熊本の未来をつくる経営者
もずく・めかぶ・色物海藻シェア全国No.1 海藻の無限の可能性に挑戦し 地域社会に貢献する カネリョウ海藻株式会社 髙木専務
髙木良將(たかきよしまさ):カネリョウ海藻株式会社・専務取締役。宇土市出身。東海大学第二高校(現・東海大学星翔高校)、日本経済大学卒業。福岡市の食品メーカー勤務を経て、2014年4月カネリョウ海藻株式会社入社。18年2月専務取締役就任。
「120%成長」を維持し、さらなるチャレンジを!
ココクマ編集部(以下、編集部)事業内容を教えて頂けますか?
髙木良將専務(以下、髙木専務)海藻に一生懸命向き合い50年、基礎研究から商品開発・製造・品質管理・販売までの一貫体制を強みとする、全国的にも珍しい総合海藻メーカーです。
もずく・めかぶ・色物海藻の取扱量は日本一。現在、熊本・宮城・東京・大阪に工場や営業所を展開、大手量販店を始め全国約1,000社の取引先様からは「海藻のことはカネリョウ海藻に聞け」と言って頂けるようになってきました。通販サイト「OKAGESAMA」も順調に立ち上がり、グループ売上は200億円を超え、海外展開にも力を入れています。
特にこだわっているのが、製品の安心安全。「HACCP」の導入や海藻メーカーとしては世界初となる「SQF」の取得など、世界最高レベルの製造システムを構築しています。
また、おいしさの追求も怠りません。独自に開発した「THC(髙木式加熱冷却)製法」によって製造された「三陸宮城県産めかぶ」は、2013年全国水産加工品総合品質審査会にて全国722品目の中から最高賞である農林水産大臣賞を受賞。品質の高さも評価頂いています。当社らしく、「当たり前」のことを、真面目にコツコツ実践してきた成果だと実感しています。
編集部 ここ数年の業績は120%成長だとか・・・。
髙木専務 特にここ5~6年は健康志向の後押しに加え、テレビ等でもずく・めかぶの効能を取り上げて頂いた結果、売上が大幅に伸びており、これまでもずく・めかぶを食べていなかった年齢層の方にも定着してきました。最近は味の付いていない商品も販売しており、自分好みの味付けで食べて頂けるように工夫したことも裾野の拡大に繋がっています。
編集部 特色のある商品が多いですね。
髙木専務 熊本・仙台で約30名のスタッフが商品開発に取り組んでいます。業界初となる海藻の機能性表示食品「快調もずく」や、平均市販品より30%減塩、業界で初めて国立循環器病研究センターに認定された「かるしお もずく」、国産海藻4種類と九州産大麦を使った業界初の「海藻グラノーラ」など、これまでの概念に囚われない目新しい商品の開発も行っています。
関連会社の「サンクスデザイン」では化粧品の開発も手掛けています。海のミネラルで癒されて欲しいというコンセプト「sea treat(海の恵みで女性をもっとキレイに)」を掲げ、今年10月には製品が完成、現在商談が進んでいるところです。
またこれまで、「海藻が体に良い」ということは何となく認知されてきましたが、実際にどういう栄養素があって、体のどの部分に良い効果があるのかなど、いまだ解明されていないことが多くありました。当社では全国の大学と連携し、海藻の基礎研究・栄養価研究にも力を入れています。この研究結果次第では、商品の高付加価値化や、これまでお付き合い頂いてきたお客様・生産者様への恩返しにも繋がると考えています。好調な業績を収められている今だからこそ、海藻業界をリードする気持ちで積極的にチャレンジしていきたいと考えています。
わかめの「種」から地域を元気に!
編集部 社会貢献にも取り組まれていますよね。
髙木専務 漁師の高齢化や後継者不足、温暖化や海洋汚染など、海に関する社会問題の解決に取り組むべく、当社では「海の恩返しプロジェクト」を進めています。「まずは、会社の礎となった天草の海を元気にしよう!」と立ち上げた天草のプロジェクトでは、天草の海で私たち自身がわかめの養殖を行い、オリジナルブランドとして商品を開発し販売しています。
プロジェクト発足当時は、三陸や鳴門のわかめに比べると葉が薄く、商品としては見劣りする状態でした。そこで大学と連携し「種」の研究に着手しました。研究の結果、天草の海でも立派に育つわかめの「種」の開発に成功したのです。
この「種」と「技術」を地元の漁師さんに提供し、養殖したわかめを私たちが仕入れることで、漁師さんの売上に貢献することもできます。このプロジェクトから生まれた商品が「つなぐわかめ」。第28回全国水産加工品総合品質審査会で《大日本水産会会長賞》と《主婦大賞》をW受賞しました。
このプロジェクトを始めて3年、わかめ養殖に携わる漁師さんも年々増えてきて嬉しい限りです。今後はわかめ以外の養殖もできるように、ひじきやあかもくの「種」の研究も行っています。
また2013年には「カネリョウ基金」を設立し、宇土市内での伝統文化や教育などに関わる活動資金を助成しています。
編集部 海外への取り組みは力を入れていかれるのですか?
髙木専務 現在、28か国に当社の商品を輸出しています。昔は黒い食べ物に対する嫌悪感や、海藻のぬめりが嫌いだという外国人の方も多かったのですが、最近はそれも少なくなってきました。10月、フランスで開催された世界最大級の食品展示会SIALに出展させて頂いたのですが大変好評で、当社の海藻グラノーラが日本食品メーカーで唯一入賞しました。現地に合った食べ方を提案できたのが、入賞に繋がったと感じています。
市場の動向をいち早くキャッチし、現地のニーズに素早く応えていけるよう、最近はアメリカとタイで直接取引も行っています。海外については今後も少しずつ展開先を拡げ、5年後には売上高10億円を目指しています。
モチベーションはお客様からのお手紙
編集部 幅広くチャレンジされていますが、アイデアはどこから?
髙木専務 仕入れ先や取引先など、現場に様々なヒントがありますので、それを拾ってきた社員からの声がほとんどですね。会議があればみんな積極的に意見を出してくれますし、社長との距離も近く、気さくに話ができるというのも大きいと思います。
また、去年の忘年会から「販売部門」「生産部門」と2つの部門で1人ずつMVPを選出しています。前回は、他の社員をフォローすることでブロックの売上を大幅に上げた大阪の営業部門の社員と、異物除去の機械を自ら開発し、製造部門に貢献した社員が表彰されました。MVPには賞状・商品券が授与されるほか、社内報の表紙を飾り、その社員の特集が組まれます。社員自身はもちろん、そのご家族も喜ばれるでしょうし、モチベーションアップに繋がるのではと思っています。
何よりのモチベーションは、お客様からの声です。「カネリョウの商品が一番美味しい」と工場にお手紙を頂くこともあります。これからもお客様に喜んで頂ける商品を創り続けていきたいですね。
編集部 求める人材像について教えてください。
髙木専務 新卒は元気が良くて素直で、先輩から見ても教えてあげたくなるような人材がいいですね。やる気があって積極的に先輩に聞くような人は、やはり急激に育ちます。多少勉強ができなくても、うちに入ってからしっかり勉強してくれれば大丈夫ですよ。
中途については、それまでのキャリアの中で身に着けたスキルやノウハウを発揮し、当社の若手の幹部に刺激を与えてくれる、先生になれるような方がいいですね。会社の社員たちとうまくコミュニケーションを取れるタイプの方であればなお歓迎です。
編集部 趣味を教えてください。
髙木専務 最近はゴルフが好きですね。年に10回程度ですが、お誘い頂くことも増えてきましたので、会社の成長に負けないよう頑張ろうかと思っています(笑)。サッカーも高校までやっていたのですが、最近は昔みたいに体が動かなくなりましたね・・・。母校の東海大学星翔高校が活躍していて嬉しい限りです。
あとは食べ歩きやお酒も好きです。お酒は幅広いジャンルのものを飲みます。最近は仕事で海外に行くことも増えてきましたので、行った先々でその土地のお酒を飲むのも楽しみのひとつです。