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日本屈指の軽金属資材サプライヤー 世界中で唯一無二のマグネシウム合金を持つ 不二ライトメタル株式会社 古澤社長

日本屈指の軽金属資材サプライヤー 世界中で唯一無二のマグネシウム合金を持つ 不二ライトメタル株式会社 古澤社長

古澤清一(ふるさわ きよかず):不二ライトメタル株式会社・代表取締役社長。1976年熊本県立玉名工業高校卒業後、九州不二サッシ株式会社(現:不二ライトメタル株式会社)入社。2017年取締役、21年6月代表取締役社長に就任。

付加価値を高め「量から質への転換」へ

ココクマ編集部(以下、編集部):事業内容を教えて下さい。

古澤社長(以下、古澤社長)当社は1969年、不二サッシ株式会社の子会社として、熊本県の有明臨海工業地帯の第一号誘致企業として長洲町に設立、親会社からの受注をメインとする住宅サッシ専用工場としてスタートしました。76年には親会社への依存を脱却するために、営業部門を設立し東京・大阪へ営業展開を行うようになりました。同時に形材販売事業を開始するなど、自主独立経営こそが今日の当社の礎であり、フロンティアスピリットとなっています。

現在は「軽金属資材のサプライヤー」として、主にアルミニウムやその他金属製品の設計・製造・販売・施工、サッシやその他の建築材料・建築金物類の設計・製造・販売・施工、建設業に関連する機器や資材類の製造・販売を行っています。

編集部:業績はいかがですか?

古澤社長:受注生産の工場で、売上全体の7割を建材分野が占めています。新型コロナウィルスの影響で、建設工事のストップや営業活動が思うように進まないなどの影響は少なからずあります。一方、数年前から力を入れている、加工品の売上は好調で、特に半導体業界向けの製品は伸びています。
これまでの50年は形材販売が中心でしたので、販売量を増やすことが収益の確保に繋がっていました。しかし、価格競争も激しく、これまで同様の物量を確保するのは難しいと予想されますので、付加価値を高め、利益率の高い加工品の売上比率を高めることが必然です。つまり「量から質への転換」がこれからのテーマとなります。

不二ライトメタル古澤清一

編集部:「量から質への転換」。組織変更にはそのような意図があったのですね?

澤社長:ビジネスモデルはもちろん、全社員の意識や考え方・習慣はすぐには変わらないですよね。行動もおこらないし、発想がわかない…。であれば、意識改革の環境づくりから着手しようと考え組織変更を行いました。「管理本部」「営業本部」「製品本部」「資材本部」「技術本部」の5本部体制で、形販事業の収益基盤改善と加工品事業の拡大に取り組みます。これには組織を集約し責任範囲の明確化と意思決定のスピードアップによる変革を加速させる狙いがあります。

編集部:手応えはいかがでしょうか?

古澤社長:まだまだ始まったばかりですので、大きな成果まではいってませんが、意思決定のスピードが速くなっているのは事実です。もう少し詳しく言いますと、営業本部の中に、商品開発を担当するスタッフを配置し、技術営業部門を設置しました。これまでOEM生産を多く手掛けてきましたので、お客様の要望に応えられる技術力やノウハウが蓄積されているのですが、これを営業に活かせていなかったのです。組織に横串を刺すことで、スピーディーにかつクリエイティブに、新たな価値の創造に繋げられると考えています。

重要なのは、実務担当者同士が常に会話できる環境なんですよ。そこで2つの分科会を立ち上げました。1つは加工品拡大分科会です。営業・技術・製造・加工品など各部門から選ばれた若手リーダー(30歳~40歳前半位)が、月2~3回のペースでディスカッションを行っています。これまでは部門を超えた情報交換に時間がかかっていたのが課題でしたが、この取り組みにより、タイムリーに相談ができるようになりました。例えば、自社の設備では対応できないものも、提携している外注先であればできる。など、具体的な動きが連携して出来てくるようになりました。2つ目は形材販売収益改善分科会です。合理化や歩留まりの改善活動はもちろんの事、収益改善に向けた、販売単価のUPや出荷量の調整など、収益構造をいかに良くするかを検討しています。営業が1円、生産部門が1円改善するだけで収益は大きく変わります。そんなにハードルが高いものではないと思っています。このような活動を通して、全従業員の意識改革を促すとともに、自然と会話が生まれる職場環境に変えていきたいと考えています。

さらなる成長の鍵は「マグネシウム」

編集部:マグネシウムに関する取り組みについて教えてください。

古澤社長:マグネシウムは現在、3つの柱で研究開発を行っています。1つは熊本大学との共同研究による「KUMADAI耐熱マグネシウム合金」です。実用化に向けた研究開発でご指名頂き、2002年から16年間ご一緒させて頂いています。高強度な上に、熱を加えても強度が落ちない優れた素材で、現在は航空機向けの合金開発を行っています。

2つ目はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の事業で研究開発している「難燃性マグネシウム合金」です。名前の通り「燃えにくい」のが特徴のマグネシウム合金です。
現在、新幹線などの高速鉄道車両構体にはアルミニウム合金が使用されていますが、より軽量化を実現するための新素材として、アルミニウムよりも30%以上比重の小さいマグネシウムが注目されたのです。NEDO事業では参画機関各社と共に2018年の春、長さ1mの車両構体を試作することに成功し、現在6mにチャレンジしています。この構体は「難燃性マグネシウム合金」を使った世界最大級の大型構造部材で、マグネシウム合金製の高速鉄道車両実用化に向けた大きな一歩となっています。

3つ目が医療機器向けの「生体吸収性マグネシウム合金」です。マグネシウムは人体に必須となる元素のひとつであり、人の体内で安定的に分解・吸収される性質を持つため、手術後に患者の体内に留置されるステント等への活用が期待されています。当社では産業技術総合研究所との共同研究により、ステントのような管状や、髪の毛のように細いマグネシウム合金部材を成型する技術を開発しました。

不二ライトメタル古澤清一

また、これまで他社が開発してきた「生体吸収性マグネシウム合金」は、体内での強度を保つために他の素材も混ぜているものがほとんどで、人体にどのような影響を及ぼすかわかっていませんでした。反面、当社の「生体吸収性マグネシウム合金」は人体に影響の無い素材で作られております。これは世界中で唯一、当社だけが持っている素材です。

編集部:世界中で唯一の素材ですか・・・!すごいですね。

古澤社長:2018年6月、マグネシウム合金製医療機器部材の素材作製から加工までの一貫製造・供給を行う設備を約3億円かけて自社内に導入し、9月には熊本県より医療機器製造業の認可を受けました。今後は更なる実用化に向けたファーストインマン試験(人体投与実験)を行っていく予定です。
今は売上の7割がアルミニウム素材の建材が中心となっていますが、今後はマグネシウムで航空・車両・医療機器の新しい分野にも進出し、事業の幅を広げていきます。まだまだ市場もできておりませんし、JISやISOも整備しながらの開発で研究陣も苦労していますが、必ず大きな実を結ぶと確信しています。

人を育て、地域に貢献する

編集部:今後の成長のために取り組むことは?

古澤社長人材育成には引き続き力を入れていきます。社内教育としてはベテラン社員が講師としてセミナーを開催、また技術・技能・ノウハウの伝承するための動画制作を行っています。自己啓発や資格取得のための通信教育受講費用を会社で負担するなど学ぶ環境は豊富です。管理職クラスには、異業種企業との交流を主体とした研修に参加してもらっています。他業界や他社からの学びは多く、社内展開できるよう継続受講しています。
そのほか「社内提案活動」も行っています。全社員が毎月、最低1人1件は会社に対して意見を出すというものです。新商品や製造方法・職場環境などに関して、全員で意見出し合って実現させていきます。素晴らしい成果に繋がれば社長賞が出ることもありますよ。やはり私ひとりで考えるのには限界がありますし、社員目線で見えることがたくさんあります。大小様々な意見がありますが、社員の総意が集まればその中からすごいものが出てきますよ。

不二ライトメタル古澤清一

人事評価制度は見直しています。「意識を変えて欲しい!失敗を恐れずチャレンジするんだ!」と要望しても、結局失敗したら評価が低い…それでは行動に移せませんよね。努力をして、結果をだしてくれる人たちに対しては、勤続年数に関係なく評価していきます。今回の組織変更に伴い、中間層の活用・抜擢も進めています。次世代に引き継ぐ移行期間として経験を積んで欲しいと思っています。

編集部:ブライト企業にも認定されていますね。

古澤社長社員の働きやすい環境づくりにも注力しており、熊本県からブライト企業認定を受けました。毎週水曜日をノー残業デーに設定し、有給休暇は全員必ず取得します。さらに産休も100%取得。健康面・メンタル面共に産業医に定期的に診て頂いており、働きやすい環境づくりができているのではないかと思います。

また地域貢献も積極的に取り組んでいます。地域からの積極的な雇用はもちろん、月に1回の管理職による道路清掃、自社製のアルミ神輿を担いで地元の祭りへ参加するなど、地域との交流も大切にしています。理念にも掲げている通り、我々の存在価値は「お客様・地域にどう認めてもらえるか」なのです。「さすがは不二ライトメタル!」と言われる存在であるために、背筋を正してこれからも努力していきたいですね。

編集部:休日はどのように過ごされていますか?

古澤社長:趣味のゴルフもコロナ禍で半年以上行けてないですね…。多忙で、家にいることも多かったのですが、これじゃいかん!と思い、最近は、天気の良い日はドライブに出かけています。密を避けられるし、運転中は仕事のことを考えないようにしています。天気が悪い日は自宅で映画鑑賞ですね。仕事の事は頭から離れることは無いのですが、リフレッシュして、メリハリをつけないと、新たな発想が生まれてこないですよね。もっと若い頃は生まれていたのに段々思考回路が鈍くなってきてるからスパッと切らないとなかなか次の発想が出てこない。そういう意味ではいい息抜きにはなっています。

※写真撮影時のみマスクを外しています。

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