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「食の世界に、満ちあふれる力を」―7期連続増収を支える組織風土と、新ブランドに込めた想い。熊本大同青果株式会社の月田専務

「食の世界に、満ちあふれる力を」―7期連続増収を支える組織風土と、新ブランドに込めた想い。熊本大同青果株式会社の月田専務

月田敬志郎(つきだ・けいしろう):熊本大同青果株式会社 専務取締役。立教大学卒、2014年(株)熊本銀行入行。19年熊本大同青果(株)入社。果実部にて、地道な現場活動を重ねながら約5年間で担当した取扱品目の実績を4倍に伸ばす。22年常務取締役、26年専務取締役に就任。入社直後から「経営者のつもり」で仕事に取り組む姿勢を貫き、トラブル対応でも他責にせず自ら矢面に立つことを信条としている。

「食の総合商社」への進化―グループ連携と挑戦が生む、7期連続増収のわけ

ココクマ編集部(以下、編集部):まずは事業内容や特色について教えてください。

月田敬志郎専務(以下、月田専務):青果物の専門商社として、日本の「食」と「農業」を支えていくことを使命としています。グループ会社には国産冷凍野菜の製造・販売を手掛ける熊本大同フーズ(株)や乾燥野菜の 製造・販売を手掛ける(株)HOSHIKO Linksなど、グループ全体を通して青果物の集荷から製造、加工、 販売まで一貫した青果物流通の体制を整えております。(株)丸和運輸機関や(株)神明ホールディングスといった異業種との業務提携を進め、「食の総合商社」化を目指しています。

編集部:業績も好調だと伺いました。

月田専務:2026年3月期は売上高545億円、経常利益は7億6000万円と7期連続増収、同業内での売上・成長率は全国でもトップクラスです。業界全体で見るとマーケットは縮小している中で、なぜ当社だけ伸びているのか?とよく聞かれるのですが、これといった明確な理由を言語化するのは難しく・・・(笑)。ただ強いて言うなら、社員一人ひとりが生産者さんや販売先との交渉を、一生懸命やってくれている。その積み重ねが今の結果につながっていることだと思います。目立ったところでは、特販部の成長があります。特販部は従来の流通に拘らず新しい取り組みを増やす専門部隊で、立上げから10年で売上50億円を突破しました。最近は海産物の取り扱いも増えていて、売上100億円を目指しています。輸出プロジェクトも、売上6億円を突破し2026年4月よりグローバル事業部に昇格しました。今後はアジア全域に商圏を広げ、欧州にもチャレンジしたいと考えています。熊本の農産物出荷額を見ても、まだまだ伸びしろは十分にあると考えています。

編集部:様々なプロジェクトが動いているとか?

月田専務:取引の約8割をセリではなく直接実需者との交渉で値段を決める相対取引に切り替え、生産者と販売先の双方に価格と供給の安定を提供することで、信頼関係が強くなり出荷増につながっています。社内の仕組み改革としては「まるごと大同プロジェクト」があります。 部門間の連携を促進し、担当外の商材を紹介し合うことで評価される制度です。これにより年間860件、約18億円の新規売上を創出することができました。ヤマト運輸と連携し、産地から消費地の店舗へ直接配送する「産直プロジェクト」は、中間流通を省き、鮮度向上とコスト削減を実現しています。また、熊本のトマト生産者が夏に長野で生産し、関東の量販店へ販売するなど、生産者の季節移動と広域物流を組み合わせた「空中戦プロジェクト」などがあります。新しいことにどんどん挑戦してきたことが、今の業績につながっているのだと思います。天候不順で相場が乱高下することも増えていますが、こうした取り組みによって産地を分散して持てているので、それがリスクヘッジになっていると感じています。

編集部:組織としての「強さ」の源泉は何でしょうか?

月田専務:フィロソフィの浸透、特に「アメーバ経営」と「大家族主義」だと思います。アメーバ経営により日々の採算を徹底的に見える化することで、コスト意識が高まり、部員それぞれが「選択と集中」を実践でき効率的に売上・利益の拡大ができています。また、行事や懇親会を通じて部署の垣根を越えた仲の良さも生まれ、そこから思わぬシナジーが生まれることも多いのです。毎月のように現場から新しいアクションプランが出てきて、それをすぐ実行できる雰囲気がある。この土台があるからこそ、さきほどお話ししたような新しいプロジェクトが次々と形になっているのだと思います。

「食の世界に、満ちあふれる力を」。新ロゴ「DAIDO&CO.」に込めた想いと未来へのビジョン

編集部:新しいブランドメッセージについて教えてください。

月田専務:設立65周年を機に「食の世界に、満ちあふれる力を」という言葉を掲げました。私たちのグループは「社員を幸せにすること」を大切にしています。私たち自身が幸せにならなければお客様に最高のサービスを提供できないという考え方です。ただ野菜や果物を届けるだけの存在ではなく、私たちの元気やパワーを食の流通に関わる皆様、そして地域の皆様に惜しみなく還元していきたいと思っています。このメッセージは、経営陣だけで決めたものではなくて、グループ各社も含め、社員一人ひとりにインタビューを重ねて、約1年かけて作り上げたものです。現場の想いがちゃんと反映されているものになったと思っています。

編集部:ロゴマーク「DAIDO&CO.」も刷新されましたね。

月田専務:大同青果の「D」「DO」で構成されているロゴです。Dという文字にはDream(夢)、Day(日々)を、「DO」には行動する、手がけるという意味を込めています。夢を語るだけではなくて、日々の積み重ねと行動を大切にしたいという想いです。デザインとしては、左側のDが私たち熊本大同青果グループを表し、真ん中のDが私たちに関わってくださるすべての方々を表しています。二つのDが同じ方向を向いて進むことで、大きな円、つまり「和」を生み出す場所でありたい。そういう強い意思をこのロゴには込めています。表記も「DAIDO&CO.」としました。「熊本大同青果グループと仲間たち」という意味です。

編集部:このリブランディングを、今後の事業展開にどうつなげていきたいですか。

月田専務:「2030年・売上1000億円」を掲げています。これまでの延長で「毎年110%成長」を続ければ十分達成できると考えています。ただ、数字だけを追いかけたいわけではないんです。今まで私たちは、自分たちの仕事や存在意義について、あまり積極的に発信してこなかったんですよね。地道に汗をかく仕事なので、どちらかというと語るより動く方が性に合っている会社なんです。でも、これだけ業界の変化が激しい時代になってくると、私たちがどんな想いで仕事をしているのかを、社員はもちろん、生産者さんや取引先の皆さん、そしてこれから一緒に働きたいと思ってくれる方にも、きちんと言葉で伝えていく必要があると感じています。会社の規模が大きくなれば、拠点も増え、社員も増え、これまで大切にしてきた文化や考え方を浸透させるのが難しくなっていく側面もあります。だからこそ、このロゴとメッセージを旗印にして、自分たちの存在意義や考え方、想いを明確にし、今後も会社を大きくしていきたいと思っています。

大家族主義が育む、挑戦できる組織文化

編集部:明るく活気のある職場ですね。

月田専務:会社としても「雑談」を推奨しているので営業メンバーが帰社した夕方は本当ににぎやかですよ(笑)。懇親会や飲み会(費用は会社負担)を制度化し、風通しの良い「明るく楽しい」職場作りを進めています。上司・部下ではなく「仲間」としての関係性がチームワークと定着率向上につながっていると思います。

中堅以上になると、業界の会議や産地の会議で意見を求められる機会も増えてきて、自分がこの会社を背負っているという実感を持てるようになる。そして、売上が伸び続けていることで、社員に「勝ち癖」がつき、「もっと伸ばさないといけない」という高い意識が醸成されています。仕事の楽しさと「勝つことの意義」を追求する姿勢が活気につながっているのです。

編集部:その明るい社風を支える仕組みについて、もう少し詳しく教えてください。

月田専務:ベースにあるのは、長い年月をかけて出来上がった「大家族主義」という社風だと思っています。会長自ら年60回ほど「フィロソフィ勉強会」を開いていて、人としての正しさを説いています。社長主催の勉強会もあって、こちらは歴史上の偉人から学ぶ、というテーマで開催しています。

働き方の面でも、「競り」の開始時刻を7時に繰りさげ、またチーム制を取り入れたことで、営業担当は週に3日、お客様対応が発生しない日をきちんと作れるようになりました。セリの入力をタブレットに移行するなど、業務DX化を進め、効率化と省力化を図っています。女性営業も増加し、育休後の復職率はほぼ100%。社内保育園の存在も後押しとなり、結婚・出産による退職がほとんどいません。3人目以降のお子さんが生まれた社員には100万円の出生祝い金を出す制度もあります。

編集部:最後に、これからこの会社をどんな組織にしていきたいか教えてください。

月田専務:会社の規模はこれから1,000億円規模まで大きくしていきたいと思っていますが、規模が大きくなるほど、この組織風土を守るのが難しくなっていくとも感じています。拠点も増えて、物理的な距離もできてしまう。だからこそ、フィロソフィ勉強会のような場を大切にしながら、部署をまたいだ交流をもっと増やしていきたいですね。この風通しの良さ、仲間として頑張れる雰囲気こそが、私たちの一番の強みであり原点だと思っているので、そこだけは絶対に揺るがしたくないんです。

「食の世界に、満ちあふれる力を」―7期連続増収を支える組織風土と、新ブランドに込めた想い。熊本大同青果株式会社の月田専務

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