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「農業によるまちづくり構想」を掲げ 地域とともに成長を続ける  株式会社コッコファームの松岡社長

「農業によるまちづくり構想」を掲げ 地域とともに成長を続ける  株式会社コッコファームの松岡社長

松岡義清(まつおかよしきよ):株式会社コッコファーム ・代表取締役社長。菊池市出身。大津産業高校(現在熊本翔陽高校)卒業後、1995年に後藤孵卵場入社。2年間の勤務を経て97年に同社に入社。10年間で全ての部門を経験後、2011年に同社社長に就任。

地域から必要とされる会社を目指して・・・

ココクマ編集部(以下、編集部):「たまご庵」がオープン10周年ですね。

松岡義清社長(以下、松岡社長):ありがとうございます。2011年にオープンした「たまご庵」は「一軒の農家の直売所」をコンセプトに、朝取りたまごや精肉・新鮮な野菜、菓子・惣菜などの加工品の販売やレストランが大変好評で、年間に約90万人の方に来場して頂いていただける施設に成長することができました。創業時から掲げる「産みたての温かい卵を直接お客様にお渡しししたい」という原点を忘れず、これからも、菊池地域の生産者の農業所得の向上と、食を通した健康づくりに貢献したいと考えています。

編集部:健康経営事業の立上げや物産館のリニューアルなど、新たなチャレンジもされてますね。

松岡社長:2021年1月に、健康経営事業をスタートしました。「たまご庵」の中央ホールに健康チェックコーナーを設置し、骨健康度や体内轄化度・血管年齢・肌年齢など健康状態を確認することができるスペースとなっています。常駐の管理栄養士が健康状態に応じたアドバイスを行うなど生活習慣病予防を後押しし、地域の健康意識向上を目指していきます。月に1回でも、自分の健康状態をチェックすることで、病気の予防に繋がると思いますし、地域を支えるためにも意味がある事業だと思っています。もちろん従業員の健康増進にも一役かっています。とは言え、慈善事業では長続きしませんので、事業化が今後の課題です。

10月には物産館のリニューアルも実施、売り場の什器備品・照明機器・冷蔵冷凍設備をすべて入れ替えました。実は、車いすのお客様から通路が狭いといったご要望をいただいていたんです。感染症対策もしっかり施し、どなたにも、安全かつ安心して買い物を楽しんでいただきたいと半年間構想してきました。また、菊池地域の生産者がつくる新鮮な野菜や加工品、コッコファームの卵を使用した企業間コラボ商品や各種新商品など品揃えも充実しています。店内一番奥に配置した3台の大型液晶モニターでは、生産者を取材し、地元野菜や県産商品の良さを知っていただけるような発信を考えています。

編集部:地域への想いの強さが伝わりますね。

松岡社長:私たちは「地域から必要とされる会社になる」を経営理念として掲げていますので、地域貢献は最優先事項です。自社の役割は生産者と消費者の橋渡し役だと考えています。約280名の生産者の方々との連携を強化し、旬の野菜や果物を使った季節限定のコラボスイーツをつくったりしています。この時期であれば梨をまるごと使ったスイーツなどが人気です。
加えて、生産者の想いも消費者に届けたいと考えています。生産現場を取材し、自社の情報誌や年間数回のDM・旅情報誌「みちくさ」などに、生産者の新しい取り組みや農場に対する想い、産品などを掲載し、県内外に発信しています。生産者を主役にしたいのです。

編集部:「農業によるまちづくり構想」というビジョンを掲げていらっしゃいますね。

松岡社長:地域の若手生産者たちとの意見交換会なども、たまご庵2階の会議室で月1回開催しています。実は生産者同士が集まって話し合う場ってほとんどない無いんですよね。私たちが力になれることがあれば何でも協力しますし、悩みを一緒に解決していくことが目的としています。
農業生産者人口の減少や高齢化、耕作放棄地の問題など農業を取り巻く状況は決して良くありません。農業を楽しく、そしてやりがいに溢れた魅力ある産業にしたい。新規就農者の支援やIUターン者を受け入れ、農業を通して地域活性化の一助として、これからも地域農業を盛り上げ、この菊池から考動していきます。農業をきっかけとした定住人口増加という成功事例を菊池で実現できたらいいなあと考えています。

現状維持からの脱皮~常に考え行動し成果を出す~」で100年企業へ

編集部:2021年度のスローガンは「現状維持からの脱皮~常に考え行動し成果を出す~」ですね。

松岡社長:新しいことに取組まない現状維持は衰退を意味すると私は考えています。お客様のニーズは常に変わります。また最近ではVUCAの時代と言われるように、先行き不透明で将来の予測が困難な時代となってきました。そういう意味では、現状を否定し、常に「?」をもって、日々改良改善を進めるしかありません。そのためには社員の当事者意識が重要だと思っています。仕事を自分事でとらえ、自ら考え行動して欲しいと考えています。

編集部:社員の意識の変化も求められますね。

松岡社長:社員の意識もそうですし、私自身の意識も変えていかないといけません。経営者の仕事は、事業を存続発展させるために、未来に通じる道を開くことと、「任せて見守る」のが仕事だと思うんですね。新商品の開発、季節折々の旬の情報やお得なクーポン付きのアプリ配信、最新設備を取り入れた新鶏舎の建設など、やりたいことは沢山あります。「私これやりたいです!」と積極的な社員が育ち、共に歩みを進めていけると嬉しいですね。

若手や全従業員がチャレンジできる職場づくり

編集部:会社は社員のためにあるということですか?

松岡社長:社長に就任して10年目になりますが、一番大きく変えた部分は、私が就任した2011年から取り入れている人事評価制度です。トップダウン型経営からボトムアップ型経営への転換です。創業の理念や地域との共生など「想い」は守っていきますが、やり方はどんどん変えていきたい。社長一人で頑張ってもやれることは限られていますからね…。社員全員の力を集結してビジョンを実現したいと思っています。コッコファームは自分の会社という意識をみんなが持って欲しいと思います。

編集部:具体的にはどのようなことされているのですか?

松岡社長:全社員一人ひとりが「個人目標設定シート」を作成し、実行、フィードバックすることによって社員の取り組みを可視化し、人事評価制度に反映してきました。農業を生業にしている会社としては珍しいかもしれませんが、あくまで「企業」として、自ら考え、自発的に行動できる人材を育成するために人事評価制度は必要不可欠なことだと考えています。日々、社員全員に声を掛けることは中々できないので、この「個人目標設定シート」にコメントを記載するなど、コミュニケーションツールにもなっています。

徐々にですが、自発的に提案が出るようになり、意識の変化を感じています。物産館で販売する人気商品「太すぎる出し巻き卵を巻いた『たまご太巻き』」はパートさんのアイデアから生まれたもの。アイデアが形になり自信に繋がる好循環をこれからも作っていきたいと考えています。

編集部:楽しみですね

松岡社長今年からフィードバック面談を部門長に任せることにしました。部門長の意識を高めるとともに、チームの結束に繋がるのではないかと思っています。それと、人事評価制度自体も部門責任者や部署長が自ら考えて作り上げるプロジェクトを立上げ、1月から試験的に運用できるよう議論しています。自分たちの手で、働きやすい会社をつくれれば、頑張れますよね。

編集部:採用にも力を入れてますね?

松岡社長:大卒新卒者向け会社説明会は、県外でも実施しています。私も一生懸命話をしてきました。来春も2名の採用が決まっています。また新卒に限らず、社内の活性化のためにも人材採用には力を入れています。

編集部:若手社員が活躍しているとか・・・

松岡社長:現在5事業部17部門があります。部門長17人のうち20代が4名、30代が2名です。新卒で入社し5年で部門長になった社員もいますよ。菓子工房の部門長も20代の女性ですね。地元の高校を卒業、お菓子作りの経験はなかったのですがとても頑張ってくれていて、一生懸命さが感じられます。

100年企業に向けて若手社員成長は欠かせません。社内教育にも力を入れています。特に強化しているのは現場の2番手である中間管理職に対する教育です。実務以外の部分に対する教育が主です。リーダーとしての在り方や数字の管理、戦略の立て方、目標ロジックの組み方など内容は多岐に渡ります。社員を育成し、夢や目標をもって働けるような体制を用意することで、ボトムアップが期待できます。現在の部門長が幹部に、中間管理職が部門長に…とさらに成長できる組織にしたいですね。まだわかりませんが、将来的には別会社を設立したり、ホールディングス化することで経営者に抜擢したり、会社の在り方も変化する可能性も大いにあり得ると考えています。

編集部:プライベートの過ごし方を教えて下さい。

松岡社長:自社の経営だけでなく、菊池まちづくり企業連絡協議会や菊池市まち・ひと・しごと創生総合戦略推進会議委員など地域活動もアクティブに行っていますので、プライベートも忙しくしています。忙しい中でも、ワークライフバランスを重視しています。家族の誕生日には私が料理をしたりしていますよ。ただ、最近週末は部活などで子供の方が忙しいんですけど…。(笑)できるだけ家族とも過ごすようにしたいと思っています。

※写真撮影時のみマスクを外しています。

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