山内卓(やまうちたかし):株式会社山内本店・代表取締役社長。熊本市出身。東海大学卒業後、同社に入社。工場生産ライン担当、営業を経て、2003年に取締役に就任。07年に専務、11年に10代目の社長に就任。
1751年(宝暦元年)に熊本市新町にて「梅屋」の屋号で創業。当時より味噌・醤油の製造・販売を中心に生業としてきた。テレビやラジオから流れてきた「やまうちのお醤油・・・」のフレーズは熊本県民に浸透、「味みそ」「千代の味」などは熊本県民に親しまれてきた。1970年には現在の菊陽町に移転。当時としては近代的な工場を落成。2000年代前半の県内流通業界の激変を受け、現在の主力商品である「まぼろしの味噌」を開発、大都市圏への販路拡大に取り組んできた。
味噌・醤油・加工調味料(つゆ・タレ類)など約500種類の商品の製造・販売を手がけている同社。熊本県内の百貨店・スーパー・小売店を中心に、大都市圏の高級スーパー・百貨店など全国約2000店舗。ニューヨーク・シンガポール・台湾など海外へも輸出され、スーパーや日本食レストランに卸している。業務用にもいち早く着手、大手外食チェーン・飲食店・惣菜メーカー・学校給食などに使用されている。2004年頃からは通信販売を本格的に開始し、総顧客数は約13万人を超える。また「味や品質へのこだわり」も評価されている。全国味噌鑑評会及び全国醤油品評会で農林水産大臣賞(1位)を11回、総合食料局長賞(2位)を20回受賞した実績がある。創業以来263年の歴史の中で培われたノウハウとモノづくりにかける情熱が同社のDNAである。
同社の代名詞である「まぼろしの味噌」は「現代の名工」永田富浩が開発した国産原料のみを使用した無添加高付加価値商品。富裕層をターゲットに東京・大阪の高級スーパー・百貨店約400店舗に納入している。2012年には、全日本空輸(ANA)の国際線ファーストクラスの機内食(味噌汁)に採用され、成田空港発着の北米・欧州9路線で提供されている。また同社の醤油はセブンイレブンの「香ばしい焼きおにぎり」でも採用され福岡県下約800店で販売されている。
「品質第一は揺るぎないが、社員間はざっくばらん。楽しむところは楽しみ、締めるところは締める。品質には手を抜きません」と語る山内氏。社員に求めることは、「おいしさを伝える、お客様を大事にするという考えに基づき、自分で判断して行動してほしい」。そのために、コミュニケーションがさらに活発に行われる社内環境の整備、これまで以上に社員同士の意思が通じ合う人間関係づくりを進めていく。今後は新たな設備投資を視野に入れながら、売上10億を目指した取り組みを続けていく。
※「現代の名工」とは厚生労働大臣によって表彰された卓越した技能者(卓越技能者)の通称。同氏は内閣総理大臣から「黄綬褒章」も受賞。


営業部 部長 玉井良典さん
調味料会社大手での勤務を経て、2001年に同社に転職を果たした玉井さん。「地元で転勤のないところで働きたい」と帰熊し、最初に面接を受けたのが同社だった。「自分が口にする食品の営業には自信があった」と当時を振り返る。「大手ではある程度やっていいことが決まっていたが、山内本店では自分のやりたいと思ったことをやらせてくれる」と、自らチャレンジできる環境に働く喜びを感じている。数年前には前職の給与を超えた。現在は営業部長として約20名の営業チームをまとめつつ、自らも新規顧客開拓の最前線に立つ。「新しい業態やお客様を見つけて、新しい商売の仕組みを構築していくことが今の自分の役割です」と玉井さん。現在は、JAや地域の団体などと特産品を活かした商品開発・販売の提案活動を進めている。また、東京・大阪には九州の味を売りにしている飲食店舗が約1000店あり同社の商品やノウハウを活かせないか模索している。
「営業ですから、売上をあげて、利益がたくさん出る会社にしたい。それを給与に反映して従業員の方が実感できるようにしたい」と頼もしい。「まぼろしの味噌」のブランド力、全国鑑評会・品評会での受賞歴、「現代の名工」永田富浩の存在と技術、外部からの裏づけ(ANA機内食やセブンイレブン商品への採用)など、他社が真似できない特徴にゆるぎない自信を持つ。「最高の実績が揃ったところで、山内本店が持つ価値や成功パターンを一緒に発信してくれる人を求めています」と力強く語ってくれた。
主力商品である「まぼろしの味噌」で開拓してきた、首都圏を中心とした独自の販売チャネルに対して商品の横展開を進めている同社。「まぼろしの味噌」ついてもまだまだ開拓余地はあると考えている。260年の伝統を守りつつも固執することなく新たなチャレンジにも積極的だ。小売り向けに成功した販売ノウハウを外食産業や業務用商品にも活かしていけるよう提案活動を強化している。そのためには、「味づくりが大切。商品開発、品質管理のレベルアップを考えている」と山内氏。海外販路拡大も進めていく考えだ。「味噌・醤油の醸造を通じて、「おいしい」をお伝えする。全世界の人たちに、うちの味噌を知ってほしい」と夢を語る。
大量の水を使用する味噌・醤油づくり。熊本の水資源(地下水)は、菊陽・大津地区の白川中流域の田畑に水が染み込むことで生まれている。「熊本の地下水保全のために、使った分の水をお返ししよう」と、2009年から水田涵養事業を始めた。社内では水に対する意識が高まり、約12万キロリットルだった水の使用量が現在では約8万キロリットルに減った。また、熊本の良質な素材を利用した加工品の販売にも取り組む。「菊陽はニンジンの産地。一般のスーパーでは売れない商品を集めて、人参ドレッシングを作るなど、当社のチャネルを使い販売していきたい。」
「まぼろしの味噌」で有名な熊本の<㈱山内本店>






