中川勇志(なかがわゆうじ):株式会社サムライ・エイティワン・代表取締役社長。熊本県出身。1996年にスノー㈱入社し、新商品や一次生産品を用いた加工商品のヒット商品創作などを担当。2012年にスノーアイティエヌ㈱・常務取締役に就任。07年に同社設立。世界初「ハートのすいか」の開発に成功。生産から販売までを一元化するITを使用したWEB媒体の開発やブランディングなどで、農家と共同で販路拡大に尽力している。
「スイカで付加価値のある商品ができないか」。熊本市北区でスイカの生産を営む木村洋一さんから相談を受けたことが同社設立のきっかけ。スイカの生産出荷日本一だった熊本県が、千葉県や高知県に出荷量ベースで首位を渡した時期があった。「熊本県産のスイカ出荷量を拡大させたい、農業後継者を増やしたい」という木村さんの想いに応えたカタチだ。農家の方たちとの関わりの中でどうしたら収益をあげられるのかを追求。ブランディングとマーケティングで日本の農業のイメージを変えたいと語る。
「ハート型のスイカ」がサムライ・エイティワン設立のきっかけ。中川氏は商品開発・調味料・食品添加物などの製造・販売を手掛ける食品メーカー「スノーアイティーエヌ社」で加工食品など数々のヒット商品を生み出してきたスペシャリスト。知人の紹介をきっかけに、当時高知県産の「四角いスイカ」が販売され海外では観賞用として1玉75,000円と高額にも関わらずブレイクしていた新規性の発想力に驚いた。「造形物でも美味しく食べられるスイカにしたい」「四角よりインパクトがある面白いかたち」「結婚式や母の日などのイベントで喜ばれる」など・・・かくして「ハート型のスイカ」の開発がスタートした。型枠試作から品種選定、商品の歩留まり、カタチ・味など納得のいく製品が完成するまでに約10年の歳月を要した。現在、国内の百貨店などでの直接販売、香港・シンガポール・ロシアなど海外からの問い合わせも増えている。今後はスイカ以外にもナスやメロンなど取扱品目を増やし、独自のブランド化や販売方法を確立していく予定だ。
「Surpriing Farmers」は、農家の方たちのおもしろい発想や、驚かされる行動などを紹介する同社が製作・運営しているWEBサイト。海外メディアからの取材依頼も多く日本の農業へのこだわり「ジャパンブランド」を海外に発信していくことで販売にもつなげていく方針だ。新しい取り組みとしては、自社開発のドレッシング「Vegelabi(ベジラビ)」を開発し4月から販売を開始する予定。コンセプトは「野菜で野菜を食べる」、食べながら体に良い機能性の「熊本ジャパンソース」を県内の生産者、醤油メーカーと共同開発した。また流通会社、飲食店と連携し独自の販売網を確立。「特例生産者による顔の見える商品として、熊本を元気にしていきたい」と語る中川社長。これからも「人と人をつなげる仕事」「人の安心・安全は人がつくるもの」というコンセプトを掲げ、熊本から世界へジャパンカルチャーを発信していく。


海外販促企画室長 成瀬章吾さん
デザイン制作会社や運送会社を経て、フィリピンのバギオシティにある語学学校に留学。その後、WEBニュースのフリーライターとして、フィリピン・マニラを拠点にニュースソース集めに奔走していたという。「たまたま帰国する機会があり、以前から知り合いだった中川社長と再会。会社のコンセプトに共感したことや海外でのビジネス経験が活かせると思い同社への入社を決めました」と振り返る。
WEBサイト「SURPRISING FARMERS」の企画・運営・管理・制作(画像編集やコピーライティングなど)を任されている成瀬さん。「『米農家が欲しがる岳間の米』は180年前に私財を投げ打ち水路を建設した生産者苦労の賜物」など、埋もれている地域や産品の魅力(ストーリー)を引き出し全世界に発信している。現在NY、アルゼンチン、フランスなど海外メディアからも注目され取材依頼が殺到し対応に追われている。「海外メディアに取り上げられることで確実に前進している」「日本の農産物をもっと世界に発信していきたい」と話す。その他にも販売準備や交渉を着々と進めている成瀬さん。「この仕事を始めて、農家に対するイメージががらりと変わった」と実感している。「答えがない面白い仕事。実は凄くクリエイティブな仕事で可能性を秘めている」「今後も、もっと農家さんたちと知り合って、発信してブランディングしていきたい」と意欲的だ。「雰囲気もよく自由にやらせてもらっている」と社内環境の良さを語り、「意識を高く持ち、突き進んでいきたい」と力強く話す成瀬さん。これからも熊本から世界へ農業の魅力を発信していく。
「SURPRISING FARMERS」は、こだわりの生産者自身にスポットをあてることで農業に対するイメージを変えたいと企画された。「我こそがサプライシングファーマーだという方々のコミュニティーを構築し、日本独自のものづくりにつながるような“ハブ”を目指している」と中川社長。「人が生命を維持するのに一番大切な【食】をつくりだす農業従事者の減少、高齢化など農家が抱えるさまざまな問題を少しでも改善したい」とビジョンを語る。
「国籍を問わずプロフェッショナルを雇用したい」「世界各地で活躍している人材とネットワークを構築してきた人材またはブレーンと連携して日本の農業のイメージを変えていきたい」と中川社長。「若手から高齢者まで一緒になって日本を世界に発信し、ジャパンブランドを作っていく」「日本にしかできないものを創り上げていきたい」と、熊本や日本の農業が秘める可能性を追求している。
「ハート型のすいか」の仕掛け人<㈱サムライ・エイティワン>






