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玄米ペーストでコメの消費拡大を!農業の活性化を目指す農業機械のリーディングカンパニー 株式会社中九州クボタの西山社長

玄米ペーストでコメの消費拡大を!農業の活性化を目指す農業機械のリーディングカンパニー 株式会社中九州クボタの西山社長

西山忠彦(にしやまただひこ):株式会社中九州クボタ・代表取締役社長。天草市出身。熊本高校、慶應義塾大学卒業後、1980年日本電装株式会社(現・株式会社デンソー)入社。86年株式会社熊本クボタ入社。2001年1月社長就任。08年株式会社大分クボタと合併し株式会社中九州クボタに社名変更、現在に至る

新時代の農業を築く「スマート農業」

ココクマ編集部(以下、編集部)農業機械販売ではトップシェアを誇っていらっしゃいますね。

西山忠彦社長(以下、西山社長)ありがとうございます。当社は世界有数の農業機械メーカーである株式会社クボタのグループ会社として、食料供給基地である熊本・大分の2県で農業機械及び関連製品の販売・メンテナンスを手がけております。営業所43ヶ所、大型サービスセンター8ヶ所の計51拠点を有し、農機販売においては約50%のシェアを頂いております。お客様の身近で、いつでもお困りごとに対処できる体制が、お客様満足や信頼に繋がっているのではないかと考えています。

また、2016年には創立50周年を迎えました。今後の新たな半世紀に向け、基本理念である「活人耕志」のもと全社員一丸となり、社員とお客様と地域の発展のため日々邁進しております。

編集部 農業機械もかなり進化しているとか・・・。

西山社長 昨今はロボット技術やICTを活用した農業機械の実用化が進んでおり、超省力・高品質生産等を実現する新たな農業「スマート農業」が、今後日本の農業の未来を救う鍵になると言われています。㈱クボタでも、業界初となるGPSを活用した直進アシスト機能付きの田植え機や、パソコン・スマートフォン・農業機械をクラウドで結び、農業全般に及ぶ細かな情報を一元管理する「クボタスマートアグリシステム」を展開しています。まだまだ全てを全自動にするには至っていませんが、さらなる低労力・低コスト化を図り、農業における日本の課題解決に尽力したい考えです。

実は、ドラマ「下町ロケット」では農業機械の提供、シナリオ制作や機械操作などのドラマ演出に株式会社クボタが全面協力していました。

米の消費拡大へ!「玄米ペースト」の開発

編集部 日本農業の課題についてはどのようにお考えですか?

西山社長 日本は古事記で「豊葦原の瑞穂の国」と謳われるように、古来より稲作中心の農業を続けてきました。しかし減反政策と農業人口の減少、昨今の米離れが相まって水田耕作放棄地が増え、農村の疲弊が顕著であると感じています。2011年にはパンの消費量が米の消費量を上回り、国も「米粉パン」の消費拡大を推進しましたが、コスト面や栄養価の低さからなかなか普及は進みませんでした。

編集部 深刻ですね・・・

西山社長 農業及び農村を何とか活性化したいと思っています。そのためには、米の消費拡大が重要で試行錯誤している中で出会ったのが「玄米ペースト」だったのです。米粉は、米の栄養の約8割を含む「ぬか」を取り除き、精米した真っ白な米を洗い粉砕して作りますが、工程の中で高温にさらされてアルファ化され、栄養価がかなり下がってしまいます。半面、玄米ペーストは「ぬか」を残し、玄米を高温にさらすことなくそのままペースト状にしているので、米の栄養価はそのまま、さらに米粉製粉よりも工程が少なくコストダウンも可能です。

当社では2013年10月に株式会社熊本玄米研究所を設立、翌14年6月に「コメノパンヤ玄氣堂大津店」をオープンさせました。玄米ペーストを使った玄米パンは好評で、「玄米ペーストを分けてほしい」という声も頂くようになり、16年3月、菊陽に玄氣堂菊陽工場を新設。玄米ペーストの増産を行うほか、グルテンフリーのパスタ麺の製造もスタートさせました。このパスタ麺はタニタカフェでも採用頂いています。18年7月には「玄氣堂上通店」もオープン。玄米ペーストを使ったパンやパスタが、少しずつ認知されてきていると感じています。

編集部 インバウンド向けにもニーズがありそうですね。

西山社長 今年は女子ハンドボール世界選手権大会やラグビーワールドカップが熊本で開催されることもあり、外国からのお客様向けに熊本市内のホテルからもご注文頂いています。加えて、全国展開をしている大手菓子・パンメーカーから玄米ペーストを月に10t発注頂だいたり、グルテンフリーパンを全国で展開してみようと提案してくださる企業もあります。

日本で販売されているパンの99%は輸入小麦を使用して作られていますが、玄米ペーストは輸入小麦に代替できる素材ですし、小麦よりも栄養価が高い上に、グルテンフリーとしてアレルギーに対応することも可能です。消費量が増えればさらにコストダウンできますので、BtoBでより多くの企業に使って頂きたいですね。まずはこの5年で年間500tの出荷を目指します。そのほか、乾燥度が高く消費期限の長いフジッリというショートパスタの商品企画も進めており、こちらは輸出も企画しています。

私たち、中九州クボタが事業化できれば、㈱クボタや全国の販売会社の仲間がいますから、一気に拡げられると考えています。全国に1000カ所の玄米ペースト工場を作ることができれば、水田の耕作放棄地問題も解消できます。大変大きな目標ですが、私たちのチャレンジが成功すれば、わずかながらでも日本の農業にも貢献ができる事業だと思って頑張ります。

一人一人に着眼した人材育成

編集部 人材育成にも注力されていますね。

西山社長 人材育成面では、人材育成のための研修棟「耕志堂」を2013年に創設したほか、昨年4月、熊本大学と連携して実践している人材育成ID(インストラクショナル・デザイン)研修を具現化する専門チーム「ソリューションID部」を立ち上げました。現場での問題や課題を自分たち自身で解決するKMS(ナレッジマネージメントシステム)を取り入れ、社員一人一人が持つ技能や知恵を部内や社員全員で共有し、社員の能力の向上や業務の効率化を図っています。

また当社では3年前より京セラコミュニケーションシステム社に指導いただき「アメーバ経営」を導入しています。小集団の中でメンバー全員が知恵を絞り、努力し、目標を達成していくことで、自ずと現場の社員一人一人が主役となり、自主的に経営に参加する「全員参加経営」を実現しています。仕事の中でやりがいを感じ、経営に積極的に参加しながら、営業部長、グループ長、そして役員・社長を目指して欲しいですね。

加えて、アメーバ経営の指標の一つは「時間当たり収益」です。いかに生産性を上げるかという点では、昨今叫ばれている「働き方改革」にも繋がっており、時代の流れにも十分に対応できる環境整備ができていると感じています。

編集部 求める人物像を教えてください。

西山社長 やる気のある人がいいですね。農業や農業機械についてあまり知らない人でも、研修でしっかり知識を身につけることができますし、営業所の先輩やお客様から教わることも多いので、新人にはとにかく「どんどん疑問をぶつけろ」と言っています。みんなで知恵を共有しながらお互いに育て合って行く風土がありますので、やる気があれば大きく成長できます。

私たちの仕事においては、農家の方々との信頼関係の構築が大切です。同業他社との競合の中で、「この人から買いたい」「この人に任せれば安心」と思って頂けるような高い専門性と深い人間性を持つ社員の育成に注力し、同時に、会社を支えてくれる社員が働き甲斐を感じることのできる環境づくりを進め、社員一丸となって日本農業の活性化に努めて参ります。

編集部 趣味を教えてください。

西山社長 硬式テニスとサイクリングです。テニスは学生の時からやっていたのですが、本格的に再開したのは20年程前からですね。テニスコートまで行き来するのに、リュックを背負ってマウンテンバイクを片道6kmくらいこぎます。どちらも特に試合に出たり、本格的にサイクリングするわけではありませんが、体を動かして汗をかくとやはり気持ちいいですね。

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