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地域の未来を創る九州フィナンシャルグループの「地域商社」。 九州みらいCreationの萩原社長

地域の未来を創る九州フィナンシャルグループの「地域商社」。 九州みらいCreationの萩原社長

萩原大造(はぎはら だいぞう):株式会社九州みらいCreation・代表取締役社長。1973年9月生まれ。鹿児島市出身。鹿児島大学法文学部を卒業後、1997年4月に株式会社鹿児島銀行に入行。同行営業統括部主任調査役、株式会社九州フィナンシャルグループ経営企画部総合調査室長、同社事業戦略部副部長兼事業開発室長を経て、2023年4月に株式会社九州みらいCreation代表取締役社長に就任。

地域を創り未来を拓く、九州みらいCreationの挑戦。

ココクマ編集部(以下、編集部):九州みらいCreation設立の背景についてお聞かせください。

萩原大造社長(以下、萩原社長):「九州みらいCreation」は、2023年4月3日に九州フィナンシャルグループ(以下:KFG)の100%子会社として設立されました。南九州(熊本・鹿児島・宮崎)は、人口減少・少子高齢化という大きな課題に直面しています。南九州は、食料を供給する生産県としての役割が大きい地域ですが、消費人口が減り、さらには生産年齢人口も減少し、作り手もいなくなる。この「トリプルパンチ」にどう対応するかが大きな課題でした。一方で、ネットの普及により地域経済圏が崩壊するリスクも感じていました。私たちが100年以上かけて築いてきた地元の経済圏が脅かされる。そこで「地域のお客様とともに地域を創る」という覚悟を持って、リアルとデジタルの両面で地域を守るビジネスを展開する必要があると考えたのです。私たちが設立した「九州みらいCreation」は、そうした課題に対して「金融以外の手段で地域に貢献する」ことを目的とした、いわば「地域商社」なのです。

編集部:具体的な事業内容について教えてください。

萩原社長:「ECモール事業」と「海外ビジネス支援事業」の2事業を展開しています。
「ECモール事業」では「よかもーる」というオンラインモールを運営しており、地域事業者と消費者をつなぐデジタルプラットフォームとして、地域のDX支援や経済好循環の創出を行います。大手ショッピングモールとちがい、出店者を南九州の事業者に限定し、地元の特産品を広く発信・販売しています。また、登録手数料をいただかない成功報酬型で、お客様や地域事業者とともに利益を分かち合う形で運営しているのも特徴の一つです。

「海外ビジネス支援事業」では、南九州の特産品を世界に届ける活動をしています。もともと鹿児島銀行・肥後銀行にも海外事務所がありますが、営業活動はできず限定的な支援となっていました。例えば抹茶やカラスミといった商品は、既に中国や台湾、アメリカ、シンガポールといった海外市場で高い評価を得ています。これらは単なる物販にとどまらず、南九州のブランド価値を高め、地域に還元することを目的としています。現地のニーズをしっかり把握し、マーケットインの発想で南九州の事業者につないでいきたいと考えています。

編集部:これまでの実績についても教えてください。

萩原社長:「よかもーる」は、2023年6月にオープン、20事業者・60商品ほどの規模でスタートしました。地道な営業活動を重ね、わずか2年で180事業者・700商品以上にまで成長しています。南九州の事業者にこだわり、地域に根差した商品を取り扱っています。そのため、単に商品数を増やすのではなく、「質」と「地域性」にフォーカスしています。季節限定の商品や、地域ならではの食材、伝統工芸品など、南九州ならではの魅力を詰め込んだラインナップを揃えています。

「よかもーる」掲載商品の流通拡大を目的に、2024年6月から南九州の食文化を贈るギフト「よかギフト」の発売を開始しました。大切な取引先への手土産や顧客向けキャンペーンの景品など、あらゆるギフトシーンでご活用いただけるのではないかと考えています。

「思い入れ市場」で地域経済を守る。

編集部:今後、どのような事業展開やビジョンを描いていらっしゃるのでしょうか?

萩原社長:KFGでは「地域価値共創グループ」を2030年ビジョンとして掲げています。その中で、当社は、地域のお客様にとっての、新たな付加価値サービスを提供する会社という位置づけだと思っています。「地域商社」とはいえ、私たちは単純にモノを売って稼ぐことを目的としている会社ではありません。地域のGDPを上げながら、黒字化を目指す事業ですから、現時点では、域外からの外貨獲得に力を入れていく方針です。域内に資金を循環させ、南九州に活力を生み、持続可能な地域社会をつくるお役立ちができれば本望です。

ECモール事業は引き続き拡充し、南九州の「思い入れ市場」へのアプローチを強化します。南九州に縁のある都市部在住の方々や、地元を応援したい企業と連携していきたいと考えています。

編集部:「思い入れ市場」とは?

萩原社長:「思い入れ市場」とは、私たちが南九州で生きてきたからこそ感じる“地域への愛着”をビジネスに活かすためのマーケット概念です。例えば、都市部で暮らす南九州出身の方々や転勤や旅行で南九州に良いイメージを持たれた方々が抱く懐かしさや応援したいという気持ちが購買動機になります。これを私たちは「思い入れ市場」と呼び、そのニーズに特化したマーケティングを行っています。実際に「よかもーる」の売上の7割は南九州以外のお客様からのものです。これはまさに「思い入れ市場」の存在を証明する数字です。

編集部:どのようなマーケティングになりますか?

萩原社長:単なる物販ではなくストーリー性が重要です。生産者の顔が見える商品紹介、地元の風土や文化を伝えるコンテンツ、そして「ここでしか買えない限定商品」などを通じて、思い入れを共有できるような情報を発信することで“心の距離”を縮めることができるのではないかと考えています。
WEBやSNSの活用以外にも、県人会や同窓会など、都市部に住む南九州出身者が集まる場に足を運び、「よかもーる」の存在を知ってもらい、リピーターとして長く関係を築いていく…。この草の根活動こそが、私たちの強みなのです。

編集部:ふるさと納税事業にも着手されるとか…

萩原社長:そうですね、2025年7月には実装開始、10月には本格稼働を目指しています。また、観光や体験型消費といった「トキ消費」への対応も進めています。南九州の自然資産は、インバウンドの大量消費型観光とは異なる魅力を持っています。世界自然遺産の屋久島や霧島、阿蘇といった地域資源を活かし、ヨーロッパなどの富裕層をターゲットにした「トキ消費型」の観光ビジネスを展開したいと考えています。単なる商社ではなく、金融グループとしてのリソースを活用しつつ、物販・観光・プロモーションを融合させた「地域価値共創モデル」を構築していくつもりです。

三方よしの精神で挑む、地域と共に成長する組織。

編集部:会社の組織風土や求める人材像を教えてください。

萩原社長:弊社のパーパスは「地域を創り、未来を拓く」です。グループとして金融だけでなく、物販、人材、観光など、さまざまな領域から地域課題にアプローチしています。

組織風土は、まさに「地域を創る」という大義を軸に、自主性と協調性を重んじる風土です。弊社はまだまだよちよち歩きのベンチャー企業ですから、日々侃々諤々議論を尽くしながら、一歩ずつ前に進んでいる感じですね。銀行出身者も多いですが、外部からの採用にも積極的です。商社やコンサルティングの経験者はもちろん歓迎ですが、一番重視しているのは「地域に対する思い」と「当社の理念への共感」です。技術やノウハウは後から身につきますが、地域を愛し、汗をかいて一緒に歩んでくれる人こそ、私たちが求める人材です。

編集部:その想いが組織づくりにも繋がっているのですね。

萩原社長:はい。「生みの苦しみ」ではなく「生みの喜び」を感じながら仕事ができる組織を目指しています。固定観念に縛られず、自ら考え、行動するベンチャー気質を持ちながらも、地域金融グループとしての信用と責任感を持ち合わせる。そのバランスを大切にしています。
また、グループ内の異動制度やポストチャレンジ制度を活用し、やる気のある人材が手を挙げてチャレンジできる風土を作っています。これまでに毎年数名ずつ、思いを持った人材が新たに加わっています。

編集部:最後に、経営者としての想いをお聞かせください。

萩原社長:私がこの事業を通じて大切にしているのは、「三方よし」の精神です。自社だけが儲かるのではなく、地域全体が潤い、お客様も笑顔になる。そんなビジネスを目指しています。
金融グループとしての利益も当然追求しますが、それは地域が元気であってこそ。そのためには、地域事業者の方々と密に連携し、ともに汗をかき、課題を解決していく姿勢が不可欠です。私自身、マネーゲームのような世界は好みません。地に足をつけ、地域のお客様とともに喜びを分かち合える仕事こそが、九州みらいCreationの存在意義だと考えています。この覚悟を持って、これからも地域の未来を一緒に切り拓いていきたいと思っています。

 

地域の未来を創る九州フィナンシャルグループの「地域商社」。 九州みらいCreationの萩原社長

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