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無農薬ハーブとこだわりの製法でハーブティー市場を開拓 熊本から世界へ挑戦を続ける 株式会社クマモト敬和の宮野社長

無農薬ハーブとこだわりの製法でハーブティー市場を開拓 熊本から世界へ挑戦を続ける 株式会社クマモト敬和の宮野社長

宮野敬之(みやのたかゆき):株式会社クマモト敬和・代表取締役。熊本市出身。大津産業高校(現・翔陽高校)卒業。食品メーカー、商社での勤務を経て2007年に同社設立。代表取締役就任。2017年、県リーディング育成企業に認定。同年、九州IPO挑戦隊加入。

苦境からの打開と手作りの「健康茶」

ココクマ編集部(以下、編集部)事業内容を教えて頂けますか?

宮野敬之社長(以下、宮野社長)南阿蘇産ハーブを独自ブレンドした健康茶とハーブティーの製造・卸売・販売を行っております。ハーブティー専門店《南阿蘇TeaHouse》と健康茶《茶房南阿蘇》の2ブランドで約400アイテムを展開中です。現在、直営7店舗・大手雑貨店23店舗、サービスエリアや駅・空港などのほか、通信販売でも商品を提供し、今期は売上約7億円の予定です。南阿蘇にあるグループ会社「南阿蘇農園」では、農薬や化学肥料に頼らない自然の力を活かしたハーブ栽培に尽力し、有機JAS認定を取得しました。レモングラス、カモミール、ラベンダー、ペパーミントなど20種類以上の生産に取り組んでいます。また今年1月にはベトナムにハーブ選別工場を設立し、生産体制も強化しました。アロマキャンドルやバスソルトなどハーブ関連商品の開発にも力を注いでいます。

編集部 健康茶に着目されたきっかけは?

宮野社長 元々家業がお茶屋さんだったのです。しかし経営は大変厳しく、債務整理をするために31歳で勤めていた会社を辞めて家業を継ぎ、催事で何とか生計を立てていました。ある時、阪急百貨店のバイヤーさんから「健康茶を持ってきたら?」と勧められました。当時、熊本ではまだ「健康茶」があまり出回っていなかったのですが、大阪では売れていたのです。

そこで健康茶について調べてみると、柿の葉や阿蘇でも採れる野草が主原料だということがわかったのです。自分で採りに行けば材料はタダで、しかも無限に手に入れられるなと・・・(笑)。早速、原料を仕入れて健康茶を作り、道の駅などで売り始めました。その場で試飲して頂き、「これ渋い!」や「苦い・・・」など様々な感想を頂きながら1年半くらい改良を重ねました。日々必死に作っていましたね。

編集部 苦しい状況からのスタートだったのですね。

宮野社長 当初は、道の駅や催事での試飲販売が中心で、商品の改良も重ねていました。このような地道な活動を続けているうちに、お客様からの人気も徐々に高まり、「販売代理店をしたい」とお申し出を頂くなど、次第に業績は好調に転じてきました。売上が3000万円を超えた2007年の3月に「株式会社クマモト敬和」を設立しました。

当時は「阿蘇の毒だし茶」という名前で健康茶を売り出していました。商品開発にかける想いや、昔の人が阿蘇の野草で病気を治していたという伝承など、阿蘇の野草の素晴らしさをお客様にお話ししていたのです。同時に、せっかくなら阿蘇に店舗を持ちたいと考えるようになり、現在の阿蘇本店となる古民家を購入しました。

この時はまだ健康茶しか扱っていなかったので、広い店舗のディスプレイを埋めるためにハイビスカスやマリーゴールドなど、彩りのよい西洋ハーブを瓶に詰めて飾っていました。するとお客様から「ハーブを量り売りして欲しい」、「どうやったらおいしく飲めますか?」という声を数多く頂いたのです。それから研究を重ね、ハーブティーの販売を正式にスタートさせました。

「ストーリー」を伝える販売へのこだわり

編集部 東急ハンズで展開されていますよね。販売方法にこだわられた理由はなんでしょうか?

宮野社長 そうですね、九州新幹線の全線開通に合わせて博多駅に東急ハンズが九州初上陸するので、商談会に出てみないかと声をかけて頂いたのがきっかけです。先方に私から「試飲販売するためのスペースを貸してほしい」と申し出ました。「うちにスペースを貸してくださいと言った人は初めてですよ。」と驚かれましたね(笑)。フロア内で最も集客が見込めるスペースを貸して頂き、試飲販売を続けた結果、初月は目標を上回る1200万円の売上を達成。その後、東急ハンズ博多店では年間1億円の売上を2年間キープすることもできました。

来店者が多い東急ハンズであっても商品を並べておくだけでは、私たちのやりたいこと・特長・ストーリーはお客様に伝わりません。商社に勤めていた経験もあり、商品の陳列だけでは長くて3か月後に返品されて終わるだろうなと判断したので、試飲販売を提案しました。私は商品に「ストーリー」という付加価値をつけることが大切だと思っています。実際にこの商品がどうやってできたのか、どんな環境で、どんな材料を使って、どんな想いで作られているのか・・・。これらをお話ししながらお客様の心を掴み、販売できるというプロセスが試飲販売の醍醐味だと思います。当時はハーブティーや健康茶を飲んだことがないという人も多かったため、興味を引くことができました。また、安心・安全な食への関心の高まりや、カフェインの少ない飲み物を求める人が増えており、お声がけすると多くの人が試飲してくださいました。

編集部 南阿蘇TeaHouseの新ロゴにこめた想いは?

宮野社長 「南阿蘇TeaHouse」の全体的なリブランディングに今年の2月から取りかかりました。9月にロゴマークや商品パッケージ・販売価格の変更、全店舗リニューアルなどに着手しました。まだまだ価格競争があるような業界ではないのですが、ハーブティーの認知度の高まりとともに競合も少しずつ増えてきていることも理由の一つです。これまでの販売戦略を見直して、「南阿蘇TeaHouse」のブランドイメージを確立したいと考え、リブランディングに取り掛かりました。

特に伝えたいのが「本物へのこだわり」。実は、当社のハーブティーは自社農園で無農薬栽培したハーブのみを原料としています。更にその原料をベトナムの選別工場へ送り、良品だけを南阿蘇に送り返し、商品に加工、パッケージまで行っています。当社では当たり前だと思っていたプロセスやこだわりが、実は最も差別化になると指摘いただいたのです。「パッケージがかわいい」だけでなく、安心安全なハーブティー作りにかける想いにフォーカスしたのでした。

海外展開と株式上場にチャレンジ

編集部 今後のビジョンとしてはどのようにお考えですか?

宮野社長 昨年、九州IPO挑戦隊に入り、5年後の上場を目標に掲げています。それまでに直営8店舗、FCを東京に2店舗、海外で6店舗を展開したいと考えています。

今年の9月にはSAKURA MACHIに、また東京・日本橋の商業施設COREDO室町テラスにFC1号店を出店しました。この店舗を基幹店にして、将来的には日本・海外合わせてFCを50店舗にしたいと思っています。オープンから2店舗ともに非常に好調で、SAKURA MACHI店は予想の1.5倍程の売上を出しています。

上場のための組織強化はもちろんですが、今まで一緒に頑張ってくれたスタッフのためにも勤務環境を整備したいと考えています。就業時間内できちんと仕事を終えられる組織づくり、評価制度なども早めに整えたいですね。

東南アジア、ヨーロッパなど海外とのBtoB取引も検討中、越境ECを活用していこうと考えています。いつかはマンハッタンの5番街に店舗を構えたいという夢もあります。そのためにも、「良いものを作っていく」という意識を高く持ち続け、世界のみなさんに必要とされる商品を作っていきたいですね。

編集部 どのような人材を求めていますか?

宮野社長 チャレンジ精神のある人がいいですね。これから株式上場や海外市場に挑戦していきますので、一緒に同じ方向を向いて能動的に行動できる人にぜひ入社して頂きたいです。将来的に独立したい社員も歓迎しますよ。私がこれまで培ってきたノウハウをお伝えしながら、しっかり育てます。仲間が増えて熊本の産業がますます発展すれば、熊本への恩返しにもなりますからね。

熊本で生まれ育ち、熊本からたくさんの恩恵を受けてここまで発展を遂げることができました。熊本でも当社のような元気な会社が育つというところをアピールできたら嬉しいです。熊本も海外市場や株式上場にチャレンジできる県なんだと、先頭を走って伝えて行きたいですね。

編集部 休みの日の過ごし方を教えてください。

宮野社長 ずっと趣味がなく仕事一筋でしたが、8年前に一人娘を授かりましたので、今は娘と過ごすことが何よりの楽しみです。子供の未来のために経済を発展させ、何かを残していきたいと考えるようになりましたし、会社を続けていく義務にも気づかされました。会社を立ち上げた以上、社員やその家族の未来をも担う責務を代表者として全うしなければなりません。

娘を授かってから人生の指針が明確になり、改めて自分への甘さや他者への思いやりなど、人間として大切なことも娘から教わった気がします。自分を奮い立たせてくれる存在の娘や家族のためにも、年に一回は家族旅行に行きたいなと思っています。携帯電話の繋がらない、どこか遠くで家族と一緒にのんびり過ごしたいですね。

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