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住宅会社から「住まい総合カンパニーへ」。「不動産×建築」で社会課題の解決に挑む株式会社スペースエージェンシーの益田社長

住宅会社から「住まい総合カンパニーへ」。「不動産×建築」で社会課題の解決に挑む株式会社スペースエージェンシーの益田社長

益田健至(ますだ けんし):株式会社スペースエージェンシー・代表取締役。熊本市出身。熊本工業高校インテリア科卒業後、東京の設計事務所に勤務しながら東京デザイナー学院スペースデザインⅡ部を卒業。1996年熊本へUターンし商業施設関連企業で約10年間勤務。2006年スペースエージェンシー創業、07年株式会社スペースエージェンシー設立、代表取締役就任、現在に至る。

脱注文住宅、「不動産を起点としたビジネスモデル」への大転換

ココクマ編集部(以下、編集部):事業内容から教えてください。

益田健至社長(以下、益田社長):現在は注文住宅ブランド「Arasen House」、賃貸戸建「casita」の販売・設計・施工、「小さな家PACO」のフランチャイズ本部運営・商品開発を中心に事業を展開しています。新たな取り組みとして、26年2月から「SUMiTAS」に加盟し、不動産事業もスタートしました。住宅メーカーから「すまい総合カンパニー」として事業を転換しているところです。

編集部:「Arasen House」のイメージが強いですが、事業の幅が拡がるのですね。

益田社長:そうですね。もともと当社は注文住宅ブランド「Arasen House(アラセンハウス)」で成長してきた会社です。2006年に独立してスペースエージェンシーを創業したのですが、商業施設や店舗のデザイン・施工を行う会社でした。創業して間もなく、インターネット通販の普及によってリアル店舗の需要が徐々に減りはじめていた時代でもありました。さらに商業施設の仕事は深夜や早朝の作業が多く、社員の負担も大きかった。そこで事業の方向性を見直し、住宅業界への挑戦を決めたのです。

そこで誕生したのが「Arasen House」です。住宅業界は価格設定が複雑で、お客様にとっても不透明だと感じたので、「1000万円前後から始める注文住宅」というコンセプトで価格を明確に打ち出したのです。当時は住宅会社としての実績も知名度もありませんでしたから、他社がやっていないことをやるしかなかったんです。その結果、この住宅ブランドが多くのお客様に支持され、会社としても大きく成長することができました。

編集部:1000万円台の注文住宅というのは、かなりインパクトがあったと思います。

益田社長:坪井にモデルハウスをオープンしたときは、2日間で75組に来場いただき、3号線が大渋滞したこともありました(笑)。ただ、住宅業界の環境はこの数年で大きく変わりました。資材価格の高騰、競合の大型化、そして若い世代の価値観の変化です。昔のように「絶対に注文住宅を建てたい」という人ばかりではなくなってきているんですね。

一方、組織的な課題も感じていました。注文住宅というビジネスは営業スタッフの力量に依存する部分が大きく、どうしても属人的になりやすいのです。新入社員の戦力化にはかなり時間がかかりますし、接客や対応品質もバラバラ・・・。これでは会社として持続的に成長していくことが難しいと感じたのです。

考え抜いた結果たどり着いたのが「不動産を起点としたビジネスモデル」への転換です。不動産売買仲介を入口に、新しい事業モデルを構築していきたいと考えています。

ArasenHouse、PACO、SUMiTASなど多角化経営で「住まいの総合カンパニー」を目指す

編集部:住宅会社から不動産事業へ軸足を移すというのは、かなり大きな決断ですね。

益田社長:そうですね。でも冷静に考えると、お客様の人生の中で、相続、住み替え、売却、リフォームなどな不動産に関するお悩みが様々あると思うのですが、家を建てるのはその一部分に過ぎません。

つまり、本当に価値のある会社になるには、不動産と建築の両方を扱える会社になる必要があると考えたのです。私たちが目指しているのは「住まいの総合カンパニー」。住宅、不動産、賃貸、リフォーム、集合住宅など、住まいに関わるすべてをワンストップで提供できる企業になりたいと考えています。例えば不動産売買仲介を行うと、売却したい方と購入したい方の両方に出会います。そこからリフォームの提案ができたり、新築の相談につながったり、場合によってはアパート建築の提案もできる。つまり、不動産情報という一つの入口から、住まいに関する様々なサービスに拡がっていくわけです。

編集部:PACOが注目されていますね。

益田社長:もう一つの特徴的な事業が、小さな家ブランド「PACO」です。2×4モノコック構造を採用したコンパクト住宅で、限られた空間でも快適に暮らせるよう設計されていて、デザイン性とコストパフォーマンスの両方を追求しています。「広い家=良い家」というイメージがありますが、実際にはそこまで広さを必要としていない方も多いんですね。単身世帯やセカンドハウス、宿泊施設など、様々な用途で活用できる住まいとして開発しました。2022年から全国フランチャイズ展開も行い、加盟店22社、施工は31エリアで展開しています。※2026年3月時点

また「PACO」は移設可能な宿泊ユニットで、地震に強い工法で設計され、平時は宿泊施設、有事(災害)には仮設住宅として活用するモデルを構想中です。全国8カ所の提携工場での生産・施工により最短50日で完成します。実際に能登半島地震の際には、私たちの「PACO」が87棟提供され、被災された方々の住まいとして活用されました。住宅会社として、災害時に社会の役に立てることはとても大きな意味があると感じています。

編集部:モバイル建築とは新たな発想ですね。

益田社長:「PACO」を活用し、建設・宿泊・地域活性を融合した事業モデルを全国に展開していこうと動いているところです。さらには、「PC70」(プレキャストコンクリート賃貸)や「バトントクチ」(実家の継承・活用コンサル)など新規事業も仕込み中です。将来的には売上100億円規模の企業を目指し、IPOも視野に入れています。

ただ、これは規模を追うためではありません。企業規模が大きくなることで、地域社会に対して提供できることも増えていきます。災害対応や空き家問題、地域の雇用など、建築と不動産の会社だからこそできる社会貢献があると思います。「空間づくりを通じて社会課題を解決する」というのが、これからのスペースエージェンシーのビジョンです。

理念共感型採用で、100億円企業を目指す。

編集部:事業も多角化していきますが、どのような人材を求めていますか。

益田社長待遇や条件だけで会社を選ぶ人ではなく、「理念に共感してくれる人」と働きたいと考えています。そのため面接にはかなり時間をかけます。会社のビジョンや事業の方向性、私たちが何を目指しているのかをすべて説明して、それでも一緒にやりたいと思うかどうかのすり合わせをします。これから私たちは、不動産、住宅、リフォーム、賃貸、集合住宅など様々な事業に挑戦していきます。その中で、会社の方向性を理解し、自分の役割を考えながら主体的に動ける人に仲間になってほしいと考えています。

編集部:組織づくりにおいて意識していることはありますか。

益田社長「チームで仕事をする仕組み」を意識して作っています。例えば営業の目標も、個人の数字だけでなくチームで達成することを重視しています。営業一人につき年間8棟程度を基準に設定し、無理なくお客様と向き合える体制を整えています。棟数を増やすことだけを目的にすると、どうしても社員の負担が大きくなってしまいますので、長く働ける環境をつくることが大切だと思っています。

また、人材育成の面では半年ごとに経営陣との面談を実施しています。この面談では、社員自身がこれまでの実績や取り組みを振り返り、役員に対してプレゼンテーションを行う「自薦式昇格制度」を取り入れています。これは、自分が組織にどんな価値を提供しているのかを考えながら仕事をしてほしいという想いから始めた制度です。社員が受け身になるのではなく、自分のキャリアを自分で考え、主体的に挑戦していく。そういう文化を作りたいと思っています。

編集部:社員のキャリアについても考えているのですね。

益田社長会社として事業を拡大していくことで、社員のキャリアの選択肢も増えていくと思っています。例えば、不動産事業が成長すれば不動産営業というキャリアがありますし、住宅、リフォーム、賃貸などそれぞれ専門分野があります。

さらに将来的にはFC展開や新規事業なども含め、社内で様々な役割が生まれてくると思います。年齢や経験に応じて、新しいポジションに挑戦できる環境を作りたいですね。

編集部:社員の独立も応援していると聞きました。

益田社長はい。社員が成長して「自分で事業をやりたい」と思うなら、それはむしろ嬉しいことです。会社で経験を積み、会社に貢献してくれた人が次のステージに挑戦するなら、背中を押して送り出したいと思っています。当社で経験を積んだ人たちが、それぞれの場所で活躍していく。そういう会社になれたら嬉しいですね。

編集部:最後に、会社として大切にしている考え方を教えてください。

益田社長会社というのは地域社会の一部だと思っています。企業が自分たちの利益だけを追いかけるのではなく、地域の課題に向き合う存在であるべきです。

これから日本は人口減少や空き家問題、災害など様々な課題に直面します。その中で私たちは、不動産と建築という分野から社会課題を解決していきたい。そして社員にとっても、お客様にとっても「この会社があってよかった」と思ってもらえる企業でありたいと思っています。

住宅会社から「住まい総合カンパニーへ」。「不動産×建築」で社会課題の解決に挑む株式会社スペースエージェンシーの益田社長

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