熊本の未来をつくる経営者
「社会に価値を提供する」を基準に多角化経営で事業を拡大するハイコムグループ、ハイコムウォーター株式会社の甲斐社長
甲斐文祥(かいふみよし):ハイコムウォーター株式会社 代表取締役社長。熊本市出身。明治大学政治経済学部卒業後、1996年にNTT西日本入社。コンシューマー向け営業・法人営業を経験。99年に㈱ハイコム入社。携帯ショップ、通信法人営業、不動産営業など現場経験を経て、06年に副社長就任。ハイコムモバイル㈱・ハイコムビジネスサポート㈱・グルービズ㈱・名水みなみあそ㈱の代表取締役社長も兼務。
多角化と一貫性、成長を支える事業戦略
ココクマ編集部(以下 編集部):まずはハイコムグループの全体像を教えてください。
甲斐文祥社長(以下 甲斐社長):ハイコムグループでは、通信事業や不動産事業を中心に、宅配水事業、ポスティング事業、高齢者福祉事業、コールセンター事業、WEBマーケティング事業、SES事業、スマートファーム事業など、幅広い事業を展開しています。特に通信事業では、ソフトバンクとauの両キャリアのショップを運営しており、これが売上の大きな柱になっています。どの事業も「お客様と直接接するサービス業」という共通軸を持っていて、人財力が企業力に直結すると考えています。だからこそ、それぞれの現場で高いサービスを追求し続けることを大切にしているのです。
編集部:甲斐社長の担当領域とそれぞれの特色を教えてください。
甲斐社長:グループの経営はもちろんのこと、ハイコムモバイル(株)・ハイコムウォーター(株)・ハイコムビジネスサポート(株)・グルービズ(株)・名水みなみあそ(株)の5社の代表をしています。
ハイコムモバイル(株)は、熊本・福岡・佐賀でauショップ・UQスポットを13店舗運営しています。二次代理店として九州1位のポジションにいますが、まだまだ上にいる状況なので、店舗拡大は大きなテーマです。事業譲渡の話なども業界内では動いているので、そういったチャンスがあれば積極的に取りにいく姿勢です。

ハイコムウォーター(株)は、阿蘇外輪山のふもと南阿蘇村の地下100mより採水した清涼飲料水(天然水)生産・販売を行っています。12ℓのウォーターサーバーボトルのほか、小型ボトルの生産体制も整えています。弊社の南阿蘇村工場から出荷する12ℓのウォーターサーバーボトルは年間500万本で、宅配水業界(天然水)で西日本トップシェアとなります。また、オリジナルラベルデザインを作成できる「あぴーる水®」というサービスも展開しており、300mlスリムボトルもラインナップに追加されています。 熊本城の天守閣を模したデザインボトル「KUMAMOTO CASTLE WATER」は土産品として人気を集めています。
2024年4月からは、熊本県南阿蘇村にある「水加工場はくすい」の指定管理業務を開始、地域の資源を活かした事業にも取り組んでいます。自社工場とあわせて生産体制を持っているのは強みであり、単なる販売会社ではなく、価値を自ら作り出せる体制になっています。
編集部:コールセンターも拡大していますね。
甲斐社長:はい。ハイコムビジネスサポート(株)では熊本市と広島県福山市の2拠点で約200名規模のコールセンターを展開しています。弊社クライアントの契約者向けのカスタマーサポートが中心業務となります。いかに迅速・正確・丁寧に、お客満足度の高い応対ができるかをテーマに研修に力を入れています。
グルービズ(株)はMEO対策、WEB広告、WEBコンサルティング、DX支援加え、SES事業(システムエンジニアリングサービス)も手がけています。企業の課題をワンストップで解決する会社です。SES事業では、ITエンジニア育成に取り組んでいます。未経験からでも働きながらITエンジニアとしての基礎を学べる仕組みで、約530時間のカリキュラムを経てITエンジニアとしてデビューしていただきます。熊本の人材が外に流出するのではなく、地元でなりたい職業に就ける環境を作りたいという想いがあります。
編集部:多角化しながらも一貫した軸を感じます。
甲斐社長:そうですね。いろいろやっているように見えるかもしれませんが、すべて「事業として成立するか」「社会に価値を出せるか」を基準に選んでいます。事前のリサーチはかなりやりますし、ボツになる案件も多い。その中で選び抜いたものを、最後までやり切る。それがこれまでの成長を支えてきたと思っています。
ビジョンを掲げ「目標を達成し続ける集団」へ
編集部:今後のビジョンについて詳しく教えてください。
甲斐社長:大きくは「既存事業の深化」と「新規領域の創出」の両軸です。通信事業に関しては、まだ拡大の余地があります。事業譲渡などの機会をしっかり捉えて、規模を伸ばしていく。一方で、単なる拡大だけではなく、地域のお客様に価値を提供し続ける取り組みも重要だと思っています。例えば「思い出携帯再起動」のような活動は、単なるサービスを超えて、お客様の人生に寄り添う価値を提供できる取り組みです。

宅配水事業に関しては、市場の構造が変わってきました。天然水自体の需要がなくなったわけではないですが、ここ数年で浄水型サーバーが「価格」や「手軽さ」で選ばれるケースが増えています。ただ、天然水の本質的な価値は変わらないと思っています。天然水ならではの美味しさや安心・安全という部分をどう伝えるか。そのために営業の強化だけでなく、ECやブランド戦略、さらにはポスティングなど新しい営業手法も取り入れていきます。現場での仮説検証を繰り返しながら、効率的な販売モデルを作っていきたいですね。
編集部:AIの活用にも積極的ですね。
甲斐社長:はい。コールセンターでの活用を起点に、音声AIをサービスとして展開していきたいと考えています。企業の受付対応や営業の初期対応など、人がやらなくてもいい部分はAIに任せる。その分、人はより付加価値の高い業務に集中できる。そういった形で、企業の生産性向上にも貢献できると思っています。
編集部:新規事業についてはどのように考えていますか。
甲斐社長:SES事業はその一つですが、これは単なる新規事業ではなく、社会課題の解決と直結しています。エンジニア不足という課題に対して、「人を育てることで供給する」というアプローチです。今後はITだけでなく、他の職種にも応用できる可能性があります。熊本で働きながらスキルを身につけ、地元でキャリアを築ける仕組みを広げていきたいと考えています。
編集部:グループ全体として目指す姿はどのようなものですか。
甲斐社長:根本にあるのは「目標を達成し続ける集団」であることです。どんな環境でも、立てた計画をやり切る。そのためには、事業ごとにビジョンやミッションを明確にし、社員一人ひとりが自分の役割を理解している状態が必要です。今まさにその言語化を進めていて、組織としての解像度を上げているところです。ビジョンは掲げるだけでは意味がないので、現場で実行できる形に落とし込むことが大事だと思っています。その積み重ねが、結果として大きな成長につながると考えています。
「人こそすべて」、社員と共につくるやり切る組織
編集部:人材観や組織についての考えを教えてください。
甲斐社長:グループとして「人こそすべて」という考え方があります。これは単なるスローガンではなくて、実際の意思決定や組織づくりの根幹にあります。お客様、社員、取引先など、関わるすべての人を大切にする。それができる人であることが前提です。

編集部:組織づくりで今取り組んでいることはありますか。
甲斐社長:会社(事業)ごとにPMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー)を再定義しているところです。これまでグループ全体の理念は掲げていますが、事業内容も異なりますし、どのように行動に落とし込むのか少し曖昧だったのです。そこに社員の声も取り入れながら言語化していくことで、より実行力のある組織にしていこうと考えています。
経営陣だけで決めるのではなく、全社員にアンケートをとって、「今どういう気持ちで働いているのか」「会社をどう捉えているのか」を集めています。それをもとに言語化することで、社員自身が納得感を持てるものになると思っています。
編集部:人材育成についてはいかがでしょうか。
甲斐社長:「なりたい姿を実現できる環境」を提供することを大切にしています。いきなり理想の職業に就けない人でも、働きながら学び、ステップアップできる仕組みを作る。それが結果的に会社の成長にもつながると考えています。また、リーダー育成にも力を入れていて、各拠点の責任者がしっかりと目標達成に向き合えるように研修や仕組みを整えています。拠点が多いからこそ、現場のリーダーの質が組織全体の力に直結します。
編集部:最後に、どんな人と一緒に働きたいですか。
甲斐社長:正直に言うと、楽な会社ではないと思います。目標に対しては厳しく向き合いますし、「やり切る」ことを求めます。ただ、その分、自分の成長や社会への価値提供を実感できる環境です。何かを本気で成し遂げたい人、自分の可能性を広げたい人には合っていると思います。
まだまだ成長途中の会社なので、完成された環境ではありません。ただ、その分自分たちで作っていく余白があります。挑戦したい人には、非常に面白い環境だと思います。一緒に成長していける仲間に出会えたら嬉しいですね。
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