島から世界へ、新しい観光の風を吹かす。藍の村観光株式会社の藤川社長 | COCO COLOR KUMAMOTO(ココクマ) | 熊本で働こう!暮らそう!熊本の熱量を届ける
これからのキャリアマガジン

熊本の未来をつくる経営者

島から世界へ、新しい観光の風を吹かす。藍の村観光株式会社の藤川社長

島から世界へ、新しい観光の風を吹かす。藍の村観光株式会社の藤川社長

藤川護章(ふじかわもりあき):藍の村観光株式会社 代表取締役社長。上天草市出身。九州学院高校、熊本学園大学商学部を卒業後、1997年に㈱マン・ネンに入社、観光施設に対しての営業に従事。2001年藍の村観光株式会社に入社、2011年9月に代表取締役社長に就任、現在に至る。

「天草=九州のリゾート」として新しい価値を提供する。

ココクマ編集部(以下、編集部):事業内容を教えてください

藤川護章社長(以下 藤川社長):「藍のあまくさ村」や「リゾラテラス天草」の運営、2020年4月からは自社農園である「リゾラファーム」で農業事業を行っています。

天草最大級のお土産専門店「藍のあまくさ村」は、天草産の干物や雲丹をはじめ、大人気の「大漁焼」「塩のり」や、地元の銘菓、お酒など、産直にこだわった多種多様な天草の味覚を多数取り揃えています。天草産の真鯛を贅沢に使用した「天草四郎ちくわ」は、併設の工場で焼き立てをご提供しています。お土産の他にも「島カフェ」やアジア雑貨店など、島のうれしいが沢山詰まったアミューズメントパークです。

2015年にオープンしたリゾート複合施設「リゾラテラス天草」は、全席オーシャンビューのレストランをはじめ、オリジナルのスイーツ、天草のお土産が並ぶマーケット、天草産の釜炊き塩を使い職人が焼き上げる塩パンが人気のベーカリー、地元の素材を贅沢に使った本格ジェラートを楽しめるカフェなど、さまざまにお楽しみいただけます。イルカウォッチングや天草五橋クルーズには目の前の桟橋から出発できます。

「リゾラファーム」では、土づくりからスタートし完全無農薬栽培にこだわり、さまざまな野菜やフルーツ・ハーブを育てています。ここで収穫される旬の野菜やハーブ、フルーツは、「リゾラテラス天草」内にあるレストランにて、旬のサラダやバーニャカウダ・ピッツアや季節のスープ・パフェとしてご提供しています。また、この農園で収穫した無農薬バジルを使用したオリジナルのバジルソース開発など6次産業化にむけての取り組みも行っております。

天草活き車海老や旬の野菜・果実をはじめ、地元生産者さんと協力し開発したオリジナル商品などこだわりが詰まった自然豊かな熊本・天草ならではの商品をお届けする通信販売(「L’isola Village(リゾラヴィレッジ)」公式通販サイト)も強化し、全国へ発信しています。

編集部:リゾラテラスはいつ頃から構想されてたのですか?

藤川社長:実は22歳頃から、天草の海沿いで南国リゾートっぽい施設をつくりたいというイメージはありました。32歳の時に天草全体を活性化するための商業施設建設について行政と一緒に取り組む機会をいただき、地元である天草のイノベーションを図りたいという思いで事業投資をすることに決めました。諸問題がありオープンまで10年かかりましたが、皆様に喜んでもらえているようでよかったです。

編集部:想いが通じましたね。

藤川社長私なりに危機感を感じてましたので、先頭に立ってチャレンジできる機会をいただけたことには感謝しています。一昔前は、旅行代理店や老人会などの団体旅行客が中心でしたが、家族やカップルといった個人旅行客の割合が増え、天草は時代のニーズに合わない観光地に変わってしまったのです。このままでは天草は観光地としては衰退してしまうのではないか…という危機感が昔からありました。

非日常的な場を天草に作ることで、若い方やご年配にとっても新しい価値を生み出せるのではないかと考えていました。また、当社が一歩踏み出してリゾートのイメージを創り上げることで、他の企業の方々が同様の観光地開発を進めてくれるのではないかという想いもありました。お陰様で今では様々な投資が進み、天草への企業誘致も実現しています。『天草=九州のリゾート』というテーマで様々なことが前に進み、地域にとってもプラスになっているのではないかと思います。若い頃、思い描いた地域にするにはまだ進化していく必要がありますが、私たち地域事業者が率先してチャレンジしてきたことで、天草全体で新しい取り組みが進んでいます。

感謝の想いをつなぎ、正しい商売をつらぬく

編集部:これまでのご経歴を教えてください。

藤川社長:大学を卒業して株式会社マンネンという健康茶や加工品メーカーに就職しました。全国の観光地を周り、お土産品の営業や商品の企画開発を手掛けていました。この時に、天草は九州の真ん中にあってすごくポテンシャルのある地域だなと感じていたのです。28歳の時に天草に戻り、藍の村観光に入社しました。業績はかなり低迷していましたが入社2カ月目から業績はV字回復、それ依頼常に右肩上がりの業績を残してきました。

編集部:何をされたんですか?

藤川社長:昔のお土産品は、中身は同じでパッケージだけを変えたような商品が多かったんです。なので地元の生産者を周って地元の食材を使ったオリジナル商品の開発に着手しました。天草に来られたお客様は、天草のものが欲しいのですよ。地元のもので正直に作って、正直に売るということが当たり前で大事だと思うのです。

次に、「感謝の想いをつなげ、笑顔で喜び合える藍のあまくさ村」という使命感をつくりました。ここにある商品に込められた関わる人達の感謝の想いもお客様にしっかり伝えようねと、スタッフには話してきました。そのためにも生産者さんのところに足を運び、誰が作っているのか?どんな風に加工されているのか?を自分の目で見て、自信を持って説明ができるようにしています。知ってるのと知らないのとではスタッフの表情も違うんですよね。自信を持って商品説明をすると、お客様も安心して買っていただけますよね。

使命感が浸透しているからなのか、コロナ禍で業績は厳しいですが、赤字にならず乗り越えてきているので、うちの会社は意外と強いなと!とポジティブに考えています。

編集部:天草で働きたい場所をつくりたいともお聞きしていますが。

藤川社長:人口流出も大きな課題です。一つの理由として、若い人たちが働きたいと思えるような場所がないと聞いています。現在従業員は約70名、毎年新卒者が入社してくれています。社歴が長い方も多く、高卒で入社し結婚・出産を経てアルバイトで働いてくれる方も結構多く助かっています。観光業はどうしても土・日がメインではあるのですが、主婦のアルバイトの方は平日のみでも勤務可能な体制もできました。天草で働けるかっこいい場所になれているかはわかりませんが、少なくとも働く場所の提供はできていると思います。

魅力のある施設があって人が集まる場所が出来れば、色々な投資が出来てきて地方の課題である人口減少がなくなる。関係人口や交流人口を上げていって移住まで出来るような魅力のある地域になっていけばそれはそれで良いんじゃないかなと思っています。

編集部:天草の活性化委員長ですね!

藤川社長:恐れ多いですが、そうありたいなとは思います。これまでいろんなチャレンジをしてきた経験をしてきましたし、新しい顧客の開拓・創造で少なからず実績を残せたとも思っています。そういう意味では開拓者としての私の想いが理解されやすくなっていると実感しています。自社のためではなく、地域全体のことを考えながら課題を解決できるようなお手伝いができれば本望です。

人に喜んでいただいて地域を活性化するというのが観光客だけではなかったと気づいた。

編集部:ワーケーション用のリゾート施設の建設を予定されているとか?

藤川社長:観光事業者と観光客を中心に成り立っていた従来型のモデルとは異なり、単に場所や体験を提供するのではなく、人と人とを結びつけ、観光客と地域文化·食の接点になることがこれからの観光·宿泊業に求められる役割ではないかと考えています。その一つとして、観光客と地域住民の双方に質の高い体験が提供できる地域連携型のワーケーションの造成に取り組んでいきます。企業に多様な働き方の導入が求められている中、オフィスと宿泊施設を一体化した新しいサービスを提案していきたいと考えています。

首都圏を中心に大手企業の多くがテレワークを実施し、働く場所を選ばなくなっている中で、上天草市のポテンシャルを生かし、ビジネスパーソンという新たな客層をいかに取り込めるかが鍵だと考えています。

場所は上天草市大矢野町の有明海に面した弓ヶ浜一帯に広がる市有地約8千㎡を活用し、ワーケーション用リゾート施設を建設します。第1期工事として今年10月のオープンを目指しています。南国リゾート風の宿泊コテージを8棟建設。それと並行して来年春を目標に、シェアオフィスや会議室、カフェ、シェアキッチン、サウナ、プールなどを備えた管理棟を建設、その後も2期・3期工事まで計画しています。

編集部:なぜワーケーションなのですか?

藤川社長:これまで平日をどうやって埋めていきたいかというと、旅行会社に営業に行って、それから旅行団体のお客様を誘致していたというのが一つのモデルだったんですけど、それがなくなりました。だから、新しい領域としてビジネスパーソンをターゲットに、癒しとか食とか温泉とか、それ以外の訪問目的を作れるのではないかと…。例えば天草に連泊で来ていただいたら、お食事は地域の飲食店を使ってくださいとか、セミナールームはうちで用意しますけどお泊りは他のホテルを暇なときに利用してくださいとか、シェアオフィスはうちで管理しているのでそれを使ってくださいとか、土日は観光しませんかとか…。もっと人に喜んでいただいて地域を活性化するというのが、観光客だけではなかったと気づけたことが一番の収穫ですね。

編集部:経営をする上で大切にされていることは?

藤川社長:常に進化・成長し続けることを大事にしています。経営者としても会社としても時代の半歩先を目指していきたいですね。私たちが今後のビジョンの中で提供する価値の元は天草の自然や素材など、これまでと変わりはありません。ただ、新しい観光のスタイルを提供していきたいですし、どんどんチャレンジして、常に進化・成長し続けていく会社、新しい価値を生み出し続けていく会社にしたいと思っています。
自社農園である「リゾラファーム」も新たな取り組みの一つです。スタッフの「農業をやってみたい」という声から、スタートした事業です。今後も手段・やり方には縛られず新たなことに積極的に取り組み、スタッフと共に進化・成長し、天草という地域がもっとキラキラすると嬉しいですね。

島から世界へ、新しい観光の風を吹かす。藍の村観光株式会社の藤川社長

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらいいね!しよう

熊本へ転職希望の方の求人はこちら
今週の人気記事
年別アーカイブ
メールマガジン

ココクマのメールマガジン購読者募集中!! 熊本の就職・転職に役立つ情報をメールでお届けします。
月1回配信。登録・購読は無料です。
ご登録されたいE-mailアドレスを入力し、登録ボタンを押してください。