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九州トップクラスの青果仲卸として2030年売上300億円に挑戦する、株式会社藤本物産の藤本社長

九州トップクラスの青果仲卸として2030年売上300億円に挑戦する、株式会社藤本物産の藤本社長

藤本泰弘(ふじもと・やすひろ):株式会社藤本物産 代表取締役社長。熊本市出身。九州東海大学卒業後、京都のスーパーマーケットで1年間勤務。1999年に同社入社。営業三課(野菜部)課長、果実部部長を経て、2008年常務、2009年専務、2013年5月に代表取締役社長就任。

川上から川下まで、FBグループの一貫体制を強みに業績を伸ばす

ココクマ編集部(以下、編集部):事業内容について教えてください。

藤本泰弘社長(以下、藤本社長):藤本物産は野菜や果物等の青果物の仲卸を行っています。熊本のみならず全国の市場や生産地から青果物を仕入れ、全国の量販店・小売店に販売しています。田崎市場に本社を構え、九州中央支社や沖縄営業所・沖縄物流センターを展開、直営店舗は今年20店舗まで拡大しました。
グループ企業には、農産物の商品開発や選果業務を行う株式会社フレッシュダイレクト、カット野菜・カットフルーツの製造を行う株式会社フレッシュ工房、青果物の加工・パック詰め・袋詰めなどの商品の仕分け・配送を行う株式会社ケイ・エフ物流、通信販売は株式会社エフビーネットなどがあり、青果物の生産・流通・加工・小売・通信販売を一貫して手がけています。この川上から川下までを自分たちでカバーできる機能は、おそらく日本一ではないかと自負しています。

編集部:業績面はいかがでしょうか?

藤本社長:グループ全体の売上は231億円。10年以上増収を続けています。ただ正直なところ、物流費や資材費、人件費といったコストはどんどん上がり、利益確保という面では決して楽な状況ではありません。青果物は市場の相場で値段が決まりますので、原価が上がったからといって、値上げ交渉は中々しずらいのが正直なところです。
例えば、お菓子のような加工品であれば仕入れ原価の上昇を売価に転嫁することができますが、私たちの業界はそう単純にはいかない。だからこそ、数量をしっかり売っていくこと、お客様との取引のシェアを地道に積み上げていくことが、利益を残すための一番の方法なのです。実は九州の量販店市場全体から見ると、当社のシェアはまだ数パーセントほどです。だからこそ、既存のお客様との取引シェアを少しずつ伸ばしていくことに、大きな伸びしろがあると感じています。

編集部:直営店舗部門を分社化されたと伺いました。

藤本社長:直営店舗事業を「株式会社フジフーズ」として分社化しました。これまで卸売部門と小売部門が同じ会社の中にあったのですが、365日稼働する小売と、水曜・日曜・祝日が休みの卸売とでは、働き方も評価の仕組みも本来違うものなんです。同じ部長職でも、業務内容によって本来あるべき処遇に差が出てしまう。そうしたアンバランスを解消するために、それぞれの事業特性に合った評価制度や働き方を整えられるよう、組織を分けることにしました。

編集部:九州の中でも独自の立ち位置を築かれているのですね。

藤本社長:仲卸という業態の中で、24時間365日体制で受発注や物流を動かしている会社は、全国的にもほとんどないと思います。私たちはこの規模を維持しながら、24時間体制での対応力や、川上から川下までを支える総合力という、価格以外の価値で選んでいただける会社になりたいと思っています。そして何より、ここまで成長を続けてこられたのは、社員一人ひとりが現場で粘り強く向き合ってきてくれたからです。これからも、お客様にとって「なくてはならない存在」であり続けられるよう、一つひとつ丁寧に積み上げていきたいと思っています。

新規開拓、コスト削減、DXで2030年に売上300億円を目指す

編集部:直近の取り組みについて教えてください。

藤本社長:今、力を入れているのはコスト削減とDX化です。まず取り組んだのが「目に見える無駄」を見直そうということ。月1回、全部門が集まって経費を洗い出す会議を始めました。旅費交通費や紙代といった細かいものまで全部オープンにして、ここは減らせるよね、ここは難しいよねと話し合う。例えば段ボールなどの資源ゴミを減らせばゴミ処理費が下がりますし、廃棄予定だった商品の一部は子ども食堂に寄付する取り組みも6年ほど続けています。地道なことですが、こうした積み重ねが社員のコスト意識を育てることにもつながっていると感じています。原油価格や人件費の上昇は青果業界に限った話ではないと思いますが、相場で価格が決まる青果物は値上げという手段がなかなか取りにくい。だからこそ、自分たちでコントロールできるコストはしっかり見直そうという姿勢を社内全体で共有しています。

編集部:DXについてはどのような構想がありますか?

藤本社長:今年中に取り組みたいのが受注業務の効率化です。今もまだFAXや電話での受注が中心で、人の手で入力する以上、どうしても誤配が発生してしまう。誤配が起きると、車を出して入れ替えるだけで相当なコストがかかりますので、これをタブレットでの入力に切り替えていきたいと考えています。もう一つはカメラを使った在庫管理です。青果物は同じパレットの中でも生産者や仕入れ価格が異なるものが混在していて、これを人の目で数えるのは大変な手間がかかります。カメラで瞬時に見分けられる仕組みができないか、社内のエンジニア2人を中心に、専門の業者と一緒に検討を進めているところです。プロジェクトチームもこれから立ち上げ、本格的に取り組んでいきます。

編集部:取引先の拡大にも積極的に動いていらっしゃるそうですね。

藤本社長:ある物流会社と連携し、某ホテルグループへの共同配送の仕組みづくりを進めています。ホテルには肉屋、魚屋、青果業者など多くの納品業者が出入りし、納品の渋滞が起きてしまうそうなんです。それを一つの物流センターでまとめて納品する仕組みで、私たちはそこに青果物の調達を任せていただく形で関わっています。これがまとまれば各地域の課題解決につながる可能性があります。また、各地の同業者や生産者とのネットワークを広げることで、お客様を紹介し合う関係も増えてきました。紹介した分はお互いの商流を活用することで手数料が生まれる仕組みで、無理に自社で仕入れて売るよりも、お互いに負担なく協力し合えるやり方だと思っています。一度こうした関係を築いておけば、新しいお客様が来てもスムーズにつながっていけますし、生産者にとっても販路が広がるという意味で喜んでいただけています。新規の出店や取引先の開拓も含めて、種まきはあちこちで始まっています。2030年に売上高300億円という目標を掲げていますが、一足飛びに大きな成果を求めるのではなく、こうした一つひとつの取り組みを着実に積み重ねていくことで、その先にたどり着けると考えています。

 評価制度を刷新し、社員の納得感を高める組織づくり

編集部:働き方の見直しにも力を入れていらっしゃるとか・・・。

藤本社長:新卒採用は毎年4~5人を継続的に確保することを目標にしていています。ありがたいことに、いろんな一流企業を見た上で当社を選んでくれる学生もいます。私は、若手社員をしっかり育てていこうという姿勢がある会社にしか、優秀な人材は集まらないと思うんです。だからこそ、休日や働き方の見直しにも力を入れてきました。私が入社した頃は年間60日ほどしか休みがなく、朝4時半に出社して夜9時に帰るような毎日でした。今は年間休日が120日を超えるまで増えています。出社時間も、以前は早朝に仕入れてすぐ配送する体制でしたが、今はスーパー側の受け入れ時間に合わせて分業化が進み、一人で荷物を運んで配送まで担う必要はなくなりました。若手を採用しようと思えば、こうした働き方の見直しは避けられない課題だったと感じています。

編集部:評価制度も刷新されたそうですね。

藤本社長:昨年は賃金のベースアップを実施し、社員一人ひとりと面談を実施しました。ところが、こちらが上げてあげたつもりでも、社員からは納得感が薄いという声が出てきたのです。特に入社5~6年目の社員から・・・。これはいかんと思い、外部のコンサル会社に依頼し、不満や本音を経営層に伝えてくれる仕組みを作りました。一年がけで準備を進め、今年6月から正式に新しい評価制度を運用し始めています。目標設定をして、上半期・下半期で面談し、そのズレを点数化して可視化し、社員が納得できる仕組みに変更しました。同時に、経営層からマネージャー、一般職まで階層別の教育プログラムも整備していて、評価制度と教育を両輪で回すことで、社員のやりがいや成長を後押ししていきたいと思っています。

編集部:求める人物像について教えてください。

藤本社長:完璧である必要はありません。大事なのは、成長したいという気持ちと、自分の頭で考えて行動できることだと思っています。実際、教育を受けたくない、上を目指さなくていいという社員もいますが、それも一つの生き方として認めています。一方で、成長したいという意志を持つ社員には、昇進や昇給の道をしっかり用意したい。私たちの業界は、人が物を運び、人がお客様と向き合うことで成り立っている仕事です。どんなにシステムを整えても、最後にお客様の信頼を作るのは人なんですよね。そして何より、私たちの仕事は社員一人ひとりが、お客様や生産者、仲間と向き合いながら、現場で粘り強く動いてくれることで成り立っています。最近では、社員同士が業種の垣根を越えてつながり、お互いのお客様を紹介し合うような動きも生まれています。そうした自発的な動きが増えてくれることが、私としては何より嬉しいですね。任せられることはどんどん若手に任せていきたいですし、社員自身が「これをやりたい」と声を上げてくれる風土を、これからも大事にしていきたいと思っています。

九州トップクラスの青果仲卸として2030年売上300億円に挑戦する、株式会社藤本物産の藤本社長

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