熊本の未来をつくる経営者

アトラクション数日本一。常に変化し続ける東証二部上場企業、 グリーンランドリゾート株式会社の江里口会長
江里口俊文(えりぐちとしふみ):グリーンランドリゾート株式会社代表取締役会長。佐賀県出身、明治大学卒。大学卒業後、山野鉱業株式会社入社、三井セメント株式会社、三井鉱山株式会社(現 日本コークス工業株式会社)を経て、1987年にグリーンランド株式会社(現 グリーンランドリゾート株式会社)入社、2001年に代表取締役社長に就任、2023年3月末より現職。
地元にも愛される 九州を代表する一大レジャー施設。
ココクマ編集部(以下、編集部):九州を代表するレジャー施設ですよね。
江里口会長:ありがとうございます。グリーンランドリゾートが創業して今年で56年、遊園地が開業54年になります。このグリーンランドリゾートエリアには、 福岡・熊本を中心に九州・全国各地から年間約300万人、これまでの累計1億人以上 もの方に来場していただいています。
グリーンランドリゾートとは、総面積300万平方メートルの広大な敷地に建てられた、遊園地・ゴルフ場・ホテル・温泉・ショッピングモール・アミューズメント施設などの総称となります。その中心となるのが、やはり遊園地ですよね。シンボルでもある国内最大級の大観覧車「レインボー」など約80 種類のアトラクションがあるのですが、アトラクションの数では日本一なのです。ちなみに、吊り下げ式の「NIO」、九州最長の「GAO」、「ウルトラツイスター・メガトン」、立ち乗り座り乗り並走の「ミルキーウェイ織姫・彦星 」など、ジェットコースターだけで も10機種あります。ゴルフ場事業では3ゴルフ場72ホール、ホテル事業では、グループ会社(連結子会社)が、 グリーンランドリゾートオフィシャルホテルとしてホテルヴェルデとホテルブランカを運営しています。不動産事業では広大な土地を活かすために、既存施設の拡充を含め、周辺施設の企業・店舗誘致を行っています。
また北海道にもグループ会社(連結子会社)を置き、「北海道グリーンランド遊園地」や遊園地に隣接するスキー場「ホワイトパーク」ならびに2つのホテルなど の運営も行っております。
編集部:先日、テレビ番組でも拝見しました。
江里口会長:先日、テレビ番組の収録で有名タレントが飛び込みで来場されたんです。電動バイクで旅をする番組で、この辺りで行った方が良い所は?と地元の方に聞いたところ、「グリーンランド!」と仰っていただいたようなのです。それを聞いたときは、とても嬉しかったですね。地元の方々が「グリーンランド」を誇りに思ってくれているんだ!今後も頑張っていこう!と思いましたよ。
それと「グリーンランド」へ来場されるお客様のなんと約7割はリピーター。リピーターのお客様に毎回新鮮な気持ちで楽しんでもらえるよう、新しいイベントやアトラクションを積極的に取り入れています。この夏は、『グリーンランドの新・絶叫スタイル』というものを考案しました。新型コロナウイルス感染拡大防止の為、ジェットコースターや屋内アトラクションご利用時はマスクの着用を必須としておりますが、せっかく遊園地に遊びに来ていただいているのだから、マスクをすることでさえ楽しんでいただこうという思いから、マスクに貼る絶叫の口のシールをご来園いただいた皆様にプレゼントする企画を実施しております。 お客様に長く親しまれるように、サービスやおもてなしを通して、企業理念でもある「夢や感動を与える企業」を実践し、これからも沢山のお客様にグリーンランドで最高の思い出をつくっていただくために常に進化し続けています。
全国でも珍しいテナント制が強さの秘訣
編集部: 新しいアトラクションの 導入には資金調達も必要かと・・・
江里口会長:実は「グリーンランド」のアトラクションはテナント制をとっており、常に変化し続けられる体制ができています。一部だけテナントを入れている遊園地は他にもあるかもしれませんが、全アトラクションがテナントというのは遊園地では他には無いのではないでしょうか。ありがたいことに「グリーンランド」ではテナント事業者同士 が日々切磋琢磨している環境が作れているのです。ある時はライバルとして・・・またある時は同志として・・・、お客様に選ばれるために、絶えずお客様の動向を見ながら変化していかなければという意識になりますよね。直近では日本初のアトラクション「コズミックメイズ」を導入しましたよ。中には全国で様々な遊園地で運営されて いるテナント事業者もありますので、評判の良いアトラクション を提案して下さる事もありますし、気づいた事があればこちらからアドバイスする事もあります。
私たちの役割は集客です。多くのお客様にグリーンランドに来場していただけるように、イベントの企画やメディアを活用した広報、営業活動など地道な努力を行っています。イベントもアトラクションも楽しんでいただくためには、社員だけでなく、テナント事業者の方々と一緒に盛り上げていくことが大切なのです。人の縁が広がっていくのもテナント制のメリットの一つだと思っています。
編集部:テナント制はいつ頃から導入されているのですか?
江里口会長:グリーンランドリゾートの土地は元々三井鉱山社 が所有していた土地なのですが、石炭から石油へのエネルギー移行が進む中で、 1966年に観光果樹園として「三井グリーンランド遊園地」を 開業しました。果樹園だけでは天候に左右され経営が安定しないという事で、テナント誘致を開始しました。そこにアトラクション を設置したところ人が集まるようになったのです。当時はアトラクション と言えばデパートの屋上にしか設置されていなかったんですよね。そうして徐々に参加企業が増えていき、現在の「グリーンランド」の形となりました 。広大な土地をどう活かしていくかというところからスタートしていますので、結果的にテナント制になったというのが正直なところですが、メリットは大きいと感じています。
隣接するゴルフ場やホテルは「三井グリーンランド遊園地」とほぼ 同時期に開業しましたが、グリーンランドリゾートエリアではまだまだ広大な土地を有しています。周辺施設の拡充も含め、サービスにおいても、これからの時代に求められるものを積極的に探究し、実現させていきたいですね。
今実現させたいと考えているのは、キャッシュレス化への対応として、グリーンランドリゾートの全施設で使用できるカードの導入。人と人とで接するところは大切にしながら、お客様にとって利便性の高いものは取り入れていきたいですね。
新しい視点を取り入れ、お客様へのサービス向上を図る
編集部:社内で新しく取り組んでいる事はありますか?
江里口会長:女性の視点を取り入れるために社内で「女子プロ(女子プロジェクト)」に取り組んでいます。これまでは総合職の社員は男性中心だったのですが、最近では女性の社員も増えてきましたので、サービスにも女性視点を取り入れたいという狙いで立ち上げました。「女子プロ」にはグリーンランドリゾートエリア内や各部署を見て周り、改善点を毎月の経営会議で発表してもらっています。経営会議の中で部門長から承認が下りれば即改善していきます。例えばゴルフ場の女性用更衣室。女性のゴルファーのためにパウダールームを新しく設置しました。提案があった時には、「パウダールームって何?」と思ったのですが(笑)、女性ゴルファーには大変好評で喜ばれています。女性ならではの視点を今後も活かしていきたいですね。
編集部:求める人材像を教えて下さい。
江里口会長:常に新しい目線を持ち、クリエイティブな思考ができる方が良いですね。特に新卒の学生さんは「グリーンランド」のイベント企画を志望する方が多いのですが、ただ頭で考えるだけではいけません。色々な人と関わり、調整しながら一緒に仕事を進めていくことが求められます。また「グリーンランド」だけでなく、ゴルフ場やホテル、周辺施設も含めてグリーンランドリゾートなので、どの部署でも自ら楽しめる方が良いですね。
編集部:研修ではどのようなことをしていますか?
江里口会長:入社後3カ月間は研修期間となります。まず熊本で年間でも最大規模の春のイベントを経験し、続いて九州のゴルフ場やホテルなど各事業所での研修、 その後北海道の「北海道グリーンランド遊園地」やホテルなど での研修を経て、総仕上げとして国内各地にあるレジャー施設やホテルを約1週間かけて巡り、熊本に帰って来てもらいます。他施設の優れたサービスや施設づくりを視察し、配属後に活かしてもらっています。また、 新型コロナウイルスの影響で当面難しいかもしれませんが、これまでは年に1回海外研修も実施していました。世界各国のレジャー施設を見て回るチャンスもありますよ。
他の施設を視察していて学ぶ事も多いですが、弊社も負けていませんよ。弊社が行動指針に掲げるCSCS(清潔・公正、迅速、対話・報告、安全)に則って施設内を清潔に保つことはもちろん、お客様に感動のサービスやおもてなしを心掛けています。
編集部:お休みの日はどのように過ごされていますか?
江里口会長:社員と一緒にゴルフをすることが多いです。社員は友の会に入会すればゴルフ場利用料が無料になるので、皆よく活用していますよ。最近若手がとても上手なんですよ、私は勝てません(笑)。社内コンペも開催されていますので、社員はコンペに照準を合わせて練習をしたりしていますね。弊社社員の大きな特典 ですね。