもと、あらゆる工程で手仕事にこだわるのが、当社の貫き続けている「ものづくり」の在り方です。

編集部:巣箱も手作りされているそうですね!

米田社長熊本県産の杉材を2~3ヵ月かけてじっくりと乾燥させ、部材すべてにカンナがけを行い、ミリ単位の精度で約7ヵ月かけて丁寧に仕上げます。創業当時に3箱だった巣箱は4,000箱にまで増えました。蜜蜂の飼育群数で日本一となったのも、創業当時からの思いが受け継がれてきたからに他なりません。

もちろん効率的な仕事をすることも大事ですが、手間ひまかけた手作業からは、品質に対する誇りと自信が生まれます。一見非効率であっても、受け継ぎ残していくべき大事なことだと思っています。

地球環境に貢献する取り組みは誇りとやりがいのある仕事

編集部:今後の事業展開は?

米田社長実店舗だけでなく、ECサイトなどあらゆる販売チャネルを設けることで、さまざまな年齢層のお客様との出会いの場を作っていきたいと考えています。複数のチャネルがあると、それぞれのお客様にとって一番お買い上げしやすい方法が見つかるはずです。今まで通り店舗が良い方もいらっしゃいますし、電話がいい、ECがいいという方もいるでしょう。みなさんが不自由なくお買い物ができ、満足していただける体制づくりをしなくてはならないと思っています。

また、海外へ行ける状況になれば、海外展開をさらに進めていきたいです。しかし、これからは現地へスタッフを駐在させ、全部自前でやっていくことは難しくなるでしょうね。現地の人で運営してもらう、「パートナー制度」も必要になってくるかと思います。その場合は、サポート体制を整え、生産や商品に対する考え方をきちんとレクチャーしなければならないし、フォローアップも行っていかなければなりません。コロナが落ち着いた後にはなりますが、地域環境に対応した『健やか農蜂業』を世界へ拡げるため、積極的に海外事業のパートナー支援を行っていくつもりです。

編集部:求める人物像を教えてください。

米田社長販売チャネルの拡充を進めるなかで、5Gなどのデジタル新時代に対応するために、ITに強い若手社員を含むプロジェクトチームを発足しました。一緒になって進めてくれるITに強い人材は欲しいですね。また、海外展開を考えると、やはり語学は必要になってきます。当社には、英語や中国語を話せる社員が多く、みなさん活躍してくれています。今後も語学力のある方は積極的に受け入れたいです。

熊本を基盤に、世界のフィールドで働ける会社です。国内外問わず、いろいろな地域の良さ、熊本とのギャップを体感することができ、改めて熊本を客観的に見ることができるのではないかと思います。新たな刺激をたくさん受けたい方も応援します。また、当社は長年『健やか農蜂業』に基づき、環境保全活動を行ってきました。地元農家への巣箱貸し出しもそうですが、れんげの種の無料配布、年間約200本の植林なども行っています。ほかにもあらゆる活動を通して、蜜蜂そして人間にとって健やかに生きられる自然環境を守り続けてきました。最近では、それがSDGs(持続可能な開発目標)に当てはまる活動であるとして、あらためて社員たちが自分たちの活動に誇りを持ち始めています。このように、地球環境に貢献できる仕事がしたい方、『健やか農養業』の考えに共感される方は、やりがいを持って働ける会社です。

編集部:プライベートの趣味は何ですか?

米田社長走ったり、泳いだり、運動をすることですね。仕事の複雑な悩みも、体を動かしているとシンプルに考えることができるんですよ。40歳の頃にトライアスロンを始めて、怪我をしながらも15年間続けてきました。健康になるために運動が大事ですし、運動できるから健康でいられるのだと思います。この歳になると学生時代とは違い、やらされたら続かないと思います。自分で考えて自分で運動を行うから、きつくても耐えられるし、そこから得られる満足感や充実感が全く違いますよ。

熊本から世界へ。独自の生産哲学で自然環境を守り続ける。 株式会社杉養蜂園の米田社長

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

熊本へ転職希望の方の求人はこちら
今週の人気記事
年別アーカイブ
メールマガジン

ココクマのメールマガジン購読者募集中!! 熊本の就職・転職に役立つ情報をメールでお届けします。
月1回配信。登録・購読は無料です。
ご登録されたいE-mailアドレスを入力し、登録ボタンを押してください。