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「わかりやすさ」を追求した次世代の家づくりを推進する 株式会社スペースエージェンシーの益田社長

「わかりやすさ」を追求した次世代の家づくりを推進する 株式会社スペースエージェンシーの益田社長

益田健至(ますだけんし):株式会社スペースエージェンシー・代表取締役。熊本市出身。熊本工業高校インテリア科を卒業し、東京の設計事務所勤務の傍ら東京デザイナー学院スペースデザインⅡ部を卒業。1996年熊本へUターン、商業施設の会社で10年間勤務。2006年スペースエージェンシー創業。07年株式会社スペースエージェンシー設立、代表取締役就任。09年より新築住宅事業スタート、現在に至る。

人生の負担にならない住宅へのこだわり

ココクマ編集部(以下、編集部):「Arasen House(アラセンハウス)」は社名ではないのですね・・・

益田健至社長(以下、益田社長):そうですね(笑)・・・「Arasen House」はブランド名なのです。当社は注文住宅の販売を主事業としており、900万円から始める注文住宅「Arasen House」の他、大空間を実現する注文住宅「BROCK(ブロック)」、300万円台で高品質を実現した2×4モノコック工法の新提案住宅「PACO(パコ)」といった、3つのオリジナルブランドを展開、市内3カ所に単独のモデルハウスを構えています。

私は元々商業施設や店舗のデザイン・内装を手掛けていました。2006年に独立した時は、これまでの店舗デザインを中心にビジネス行う予定でしたので「スペースエージェンシー」と命名したのです。当時はオンラインショッピングが台頭し始めた頃で、リアル店舗の需要が減少していくことが予測できました。また、商業施設の内装工事は深夜・早朝、下請けとして思うように仕事が進まないことも多く、社員の負担も大きくなってしまうなど課題に悩んでいたのです…。2009年に住宅業界への挑戦を決意し、誕生したのが「Arasen House」です。

編集部:「Arasen House」は画期的なアイデアですね。

益田社長:住宅会社としてはネームバリューも実績もないので、どの会社もやっていない事をやる必要があったんですよね。価格帯としては3000~4000万円では他社と差別化できないと考え、反対に1000万円でどんな家がつくれるか?にチャレンジしました。

住宅業界への参入を決めた時に、私自身感じたのが住宅業界の「わかりにくさ」。家づくりの工程が複雑で手間がかかり、最終的な価格の見通しが立ちにくい…。そこで、「Arasen House」では先にこちらから価格帯を開示し住宅業界を改革したいと思ったのです。「Arasen House」の名前の由来は「1000万円前後から始める注文住宅=Around 1000 project house」。価格帯を前面に打ち出すネーミングと計13種類の基本プランを軸にカスタマイズしていくという家づくりの方法で「わかりやすさ」を追究しました。また、価格とプランだけでなく、間取りにもこだわりました。多くの工務店やハウスメーカーで取り入れられている、昔ながらのパターン化された間取りでは現代の20~30代のオーナー様の価値観に合わないのでは…と考え、「Arasen House」では住宅業界の常識を覆すような、無駄を省いた見切りの良い間取りに徹底し、面積効率を最大化させています。

お客様にとっての住宅を経済的な負担にしたくないといった思いもありました。1000万円台の家を実現させるために、徹底的にコスト計算をしましたよ。最も合理的な形で間取りをモジュール化し、ポピュラーな工法とスケールメリットを活かした内外装材・住宅設備などを使用することにより、性能・施工面で一切妥協する事なくコストカットを可能にしています。1000万円台という価格に対して「会社はやっていけるのか」とお客様から心配の声をいただくこともありました(笑)。2019年からは「Arasen House」に「ZEH」を標準装備としていますが、企業努力で業界水準の利益率も確保できています。

「上場できる組織体制」をつくり社員が安心して働ける会社を目指す

編集部:建築部門を別会社にしているとか?

益田社長:設計・工務部門を株式会社ジェットとして2019年に正式に分社化、当社株式会社スペースエージェンシーは営業・総務・経理部門に特化するよう役割を明確にしました。住宅業界では特殊な形態だと思いますね…。とは言え2社の代表取締役を兼任していましたので、私1人では目が行き届かなくなり問題も噴出していました。2019年4月に代表取締役を社内から抜擢し、新たな体制で再スタートしました。1年経過しましたが、会社的には非常に良くなったと思いますね。2名体制になったことで細かくマネジメントできていますし、社員の安心感にも繋がっていると思いますね。結果としてお客様からのクレームや現場でのトラブルがほぼなくなりました。田中(株式会社ジェット代表取締役)にとっても、自身の役割が明確になったことで、本来の設計・工務の分野にも集中できますし、マネージャークラスの社員も育ってきているので、組織として理想の形ができつつあるなあと感じています。

編集部:IPO挑戦隊にも参加されていましたね。

益田社長:2014年に福岡証券取引所が主催する、上場を目指す企業を対象としたセミナーの題材に取り上げていただいたことがきっかけです。その後監査法人の方にアドバイスを受ける中で、ガバナンス体制の弱さや仕事が属人的でシステム化されていないなどを指摘され、「今は売上が伸びているかもしれないが、いつ組織が瓦解してもおかしくない」と言われたんです。確かに「Arasen House」という差別化できる商品と突進力で成長していたようなところがあったので、改めて社内の体制を見直す必要があると意識が変わりましたね。上場などは全く考えていなかったのですが、上場する・しないに関わらず、上場基準を満たすように社内の制度を整えていけば良い会社になると考え、2014年に福岡証券取引所が運営するプロジェクト「九州IPO挑戦隊」の7期生として入会し、実践型のセミナーや最終プレゼンなどを通して様々な指摘を受けながら1年間学び、社内の制度整備に活かしていきました。

編集部:それからは順調に・・・

益田社長:そうでもなくてですね・・・(笑)。2016年の熊本地震も大きな転機になりました。震災特需で建て替えの依頼が急増した上に、これまでお取引をいただいたお客様のメンテナンスも重なりフル稼働の状況にも関わらず、前年を上回る棟数目標を追わせていましたので、社員にとってはかなりオーバーワークとなり離職にもつながっていきまいた…。IPO挑戦隊での学びが活かされていないと反省しきりです。震災をきっかけにして顕在化した社内課題などから、会社の基礎固めを改めてやっていく必要があると思い知らされました。

今では、特定の人に仕事が偏らないように、チームで仕事を進める体制に変更しています。来期は営業12名で100棟の受注を目指しています。つまり営業1人につき年間8棟を基準にしていますので、無理なくお客様にも向き合えるとのでは?と考えています。

私がいなくても会社が存続するような仕組み化を急いでいます。社員が安心して仕事ができ、次世代に「働きたい」と思ってもらえるような会社にしていきたいと思います。

自社ブランドのFC化で全国展開に挑戦

 編集部:ビジョンを教えて下さい。

益田社長:売上や着工数でナンバーワンになることではなく、社員と顧客の満足度ナンバーワンを追い求めていきたいと思っています。社員にこの会社で働いてよかったと思ってもらえるために、安定した財務基盤を確保していきます。また完全週休2日制はもちろん、半年毎の社内表彰や毎月購入額の0.1%を還元する持家手当など福利厚生を充実させていますし、今後も進化させていきます。お客様に対しては値段に納得して家づくりを任せていただけるように、商品の中身を常に見直し、ブラッシュアップしていきながら、地鎮祭や餅投げ上棟式などお客様の思い出に残るような「コトづくり」を共に行い、信頼関係を築いていきたいですね。

事業のビジョンとしては、2021年までにオリジナルブランドである「Arasen House」と「PACO」のFC展開を視野に入れています。熊本県外の住宅メーカーや工務店・新規事業で住宅を検討されている企業などをターゲットにしています。現在は販売方法も含めたパッケージ化を練っている段階です。効果的な販売方法やマーケティング、収益率など、自社での実績を数値化し、「これならやれる」と思ってもらえるようなパッケージに仕上げていきたいですね。私たちの想いが全国に拡がることを夢見ています。

FC展開は、新たな収益源を確保すると同時に、社内でのキャリアアップにもつながると考えています。当社のお客様の年齢帯は30代がメインのため、営業が40代を過ぎてしまうと感覚が合わなくなってしまいます。FC展開ができればスーパーバイザーに切り替わってもらい、FCの加盟店に対する指導員といったポジションも用意できますので、年齢や立場に見合った職責を担ってもらいたいと思います。

編集部:求める人物像を教えて下さい。

益田社長:住宅の営業というと、残業多いしノルマ厳しそうだし・・・でも稼げる!というイメージがあると思います。前述したように、チームセールスを心掛けていますので、1人のスーパーマンよりもチームで協働できる方を求めています。業界未経験でもOKで自発的に行動できる方が良いですね。当社では半年毎に経営陣と面談を実施していますが、面談の中でこれまでの自身の実績を元に役員へ向けてプレゼンテーションする「自薦式昇格制度」を設けています。自分が組織に参画する上でどのような結果を出しているのかを常に考えて、行動してほしいと考えています。また、FC展開に関わりを持った経験のある方に仲間になって欲しいですね。

 

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