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地球温暖化防止に取り組む、熊本の環境ベンチャー企業 株式会社エコファクトリーの村上社長

地球温暖化防止に取り組む、熊本の環境ベンチャー企業 株式会社エコファクトリーの村上社長

村上尊宣(むらかみたかのぶ):株式会社エコファクトリー・代表取締役社長。八代郡出身。小川工業高等学校建築学科を卒業後、地元建設会社、水処理メーカー、建築設計事務所を経て、1996年に一級建築士事務所設立。翌年、有限会社アクアの代表取締役に就任。2006年に株式会社エコファクトリーへ社名変更し、代表取締役社長に就任。現在に至る。

独自技術の輻射式冷暖房システム「ecowin」を国内外に展開

ココクマ編集部(以下、編集部): 事業内容を教えて下さい。

村上尊宣社長(以下、村上社長):当社は、空調機器の製造・販売を中心に事業を展開しています。主力商品である「ecowin(エコウィン)」は、独自技術により開発した、地球にも人にもやさしい輻射(ふくしゃ)式冷暖房システムです。これまでの空調機器とは異なり、住空間の快適性と省エネ性の向上に貢献する画期的な製品です。一般住宅はもちろんのこと、体育館・図書館・学校などの公共施設など、導入実績は2007年の販売開始以来約1万台を超えています。

編集部:エコウィンは進化を続けているとか?

村上社長:初代「エコウィン」から、「ecowin panel(エコウィンパネル)」、「ecowin HYBRID(エコウィンハイブリッド)」、「ecowin air-Unit(エコウィンエアユニット)」と次々に製品を投入してきました。どれも輻射式というコア技術は同じです。性能が上がるというよりも、マーケットのニーズに合わせて改良を加えていった結果、新しいタイプが誕生したという感じです。導入を検討されるお客様に対しては、解決したいニーズと設置場所に応じた最適なものをご提案しています。

今年の10月には、「ecowin resistor (エコウィンレジスター)」という新たなタイプの製品をリリースします。今回は、換気機能に焦点を当て抗ウイルスに対応した製品となっています。人の呼吸などで空気は少しずつ汚れていくため、定期的な換気が必要となりますが、「エコウィンレジスター」には窓を開けずに換気し、新鮮な空気を取り込む技術を搭載しています。新作発表後、代理店を通じて全国で販売を進めていきます。

編集部:代理店はどのくらいありますか?

村上社長:北海道から沖縄まで、全国代理店が13社、地域代理店が40社あります。また、株式会社デンソーソリューションとはテクニカルパートナー契約を結んでいます。これからも代理店は募集し、日本全国を網羅したいと考えています。地域に根差した代理店と連携することにより、地域活性化を促進したいとも考えます。

また、海外展開も積極的に行っており、中国に製造・販売を担う合弁会社「营口微子空调有限公司」を設立するほか、台湾や韓国にも拠点を構えています。一般家庭、病院、レストランなどで「エコウィン」が導入され、国際特許も取得するなど、海外でも当社の製品を認めて頂いています。今後も、まずは今ある拠点をしっかりと運営し、着実に海外での設置台数を伸ばしていきたいと考えています。

地球温暖化防止を事業の軸に製品開発を行う

編集部:「エコウィン」を開発されたきっかけは何ですか?

村上社長:元々は建築設計事務所として創業しました。意匠設計を中心にデザイン重視の設計で多くの物件を手掛けてきました。しかし、2005年に地球環境に関するセミナーに参加したことをきっかけに、地球環境の現状に強い危機感を覚え、環境に配慮した建築をしたいと考えるようになりました。社員を交えてどのような事業が良いか検討を行った際に、床下暖房に使われるヒートパイプ技術を思い出し、従来の空調技術にイノベーションを起こして、「輻射式の冷暖房システム」という新しい技術を開発するに至りました。空調分野のエネルギー消費を大幅に削減し、地球温暖化防止へ貢献することを事業の軸に据えたのです。

編集部:環境関連の受賞が多いですね。

村上社長:有難いことです。「第4回エコプロダクツ大賞国土交通大臣賞」(07年)、「省エネ大賞省エネ事例部門審査委員会特別賞」(14年)、「地球温暖化防止活動環境大臣表彰」(15年)など、多くの賞を頂きました。新規性やデザイン性、省エネ性を高く評価して頂いたことに、大変嬉しく思います。受賞により注目されたことで、認知度・ブランド力が向上し、多くの方に「エコウィン」を知って頂けるきっかけとなっています。

編集部:ネーミングライツも取得されていますね。

村上社長:2018年4月から宇土市民体育館は「ecowin(エコウィン)宇土アリーナ」という愛称で親しまれています。元々、宇土市民体育館に「エコウィン」が導入されていて、宇土市民をはじめとする熊本県内外の多くの方々から好評を得ていました。また、これまでに世界12か国から視察にも来られるなど、宇土市からも大変喜ばれていました。そのようなご縁もあり、当社もネーミングライツに手を挙げ、契約を結ぶ運びとなりました。
ecowinのブランディングはもちろん、体育館を利用した「エコウィン」の体感会を開催するなど、営業面での効果も絶大、とてもプラスに働いていると感じています。今後はネーミングライツの機会があれば全国各地に拡げていくことも考えています。「エコウィン」という名称が認知されることで、地方の代理店が営業しやすくなるという効果も期待しています。

編集部:代理店への支援も手厚いですね。

村上社長:そうですね。代理店は「チームエコウィン」という、同じ目的を持った仲間ですから、有益な情報交換や成功事例の共有、営業支援などを頻繁に行っています。今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、営業活動ができないという声が代理店から上がりました。これはメーカーとして早急に対応をとらねばならないと思い、新製品の開発に踏み出したのです。

編集部:新製品ですか?

村上社長:2020年6月5日に発売された「ecowin(エコウィン)フィルター」です。既存のエアコンに取り付けるフィルターで、空気を吸い込む際に、浮遊しているウイルスなどをキャッチし、銅イオンの効果によってウイルスを不活化させるという製品です。従来の当社製品は無動力で長寿命という特徴がありますが、今回の「エコウィンフィルター」は1か月に1回程度の定期交換が必要な消耗品である分、大変安価でお求めやすくなっています。年間販売目標は30万パック。発売から3か月で約2万パックを売り上げていて、予想を大きく上回るスタートが切れました。また、当社製品としては初めてインターネットショップで購入できる体制をとったことも、売上につながったようです。この「エコウィンフィルター」がきっかけで、問い合わせが入ったり、主力製品の営業につながったりと、代理店の後方支援になったようで安心しました。

編集部:まさに今の時代に合った製品ですね。

村上社長:おかげさまで、学校、病院、指定避難所、一般の飲食店など、多くの施設に導入して頂きました。JISの基準による試験データでエビデンスを取り、フィルターに「抗ウイルス」と印字しました。また、玄関口などに貼る設置証シールも準備していて、一目で「エコウィンフィルター」が導入されている施設だと分かります。例えば、飲食店などでこういったウイルス対策が施されていると分かると、お客様も安心して利用ができると思います。店舗側にもお客様側にも安心感を与える製品ですね。

中小企業の強みを活かしたスピード感でニーズに対応

編集部: 今後の事業展開は?

村上社長:来年25周年という節目の年を迎えます。これを機に、代表を長男にバトンタッチし、私は黒衣として会社を盛り上げていけたらと思っています。若い人が経営に携わることで、会社に新しいイノベーションが起きていくと期待しています。
創業期より、ベンチャー精神に基づいた事業展開を行ってきましたが、今後もその姿勢は継続していくつもりです。会社の規模が小さい分、スピード感に優勢がありますから、時代や社会のニーズを的確に捉え、スピーディに展開していくことが当社の役割だと思っています。

編集部:販売台数や売上など、目標数はありますか?

村上社長:今のところないです。数字の目標を出して、それを追っていくということはしていません。あまり急成長をすると無理をしますからね。堅実に実績を積み上げていくと、結果はあとでついて来るはずです。

当社の使命は、地球温暖化防止のため、CO2排出を削減するアイディアを具現化させていくことです。特に空調はエネルギー消費が大きく、個人から事業まで多くの方が利用しています。また、国内のみならず、海外もグローバルに空調エネルギーを消費していますので、当社の技術が日本から海外まで広がれば、地球環境に大きく貢献できるのではないかと考えています。当社のような中小企業でも志があれば、地球温暖化防止という社会的な役割や責任を果たせるのだと示していきたいです。

編集部:求める人物像を教えてください。

村上社長:プロジェクトの数も多くなり、新しいことに取り組んでいくとなると、今の状態では人材が足りていないと感じます。開発、施工管理、営業、事務などの全てのポジションで積極的に募集をしています。
景気悪化による新規戸建て住宅の減少は、当社にも少なからず影響があると考えています。そのため、今後は公共施設向けの製品に力を入れていく必要があるでしょう。それに向けた製品開発など、新しい展開を一緒に進めてくれる方を求めています。

地球温暖化防止に取り組む、熊本の環境ベンチャー企業 株式会社エコファクトリーの村上社長

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