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150年の歴史を誇る醤油とともに熊本の「味」を全世界へ発信する 株式会社フンドーダイ 山村社長

150年の歴史を誇る醤油とともに熊本の「味」を全世界へ発信する 株式会社フンドーダイ 山村社長

山村脩(やまむらおさむ):株式会社フンドーダイ・代表取締役社長。東京都出身。慶應義塾大学法学部卒業後、1992年野村證券株式会社入社。2013年株式会社五葉フーズ常務取締役、2018年1月現職就任。

新しい「顔」となる醤油づくり

ココクマ編集部(以下、編集部)事業内容を教えてください。

山村脩社長(以下、山村社長)2014年に醤油・味噌メーカーのフンドーダイ株式会社と、6次産業の事業形態を目指す株式会社五葉が経営統合し、株式会社フンドーダイ五葉として今年で5年目を迎えました。(2020年には株式会社フンドーダイへ社名変更)

現在は前身となる2社の総合力を発揮し、醤油・味噌・食酢類やたれ類・ドレッシング類などの加工調味料の製造・販売、冷凍食品全般(高齢者用・業務用・加工用他)の販売、また国際貿易事業も展開しています。売上額は約25億円、醤油・味噌における県内マーケットシェアの約35%を頂いています。

編集部 社長に就任されて1年経ちましたが独自の方針を立てられたのですか?

山村社長 2014年に事業統合し、事業再生・強化に取り組んできました。そういう意味で、この5年間は事業を強くしていくために、新たな成長分野や販路拡大などの試行錯誤を繰り返し、ようやく進むべき方向が定まってきたかなといった感じですね。よく、新社長としての方針は?と聞かれるのですが、目指すは企業理念である「食文化企業として発信していく」です。私が経営者になったからといって変わることはありません。150年以上続いている会社ですから、根底にあるDNAみたいなものをもう一度呼び起こそうと取り組んでいます。

編集部 150年の歴史にヒントがあるということでしょうか?

山村社長 戦国時代末期に営んでいた両替商、赤酒の造り酒屋、そして1869年醤油事業へと業態転換を図り、150年を迎えました。

当社は「生揚(きあげ)」という、醤油の原料を発酵させるところから自社の工場敷地内で行っている熊本県内でも数社しかない醤油メーカーです。現在の蔵は昭和48年に新設しましたが、部材には150年前の蔵から材木を移設しました。この材木についた「菌」、いわゆる「酵母」のおかげで、創業以来の味を続けているという証左ではないかと思います。

この150年間で培ってきた技術や伝承技能を結集させて作ったのが、新しく当社の「顔」として掲げる新商品「特醸甘口醤油『平成』」です。

編集部 なぜ今、新しく「顔」となる商品を作られたのでしょうか?

山村社長 当社には素晴らしい技術と歴史があります。しかしながら社員にとってはこれが当たり前と化してしまっていたと思います。醤油離れや人口減少が叫ばれ、毎年約3%ずつ縮小していくマーケットの中で生き残るためには、改めて自分たちの根底にある技術や精神を見つめなおし、社員一人一人が自社の強みを再認識することが必要であると考えました。そこで、社員がどこへ持って行っても自信を持って紹介できる「顔」となるワンランク上の醤油を作ることにしたのです。

結果として、この醤油を作る過程で少しずつ一人一人が知恵を出すようになり、社内の雰囲気も変わり始めました。これまではありふれた技術だと思っていたものが、実は当社にしかないものだと気づくきっかけとなり、さらにそれを商品開発へ活かす動きへと繋がったのです。まだまだ社内には、我々が当たり前のように感じているけれど、外部の方々から見ると「すごい!」と思って頂ける要素がたくさんあるのではと感じています。

私たちの使命は地域に根差した「味」を「地域の食文化」として、熊本県外のみならず世界へ発信していくことだと考えています。営業がどこへ持って行っても自信持って紹介できる、どこにも負けない商品づくりに取り組んでいます。

企業DNAに刻まれた果敢なチャレンジ精神

編集部 海外展開にも注力されていますね。

山村社長 上海に販売子会社がありますので、中国と香港をメインに、味覚の近い中華圏での展開に注力しています。私が着任した2014年当時は現地の日系スーパーで販売していましたが、ここ4年は地元の高級スーパーに販路を切り替えて開拓、販売しています。地元のスーパーだと利用する人の数も大幅に増えますので、ひとつ商品が売れ始めると、途端に売り上げも伸びますね。中国の醤油と日本の醤油は作り方が根本的に違っており、味もかなり違うのですが、最近は日本の醤油の味や深みが受け入れられマーケットはかなり伸びてきています。

また熊本の食品メーカー10~20社に声をかけて、毎年現地のスーパーで熊本コーナーを作ることも展開しています。輸出の手続きは全て当社が行い、手数料も頂きません。品揃えを充実させられることで我々のプレゼンス向上に繋がりますし、熊本の食文化の発信に貢献できればと考えています。

編集部 熊本の食品メーカーで協力し合って海外に進出されているのですね。

山村社長 熊本は今後20年で人口が約20万人減少すると言われています。県内で競争していても、目の前にある課題は何も変わらないのです。むしろ全国展開している量販店の進出により、数年前まで九州ではあまり販売されていなかったナショナルブランドの醤油や味噌が店頭に並び、熊本県民だからといって必ずしも地場メーカーの商品を購入するとは限らない状況となっています。

すでに攻め込まれている中で、私たちはいかに外へ出ていくかということを考えなくてはなりません。県内で過度に戦いすぎるのではなく、協力できる部分は協力し合って、熊本の「味」を守り、外へ仕掛けていく必要があると考えています。

そのほか海外展開に関しては、各国のニーズに合った醤油も展開していきたいと考えています。アルコールフリーや無添加の醤油などはヨーロッパでニーズがありますし、先日発売した「透明醤油」については、フレンチなどの隠し味としてもご利用頂けると考えています。

また東南アジアの料理の味と九州の甘い醤油には親和性があり、ビジネスチャンスを感じています。いずれこちらも開拓していきたいですね。

編集部 積極的にチャレンジされている印象です。

山村社長 1910~20年当時、当社は台湾と香港に、日本の醤油メーカーとして初めて販売支社を出しました。終戦直前はタイのバンコクと中国の天津に工場を持っており、バンコクは500人規模の工場だったと聞いています。

まだ飛行機もない時代、先輩方が100年前から果敢にチャレンジされていたのです。ですから、国内マーケットが縮小してるとか、熊本の人口が減少しているとか、ネガティブに考えず、新たな商品づくりや海外展開などにチャレンジするDNAを呼び起こそうと社内で取り組んでいます。身構えるというよりは当たり前とできると思えるような企業文化に早く戻したいなと思っています。

熊本ならではの水資源

編集部 熊本での生活はいかがですか?

山村社長 東京で暮らしていた頃は外出といえば都会の街中を歩くことでしたが、熊本は自然が近く、様々な楽しみ方ができるところが良いですね。ゴルフも好きなのでよく行くのですが、ゴルフ場が至るところにあって近いですし、気軽に楽しめるのも熊本ならではかと・・・。東京だときちんと計画を立てて身構えていくようなイメージでしたが、熊本では朝から電話で誘われて、その日の昼から行くこともあります。ゴルフってこんなに簡単にできるんだなと感じました(笑)。

あとは何といっても水の綺麗さに驚きました。東京では蛇口の水を飲もうとすると奥さんに止められましたが、熊本では当たり前。熊本の豊富な農産物やおいしいお酒、美しい景観もこの水資源があってこそのものです。熊本はもっともっと、水の素晴らしさをアピールするべきではないかなと思います。

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