熊本の未来をつくる経営者
グループ売上高200億円を達成。多角化経営で熊本から未来を切り拓く、株式会社ハイコムの甲斐社長
甲斐大童(かいたいどう):株式会社ハイコム 代表取締役。熊本大学工学部卒。肥後銀行、外資系保険会社などを経て全国広域型の保険・証券仲介代理店の設立に参画。法人マーケットを中心に10年以上、金融コンサルタントとして活動した。2016年に株式会社ハイコム専務取締役として参画。介護事業の立ち上げなどグループの新規事業を牽引し、20年2月、株式会社ハイコム代表取締役社長に就任、現在に至る。ハイコムポスティング株式会社、熊本ネット株式会社、ハイコムキャリアクリエイト株式会社代表取締役社長も兼務。
グループ売上200億円を達成、多角経営で更なる成長戦略を描く
ココクマ編集部(以下、編集部):ハイコムグループの事業内容を教えてください。
甲斐大童社長(以下、甲斐社長):ハイコムグループは、多数の事業を九州全域で展開しています。創業事業である不動産事業や通信事業を中心に、宅配水事業、ポスティング事業、高齢者福祉事業、カスタマーセンター事業、WEBマーケティング事業、そして新規に立ち上げたスマートファーム事業など、幅広い事業ポートフォリオを持っています。特に通信事業では、ソフトバンクとauの両キャリアのショップを運営しており、これが売上の大きな柱になっています。どの事業も「お客様と直接接するサービス業」という共通軸を持っていて、人財力が企業力に直結すると考えているからこそ、それぞれの現場で高いサービスを追求し続けることを大切にしています。
編集部:グループ中期経営計画を前倒し達成の要因は何でしょうか?
甲斐社長:2024年9月に「2027年グループ売上200億円」という中期経営計画を発表しましたが、2年目の今期で達成できそうな状況になりました。大きく寄与したのは、26年2月に福岡県内でソフトバンクショップ代理店を営む(株)エム・ティ・ネットからソフトバンクショップ10店舗の事業を譲り受けたことです。これによってハイコム単体で100億円、グループ全体で200億円という水準に達する見込みです。今回の事業譲受で当社が運営するソフトバンクショップは27店舗となり、九州内の店舗数ではナンバーワンになりました。一緒に働くスタッフも300名近くになって、クルー数でも九州トップです。今期8月の決算を経て、新たな中期経営計画を立て直していく予定です。目標を達成したことで終わりじゃなく、そこがまた新しいスタートラインだと思っています。

編集部:次の戦略はどのように描いていますか?
甲斐社長:まずは既存事業をしっかり伸ばすことが最優先です。通信業界は新店舗の出店が難しい状況なので、既存店舗の質をどう高めるかが鍵になります。ポスティング事業では熊本ネット(株)と(有)ロジネットジャパン(宮崎市)がハイコムポスティング(株)の子会社となり、倉庫の24時間共同活用などシナジーを生む統合を進めています。ポスティング事業でも熊本県内シェアナンバーワン、配布員450人態勢となり、行政誌の案件も複数受注しています。不動産事業でも、22年11月に不動産会社をM&Aし、賃貸、売買、仲介の事業を強化しています。特に東京、大阪、福岡などの主要都市の新築、中古のテナント、マンション物件に積極投資をしています。また、熊本では積水ハウスと提携し、賃貸マンション「Paradiso」シリーズを3棟展開しています。
また、金融出身のバックグランドを活かしてレバレッジを効かせた不動産投資や有価証券の運用など、先代会長時代にはなかった財務戦略を積み重ねてきました。「1+1を2にとどめない」という感覚で、それぞれの事業が互いを強化し合う仕組みを作っていく。その積み上げが、今の200億という数字につながっていると考えています。
スマートファーム事業と農福連携という新たな挑戦
編集部:スマートファーム事業を始められた経緯を聞かせてください。
甲斐社長:海外の農業テック企業「アレスカライフ社」を知人から紹介してもらったことがきっかけです。10年かけて植物工場のシステムを作り上げてきた会社で、日本での事業展開を考えていると・・・。このシステムの技術的な特徴が面白くて、AIが光合成の状態を画像解析して遠隔管理する仕組みや、植物の成長に合わせてLEDが自動で昇降する「サンライズ」機能など、国内にはまだないレベルの技術が入っています。年間を通じて同じ品質の野菜を安定供給できるのです。ただ、農業は作るだけではビジネスにならないので、販路開拓を考え、大阪・泉佐野に工場を作り関西圏からスタートしました。今では取引先のラグジュアリーホテルシェフからも太鼓判を押されるほど、お客様には品質を高く評価してもらっています。自分で言うのも何ですが、うちのレタスはめちゃくちゃ美味しいんですよ(笑)。エディブルフラワーという食べられる花も手がけていて、結婚式やホテルのデザートに添えられる単価の高い商品として、今ブランディングに力を入れているところです。

編集部:農福連携という取り組みにも力を入れていらっしゃいますね。
甲斐社長:スマートファーム事業を進める中で、農業と福祉の親和性の高さに気づいたんです。室内農業なので、年中20〜25度の快適な環境で作業できます。障害者の方が働く施設って、厳しい環境が多いのが現実なんですよね。それを聞いた時に、これは絶対に喜んでもらえると思いました。すでに東京・横浜・大阪・奈良・京都など4か所で農福連携パッケージの導入が決まり、問い合わせも非常に多い状況です。さらに2026年4月には新会社「ハイコムキャリアクリエイト株式会社」を設立し、6月には就労支援事業所「ハイコムキャリアセンター光の森」をオープンする予定です。植物工場内の一角を他の企業に貸し出して、そこで障害者の方に働いてもらう「レンタルファーム」というビジネスモデルも作っていこうと考えています。企業側は法定雇用率を満たせて、障害者の方は快適な環境で働ける。みんながWin-Winになる仕組みです。社会貢献と事業収益を同時に実現できる取り組みとして、今一番力を入れているところです。
編集部:これから軌道に乗せていきたいですね。
甲斐社長:ドバイでは「マイファーム」という形でホテルの空きスペースに農場を設置する取り組みが20か所以上進んでいて、それを日本国内でもやりたいと今トライしているところです。熊本空港のくまもとSDGsミライパークにもショーケース型植物工場を設置していて、パーク内でも人気のコンテンツになっています。始めたばかりの事業ですが、黒字化に向けて今が一番集中しなきゃいけない時期だと思っています。農業という一見するとハイコムらしくない分野で、あえて挑戦することに意味がある。社会課題を解決しながらビジネスとして成立させる。そこに本気で向き合っていきたいですね。
「人こそすべて」ーー組織づくりと人材採用への思い
編集部:「人こそすべて」がハイコムグループのフィロソフィーですが、採用や組織づくりについて、今どのような取り組みをされていますか?
甲斐社長:まず労働条件の見直しから着手しています。26年4月から年間休日を120日に増やしました。休日を増やせば現場が回りにくくなるという声も社内にはありましたが、「やらざるを得ない時代だ」と判断して決めました。さらに27年の新卒採用からは初任給を30万円近くまで引き上げる予定です。同業他社と比べれば条件は決して悪くなかったのですが、業界の常識ではなく社会全体の水準で考えなきゃいけない時代になっています。選ばれる会社になるためには、まず会社が変わらないといけない。
採用担当や役員とも徹底的に議論を重ねて、外から見て魅力的な会社に変えていくことを最優先に取り組んでいます。
編集部:定着や育成の面でも新しい取り組みをされているとうかがいました。
甲斐社長:離職の原因を分析すると、「条件面の不満」が多かった。だから外的な労働環境の整備と、内的なモチベーションづくりの両方を同時に進めることが大事だと思っています。定着施策の一つとして「メンターメンティー制度」を導入しています。入社した社員に先輩がマンツーマンでついて、シフトも昼休みも全部一緒に動く。3か月間、徹底的に寄り添う仕組みです。

さらに「人材育成課」という専門部署を設け、メンター自身への研修も行っています。教える側をきちんと育てないと、現場任せの属人的な教育になってしまいますから・・・。ZoomでのモーニングセミナーやエリアごとのOJTなど、研修の仕掛けをどんどん増やしています。IT推進部では6名の社内SEが社内システムの内製化を進めていて、生成AIを活用した開発スピードの向上により、以前は3か月かかっていた開発が1週間で終わるようになりました。在庫管理のRFID化や自動釣り銭機の導入など、DXも着実に積み重ね、残業ゼロを実現しています。働きやすい環境を整えることと、仕事そのものが楽しくなる仕組みを作ること、その両軸を同時に動かすのが私の考える人材戦略です。
編集部:最後に、ハイコムグループで一緒に働きたいと思う人物像を教えてください。
甲斐社長:正直に言うと、スキルよりも「一緒に成長したい」という気持ちを持っている人が欲しいですね。うちはサービス業ですから、お客様と直接向き合う場面がたくさんある。そこでお客様に喜んでいただけた瞬間の達成感って、他の仕事ではなかなか味わえないものだと思うんです。私自身、銀行から保険、そして経営者へと全然違うフィールドを渡り歩いてきましたが、「意思あるところに道は開ける」というのが私の信念です。やりたいと思ったことに向かって動き続ければ、必ずどこかに道は開ける。事業の幅が広がった分、挑戦できるフィールドも増えました。通信、農業、介護、IT、不動産と、自分の興味や強みを活かせる場所が必ずある会社になってきたと思っています。「全員が主役、全員が仲間」という言葉をうちでは大切にしているんですが、誰かが目立つのではなく、それぞれが自分の持ち場で主役になれる組織を作っていきたい。そのために経営者として環境を整え続けることが私の仕事だと思っています。熊本から全国に通じる仕事を、一緒に作っていける仲間をお待ちしています。












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