熊本の未来をつくる経営者
社員を信頼し任せる経営で、お客様の信頼を築く株式会社千広の廣瀬社長
廣瀬修(ひろせおさむ):株式会社千広・代表取締役社長。熊本社会福祉専門学校卒業。福祉用具の販売を手掛ける株式会社ホワシでの勤務を経て、2003年に同社設立。代表取締役就任。
「手を抜かず真剣に」お客様の幸せを追求する
ココクマ編集部(以下、編集部)事業内容を教えて頂けますか?
廣瀬修社長(以下、廣瀬社長)当社では大きく3つの事業を展開しています。
一つ目は福祉用具のレンタル・販売、住環境の提案・施工・監理を展開するホームヘルスケア事業。二つ目が高齢者・要介護者向けのサービスを展開するケアメディカル事業部。住宅型有料老人ホーム3棟を開設、田迎・画図・良町にあり、各ホームに訪問介護事業所、通所介護事業所(デイサービス)を併設して多岐にわたり展開しています。
最後に障がいを持つ児童の方向けのサービスを展開するセルフサポート事業。児童発達支援「ここぷらす」・放課後等デイサービス「ふぁみさぽここ」を併設して運営。現在八王寺・出仲間・帯山の3拠点で開設しております。出仲間においては高齢者・児童の複合施設としてオープンしており、将来的には地域の相談窓口としての役割を考えております。
売上は順調で、今期目標10億円を達成する見込みです。売上の半分弱は福祉用具の販売・レンタルですが、新しい住宅型有料老人ホームを昨年8月に1ヶ所、児童福祉施設を10月に3事業所開設し、高齢者・児童の施設運営事業も伸びています。
編集部 若くして創業されていますよね。
廣瀬社長 「福祉・介護領域のリーディングカンパニーになる」という目標を掲げ、27歳の時に会社を作りました。初めはたった3人、福祉用具の販売・レンタルからのスタートでしたね。お客さまの笑顔と「ありがとう」が何より嬉しくて、当時は在宅のお客様をメインに事業を展開していました。私は昔から「人間が一生懸命やって結果が出ないことは無い」と考えていたので、手を抜かず真剣に、がむしゃらに取り組みました。
その後事業拡大に伴い、高齢者をはじめ児童の施設運営事業を開始。私は介護・支援する側もされる側もwin‐winの関係になれる施設を作りたいと思っています。最近は在宅介護、子育てにおける課題も多いですね・・・。介護、子育てで悩みを抱えて、ご自分を犠牲にしている人も少なくはありません。「あの施設なら安心して預けられる」「あそこの施設だったら幸せ」と言われるような施設づくりを行っています。
社員に任せることが成長の鍵
編集部 順調に成長されていますね。
廣瀬社長 ありがとうございます。でも最初からそう上手くはいかなかったですよ(笑)。
想像以上に上手くいかなかったのが、人材教育や組織作り。最初の5~6年はなかなかスタッフが定着せず、本当に悩みました。「皆一生懸命にやれば自分と同じようにできるはず」という考えで仕事に取り組んでいたため、社員にも同じように求めてしまい、社員を行き詰まらせていたんですね。自分で悪循環を作っていたと思います。
編集部 そこから抜け出すきっかけがあったのでしょうか?
廣瀬社長 当時私は営業をしながら社長も務めていましたので、会社が大きくなるにつれ会社全体の業務にも支障が出ていました。会社の発展のためにも、社員の成長のためにも、まずは自分が変わる必要があるなと・・・。そこで会社が7年目に差し掛かるとき、自分は社長業に専念し営業から退くと決めました。売上が下がったら経営を諦めようと思うくらい、大きな決断でしたね。
それから初めて人に「任せる」ということを経験しました。任せたことで社員が自発的に考えて行動するようになり、結果、会社の業績も良くなっていきました。施設運営事業をスタートさせたのもそれからです。
仕事を任せることで、社員との信頼関係が生まれ、社員も会社も成長するということを身をもって学んだ転機でした。いまでは可能な限り社員に仕事を任せるようにしています。
自ら「やりたい!」と思える意識=信頼
編集部 今後のビジョンは?
廣瀬社長 来期まで新規事業の立ち上げは考えていません。この1~2年は組織作りに力を入れて、次の事業を仕掛けるための体制をグッと固めていきたいと思っています。私があれこれと指示するのではなく、社員が共に話し合い、「これやりたい!」と自発的に声を発する環境を作っていきたいですね。私もそれを尊重しますし、そういった声が出てくるのは私にとって大変嬉しいものです。自らやりたいという気持ちほど、信頼を持てるものはないですからね。
編集部 自発的な意識を育むためにやっていることはありますか?
廣瀬社長 何事も経験しないことには意識も生まれないので、いち早く経験を積ませたいと思っています。そのため、経験するチャンスを与えることはもちろん、人材育成のための研修には惜しみなく投資しています。営業スキルを学ぶ研修プログラムも全社員が受けます。「こういう研修があるよ」と私が提案しますが、あくまで受けるかどうか決断するのは社員本人。プレッシャーにはなると思いますが、自分たちの成長を「自分ごと」として考えてもらうきっかけにして欲しいと思っています。
また、新しい人事評価制度や賃金規定も導入。社員の頑張りは正当に評価し、給料にも還元する体制を整えています。当社独自の成長シートも作り、「これができたらこのくらいの給料がもらえる」など、可視化できる工夫もしています。社歴や年齢に関係なく、実力次第で仕事や役職を任せているので、若くして幹部となる社員も多いですね。
編集部 社長が考える「千広らしさ」とは何ですか?
廣瀬社長 「人間性」ですね。私は元々「人間性で評価されたい」という強い想いがあります。最近は広告やインスタなど、宣伝広告や見た目が重視されていますが、私は中身がもっと大事だと考えています。表面だけ取り繕っても化けの皮は剥がれますから・・・。
スタッフにも「人間性」で勝負して欲しい。そこに強くこだわってきたせいか、当社ではリピーターや既存のお客様からのご紹介も多いんです。会社がここまで成長できたのも、「千広らしさ」を体現してくれる社員のおかげ。社員と、その家族や周囲の人々も幸せにできる会社にしていきたいですね。
編集部 趣味を教えてください。
廣瀬社長 ゴルフですね。月に多い時は4~5回、少なくとも2回は行きます。ゴルフは一人で練習できますし、結果は自己責任というところがいいですね。また、練習が大好きなんです(笑)多い時は500~600球くらい打ちます。朝から練習に行き調子が良ければ、昼にも練習場に行き同じように打てるか試します。また夕方にも行く時もあります。人から習わず見様見真似の自己流です。
経営についても同じです。私の生き方かもしれませんが、遠回りしてでも多くの経験を積んで、納得した上で理論を固めていきます。「自力を追求して他力を知る」というように、この遠回りしてきた人生だからこそ、いまの千広があるのだと思います。