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東京のベンチャー社長が熊本で地方創生プロダクトを仕掛ける! 株式会社MARUKUの小山社長

東京のベンチャー社長が熊本で地方創生プロダクトを仕掛ける! 株式会社MARUKUの小山社長

小山光由樹(こやまみつゆき):株式会社MARUKU・代表取締役。神奈川県出身。専修大学卒。2007年に新卒で総合広告代理店に入社、その後、自身のポテンシャルを知るため、単身海外へ。帰国後、前職のアライドアーキテクツ社で国内のソーシャルネットワーク事業に従事。その後、独立して渋谷で会社を立ち上げる。新しいかたちの地方創生ビジネスを作ることをめざし、2017年株式会社MARUKUを山都町に設立。現在は八代、東京(五反田)にオフィスを設置しており、2020年には新たに熊本市内にオフィス設立予定。

「固定概念を捨て、時代を創る」会社を作りたい

ココクマ編集部(以下、編集部) 山都町で起業しようと思ったきっかけを教えて下さい。

小山光由樹社長(以下、小山社長) 現事務所の隣、通潤酒造のWebマーケティングの担当者様とのご縁がきっかけとなり、2016年の秋に山下社長からSNSマーケティングの仕事の依頼を受け初めて熊本に来ました。地震直後で、山都町内を視察するとブルーシートに覆われた家も多く、被害の大きさを感じてとてもショックを受けました。また、光回線もなくIT化の遅れも課題であることを聞き、地域の力になりたいと強く思ったのです。

編集部 気持ちだけで、ですか?

小山社長 スタートは気概でしたね。当時、私は東京で2つの会社を経営していました。東京ではマーケットが飽和し、閉塞感を感じていました。熊本でゼロから新たなマーケットを創出し、ビジネス需要を生み出せたら面白いと思ったのです。とはいえ「よそもの」では地域の方々から受け入れてもらえないだろうと考え、山都町に会社をつくり、雇用と仕事を生み出したいと、2017年に会社を立ち上げました。

編集部 事業内容を教えて下さい。

小山社長 当社は主に2軸で事業展開をしています。1つはwebインテグレーション事業で、全国の民間企業を中心にWEBソリューションを提供しています。企業の課題整理から要件定義、WEBデザイン、フロントエンド開発、バックエンド開発、更には運用やアクセス解析までワンストップでサービスを提供しています。また社内リソースで完結できるためコスト面も抑えられるし、素早いレスポンスも実現できています。デジタルマーケティング戦略からWeb、SNSディレクションまで代行し、デジタル上で得られるデータを分析して提案を行います。例えばデジタル上でのユーザー行動を分析して、キャンペーンやイベント集客などに繋がる、様々な提案ができる点も評価をされています。

もう1つは地方創生ICTサービス事業です。地方自治体が抱える課題に対して行政と連携しながらサービスを提供しています。現在、熊本県、八代市、芦北町、山都町などと連携協定を結んでおり、今年から球磨エリアなどとも提携していく予定です。具体的には、各市町村が策定する総合計画を実現するための課題の整理、実現に向けた提案および実行のサポートを行っています。自治体ごとに提供していくサービスはそれぞれ異なるのですが、課題には共通項が多いことが見えてきました。現在弊社では独自で地方創生パッケージの開発に着手しています。これにより自治体の人口減少や産業の活性化など根幹部分の解決ができるようにしていきたいと考えています。

編集部 地方創生ICT事業のことをもう少しく詳しく教えて下さい

小山社長 例えば八代市では、企業誘致やビジネスのマッチングを促しています。本町・通町商店街を活性化させるような取り組みや八代港から八代市内を回遊させる仕組みを作る…といった計画を進めています。また今年の12月にはコワーキングスペースも開設予定で、ビジネスパーソンが交流できるようなリアルな場所を用意していきます。地方にはデジタルだけで解決できない問題が多いので、オフラインの施策も含めて全体設計をしていきます。また芦北町では廃校等の遊休施設を活用したサテライトオフィス誘致を進めています。これは廃校利用が目的ではなくビジネス(雇用の場)の創出が目的なのです。

そこで地域の認知度向上や観光振興に向けたプロダクトを立上げ、課題解決に最適なITベンチャー4社を東京から誘致、当社も含めた5社でプロダクトの完結を目指しています。このプロダクトが軌道にのれば投資家やVCからの資金調達が可能となり、もっと大きくプロダクトを回せるようになります。そこに企業が集積し、人が集まり、お金が集まり・・・。熊本県南地域がベンチャーのスタート地点と認識されるようにしたいという想いに賛同いただいた事例です。

あくまで本質は地域の課題解決なので、その地域の課題を解決できるようなプロダクトをつくっていくことが大切だと考えています。誘致の際は、その地域で実証テストをして、成功すれば他県や他市町村に横展開しようと話しています。これまで企業向けに提供してきた課題の整理とソリューションを地域に対して提供している感じです。

IT企業を集積させ 熊本をベンチャーのスタート地点に

編集部 なぜ県南地域が中心なのですか?

小山社長 県南地域は熊本県の産業構造上、大型企業や工場も集積していない地域です。だからこそIT企業が集積していくことの価値が大きく先行者メリットもあり、県に対してもインパクトがあると考えたのです。半導体を含めて1次産業が集積する県北やIT企業が増えてきている県央と比較したときに、県南地域は経済発展に力を入れていく必要があると感じました。熊本県全体で考えたときに、熊本の経済をボトムアップしていける体系を見据えて県南に着目しました。

編集部 地域を動かすのは難しいかと・・・

小山社長 私は、地域の方々との信頼関係なくして地方創生はないと考えています。東京はスキル勝負、地方はスキル以上に「ひと」と「ひと」の繋がりが大切なのです。お祭りにも積極的に参加したり、地域の青年部との飲み会では腹を割って意見をぶつけ合うこともしばしば…。そうしていく事で、「MARUKU楽しそうだな!」と私たちに注目してくれるのです。そこがポイントかもしれませんね。

編集部 目指す姿を教えて下さい。

小山社長 現時点では、繋がりのある企業を誘致し、誘致した企業の繋がりで思想に共感してくれる企業を誘致する…こうして輪が広がっています。企業が企業を呼ぶスタイルの集積をしていき、各社の事業が拡大していくことで、そこで働きたい人が増え、投資も呼び込むことができます。地域活性とともに全国的にも「起業家拠点」として見られるようにしていきたいです。

熊本でビジネスに対する価値観が変わった

編集部 ビジョンを教えて下さい。

小山社長 地方創生事業において日本、世界で通用するプロダクトを作りたいと思っています。データに基づいたロジカルな地方創生戦略を練り、アウトプットしていきたいと思っています。そのために2年半かけてデータマーケティングを行い、ようやく構想が整ってきています。具体的な成果に結び付け、成功ロールモデルとして確立していくことが今年の課題になると思います。

また次世代のIT人材を育成していきたいと考え、熊本大学で非常勤講師としてキャリアパスの講義を行っています。ビジネスで通用するようなITスキルの身に着け方を次世代に向けて発信し、熊本でもIT人材が成長、活躍できる基盤づくりに貢献していきたいです。

編集部 求める人物像を教えて下さい。

小山社長 地方創生の分野で総合戦略を練れる人が欲しいですね。あとはwebデザイナー。デザイン業務だけでなく、クライアントと打ち合わせ、撮影の立ち合いなど外に出ていくことも多いです。現在社員数は20名で、現在本社の山都町の他に、八代と東京にも拠点を置いていますが、フリーランスや他企業との連携を視野に入れて、今年中に熊本市内にも拠点を置く予定です。

編集部 熊本に来て変わったことはありますか?

小山社長 ビジネスに対する価値観が変わりました。東京では他社と競り合い、自社の利己的な利益だけに集中していましたが、熊本に来てからは競り合うストレスがなくなり、視野が広がりました。東京では既にあるマーケットに対して1を10にする楽しみがありますが、熊本ではマーケットを0からつくる楽しみがありますね。また熊本では他社との協業や行政とのパートナーシップ、地域住民との連携、様々な人との繋がりを熊本で実現できているので、やりがいを感じますし、楽しい部分でもあります。東京ではできなかったことなので、来て良かったと思いますね。

編集部 熊本の良いところを教えて下さい。

小山社長 熊本県をより良くしていきたいという想いが強く、市町村が消滅してしまうかもしれないという危機に当事者意識を持っている人が多いところが良いですね。また、郷土愛が強く地域のために考え行動している人が多いことが魅力です。これからの時代は、水平的な連携(産官学金労言士)を強化していける地域が活性化できると言われています。その核となる要素が熊本にはあると感じています。この熊本から地方創生実例を発信していき、日本のみならず、世界から注目されるロールモデルを確立していきたいですね。

東京のベンチャー社長が熊本で地方創生プロダクトを仕掛ける! 株式会社MARUKUの小山社長

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